第7話 桜鯛
桜の季節がやってきましたね。桜といえば桜鯛、ことばの響きもいいですね。
春は産卵期で鯛もピンク色になりますから。
へぇ~!そういえば春の魚はピンク色が多いのかしら。
この時期、メスはひと目で分かります。少し黄身がかった輝くようなピンク色をしてるんです。
桜鯛の名にふさわしい姿ですね。秋の紅葉鯛とどっちがお好きですか?
鯛の旬はホントは秋なんですよ。夏の間においしいエサをお腹いっぱい食べてますから。僕はやっぱり紅葉鯛ですね。桜鯛は見た目はきれいでも、味は紅葉鯛にかなわないんです。
ところで天然の鯛と養殖の鯛のこれぞという見方を教えてください。
いくつか違うところがあるんですが、まずは鼻。天然は穴が2つ、養殖は穴が1つなんです。
へぇ~!不思議・・・。
僕も理由は分かりません。でもそうなんです。ヒレの形も違いますよ。天然はとがってますけど、養殖は先が丸く短い。
ほう。
天然のものは海を泳ぎまわる必要があるから、大きなヒレが必要なんでしょう。特に潮の流れが速い明石海峡を泳いでいると身も引き締まって、おいしくなるんです。尻尾もピンととがってますよ。
へぇ~。養殖のものははいけすの中で育つから、ヒレも短くなるのかなぁ。
だと思います。あまり使わなくても済みますからね。色も違いますよ。養殖のほうが、黒っぽいんです。天然の鯛のほうが赤いんです。
何故ですか?
日焼けです。鯛は海峡部だと水深100メートルぐらいの深いところを泳いでいる魚なんで、普通は太陽光が届きません。でも養殖するのに、そんな深いいけすはできませんから、浅いところを泳いでいるうちに日焼けして、黒っぽくなります。
鯛も日に焼けるのねぇ・・・。
最近はUVカットのシートをいけすの上に張り、日焼け対策をしているそうですよ。ちなみに先生は天然のものと養殖のものと料理方法を変えたりされてます?
春4月の明石鯛はやっぱり待ちますね。お刺身がよく分かりますが、昆布締めは養殖の特徴の脂が多いのも余分を昆布が吸ってくれて、いい感じになりますよ。