白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

中出農園 中出明代さん、達也さん、有香さんをお迎えして

2013/8/23 

349nishi-garden泉州・貝塚の地で三代に渡り水なすを作られる中出農園さん。水なすの糠漬けは青いギフトカタログの人気商品。ご家族が役割を分担して農園を支える毎日は、先日TVの「THE!鉄腕!ダッシュ」でも全国に紹介されたばかりです。
「今日も朝4時から水なすを収穫してきました。」明代さんが中出家に嫁がれたのは30年前、「その頃はまだ水なすを出荷するだけでしたが、いつかはウチで育った水なすで漬物も作りたいと思っていました。」その思いが叶ったのは、5年前。「別の道をと考えた時期もありましたが、家族の働く姿を見て変わってきました」母・明代さんから「漬物やらへんか?」と誘われ、家業を手伝う気持ちを固めた次男の達也さん。試作を重ね誕生した、畑で採れたての水なすを使ったぬか漬けは大好評。「添加物を使わず、そのままでも食べられる新鮮な糠床を使われているんですよね。」と白井。「糠臭さや酸味が苦手な方にも食べていただけるように、工夫を重ねるうち、作りたてなら大丈夫とわかりました。厳選した材料を使い、毎日新しい糠床を作って、朝収穫した水なすを3時間以内に漬け込みます。1日目は果物の感覚で、2日目3日目とお好みの漬け具合を楽しんでいただけます。」最高Aランクの水なすだけを手早く糠漬けに。漬物屋で働いた経験のある長女の有香さんも大きな戦力として加わり、おじいちゃん、お父さんと大切に受け継がれた畑で、主に長男の庸介さんが手のかかる水なす栽培の責任者、次男の達也さんが漬物とそれぞれが持ち場で全力を尽くされています。
葉が少しでも当たると傷がついてしまう繊細な水なす。Aランクは傷もなくつやつやと色形がよく、中の身がクリーム色で盛り上がっています。少し傷のあるBランクのものにも価値は十分。「傷を治そうとポリフェノールをたくさん作るので、傷のある水なすの方がポリフェノールを多く含んでいるんですよ。」と達也さん。
「中出家を貝塚で一番のいい農家にしたい。」そんな思いで頑張ってこられた明代さん。「焦らない、無理強いしない子育てを心がけてきました。子供を信じることが何より大切」と振り返られます。「夢はもう実現してきてますけど、いつか水なすの料理を気軽に食べてもらえる店が出せたら・・って、心で思ってるんです」。
「家族を誇りに思っています。」と笑顔で語られるゆかさん。仲良し3兄弟がいいものを作ろうと素直な言葉で未来を語り、真剣に農業に取り組まれる様子が頼もしく、家族だからこそできる安全でおいしいものへのこだわりに、白井も感動したひとときでした。夏休みもあとわずか、人生の季節を味わう、いいご家族に出会いました。
試食は生の水なすとそれを醤油・オリーブ油と鰹節でさっと和えた一品、水なすの糠漬けを。(文:土田)

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