白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

旭松食品株式会社 代表取締役社長 木下博隆さんをお迎えして

2014/2/14 

386nishi-garden雪のふりしきる朝にも関わらず、みなさん揃っていつものように始まったセミナー。「昨年私がパネリストの一人として参加した日本食文化のフォーラムがご縁で」と白井が紹介させていただいたのは旭松食品株式会社の社長、木下博隆さん。高野豆腐は、余分なコレステロールを排出してくれるレジスタントタンパクが多く、食物繊維や亜鉛・カルシウムなど栄養バランスにも優れた日本の伝統食。「熟れ過ぎて柔らかくなってしまった柿を火にかけ、粉末の高野豆腐を加え余分な水分を吸わせるとジャム状になり、大豆の栄養を朝食に手軽にプラスできます。甘味が足りないときは砂糖の代わりに蜂蜜で調節すると蜂蜜の酵素もそのまま生かせます。」と白井レシピを交えフォーラムから簡単にご紹介。
本来寒い時期に作られるため関東や東北地方では『凍み豆腐』『凍り豆腐』とも呼ばれ、高野山が発祥といわれる高野豆腐。その50%が関西で消費されるのに対し、東京では10%程度と少ないこともあり、本社も消費地の中心である大阪に。高野豆腐の全国シェアは50%を誇り、生産は全て長野県の工場で行われています。「昭和60年代、固い高野豆腐を柔らかくするための加工に使っていたアンモニアが重曹に変わりました。新しい製法になって、劣化しにくくなり賞味期限が長くなったほか、湯で戻して何度も水洗いしなくて良くなりました。そのままダシにポンと入れても大丈夫。ただし煮すぎるとくずれます。」
「おでんなどおいしい煮汁の残りがあればそこに高野豆腐の粉末を加えておからのように仕上げることもできますし、おからより日持ちもします。四角の高野豆腐も色々試しましたがそう簡単には煮崩れません。」もっと冒険をと白井。今回の試食は粉末の高野豆腐を使ったジャムを。温州みかんにキウイ、リンゴを加えたものと、ブルーベリーといちごの2種をドンクのバケットにのせて。
「白井さんが言われていた『煮とろけるような高野豆腐』をなんとか作れないかと、タンパク質がアルカリで柔らかくなる性質から考え、家で重曹を加えて炊いてみたら豆乳に戻ってしまいました」と失敗談を笑顔で語ってくださった探究心いっぱいの木下社長。「夢は海外に高野豆腐を普及させること。最近は高野豆腐が入らない恵方巻きも多いと聞いて残念に思っています。和食の良さとともに海外でも親しまれる食材になって欲しい。」と終始明るい口調で。お客様には工場のある長野県飯田でしか手に入らない最高級の高野豆腐と高野豆腐粉、フォーラムにご出演の鎌田實先生が行われている世界の子供を救うチョコ募金のチョコレートをお土産としてお持ちくださいました。
会場での質問や感想も活発で「昔の食べ物という思い込みから、自分でも食べ方に工夫が足りなかったと反省しました。」「雪の中来てよかった。高野豆腐が身近になった。」「粉末があることも初めて知った。色んな料理法でもっと高野豆腐を食べたい。」などなどお客様からも嬉しいメッセージがたくさん寄せられました。(文:土田)

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