第30話 アメリカ合衆国のメキシコ大使の名をもらったポインセチア
年末になると必ず園芸店の店先を賑わすポインセチア、花にあまり興味のない人でも、この花を知らない人はまずいないよね。赤と緑のまさにクリスマスカラー、今ではクリスマスの飾り付けには欠かせない鉢物になったね。
ポインセチアの原産地はメキシコを中心とした中央アメリカで、この花を草花だと思ってる人が多いようだけど、現地では数メートルの高さまで成長する立派な樹木なんだよ。因みに冬暖かい沖縄や八丈島では、庭植えにして3メートルくらいにまで生長しているぜ。
さて、このポインセチアって言う名前なんだけど、これは旧の学名がそのまま使われて世界中に普及したんだ。でも、そもそも、どうしてポインセチアって言う名前なのかって?それはね、19世紀前半、アメリカ合衆国の初代の駐メキシコ大使であったポインセット( J.R.Poinsett)が発見して本国に持ち帰り、それがアメリカ国内で大々的に園芸化されたことから、その功績を称えてポインセチア(Poinsettia)という名前が与えられたんだ。このときにつけられた学名が、Poinsettia pulcherrima(ポインセッチッティア・プルケリマ)なんだけど、後にポインセチアはユーフォルビアの仲間だったことが判明し、今ではEuphorbia pulcherrima (ユーフォルビア・プルケリマ)と改名されているのさ。
えっ、ユーフォルビアってどんな植物かって? そうだね、ユーフォルビアって言う植物はそれほどポピュラーじゃないかな。ユーフォルビアはものすごく大きなグループで、世界中に2000種類くらいあるんだよ。サボテンと見まがうような形をしたものから、ポインセチアのような華やかなものまで、どう見ても同じ仲間だとは思わないような変異に富んだグループなんだ。日本にも20種類くらい自生していてトウダイグサと呼ばれてるんだ。どうだい、聞いたことあるかな? ほかにも、ハツユキソウやハナキリンていうのもあるぞ。
ところで、ポインセチアの赤く色づいた部分は何か知っているかい? 花びらじゃないかって? いやいや、あの赤く綺麗な部分は花の一部分ではなく、苞(ほう)といって、本来、花の下にあって花を保護する役割を果たしている器官なんだ。じゃあ、花はどれかって? 赤い苞の中心部分に黄色いツブツブがあるだろう、あの一つ一つが花なのさ。花びらや萼はなくて、一つの雌花と複数の雄花が固まっているんだよ。花それ自体が目立たないので、その下にある苞が綺麗に色づき、受粉をしてくれる昆虫たちを呼び寄せる役目をしているのさ。
では最後に、ポインセチアは熱帯植物なので寒さには弱いため、室内で楽しむことが多いけど、日光が大好きなので、ずっと室内の暗いところに置いておくと、日光不足で葉が黄色くなって落ちてしまうんだよ。綺麗なクリスマスカラーを長く持たせるなら、できるだけ日光浴をさせてあげるんだぞ!
ユーフォルビア(ハナキリン) ユーフォルビア(トウダイグサ)