白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

株式会社やまつ辻田 辻田浩之社長をお迎えして

2013/6/28 

336nishi-garden昨年7月にゲストにお迎えしたとき来年もまた・・・との約束通りお越しくださった株式会社やまつ辻田の社長辻田浩之さん。
創業110年の老舗やまつ辻田の七味や山椒は、厳選された国内産原料を使い名だたるお店や料理人の信頼に応え続けてきた本物の風味。「日本で使われる唐辛子の99%は外国産です。その多くは房状にたくさん実をつける『三鷹』という品種が日本から中国に渡り、40年の間に『天鷹』という中国の品種に変わったもの。唐辛子の中でも『鷹の爪』は小ぶりで辛味は3倍、古く江戸時代の文献にも姿が愛らしく風味が素晴らしいと評された伝統の品種。小さな実をひとつずつしかつけないため、一人で収穫できるのは乾燥品レベルで1日3kg、1キロ取るのに6000個必要なんです。」採算が合わないことで栽培が減少する中、純粋な『鷹の爪』を守るため、生産者を育てることも大切にして来られました。
「山椒は大きく3つの品種に分かれます」会場で実演が始まると山椒のさわやな香りが会場いっぱいに広がります。「和歌山のぶどう山椒は大粒で香りが立ちやすく飛びやすい。小粒で成分の強い兵庫の朝倉山椒は主に佃煮に。ふたつの長所を併せ持つのが山朝倉山椒。山に自生する原種のような品種です。3種を石臼で引いてそれぞれの良さをブレンドします」。かつて高校の英語教師をされていたという辻田さんは、セミナーでも言葉を選んで、分かりやすく伝わっていることを確かめながらお話をされます。「ごまは粒が大きいほど香りが良くなります。ウチは西脇の金ごまを使っていますが、世界一のごまはトルコのキョイシーズギョコバでとれる金ごま。粒の大きさ香りの深さでかないません。」七味の素材についての深い知識に会場は「へぇ~」の連続です。「お忙しい中、商品に込められたメッセージを、いつも社長自ら店頭に立たれてお客様に直接伝えておられる姿がすばらしいと思うんです。」と白井。
会場からの質問に答えて、良い七味の見分け方を。「目安として『七味は赤ければ赤いほど安物』と思ってもらっていいと思います。というのは、原料で高価なのは山椒と青のり。高価な素材がたくさん使われているということです。唐辛子は国産のものはほとんどありませんから安い外国産が使われることが多いです。実は四万十の海苔は今はほとんど採れなくなっていて、ウチも確保が大変なんです。」
最後に七味の意外な楽しみ方をひとつ。すき焼きの溶き卵に七味をひとふりすると味の表情が変わるそう。是非お試しを。辻田さんの本物の素材を大切にしたいという真摯な思いが、その大きな体とやさしい眼差しから伝わるあたたかなひと時でした。
今回の試食は、やまつ辻田の国産きなこを使った「にんにくみそ」。にんにくの匂いをおさえて食べやすくやさしい味わいのみそに野菜スティックを添えて。炊きたてのご飯には七味に醤油を垂らしてトッピング。七味から立ち上る様々な風味をしっかり味わっていただきました。
(文:土田)

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