白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第4話 土と日本人

保田茂先生は、神戸大学名誉教授で兵庫県”ひょうご「農」担当参与”でいらっしゃいます。「食」担当参与の私とは参与つながりでご一緒する機会が何かと多く、そこでの何気ない会話の中に、へぇ~と感心する話がいっぱいあるんです。皆さんにも是非聞いてもらいたくてひとつのコーナーを作ってしまいました。
第4話は「土と日本人」、操と保田先生のホコっとしたちょっといい話、お楽しみくださいね。

スタジオの庭にアスパラガスが育ってきましたよ。大分、土が良くなったみたいです。

これまでに土に鋤きこんだ落ち葉の効果が出てきたのでしょう。ところで、ヨーロッパの人たちと違って、何故か日本人は土を汚いものみたいに言うでしょう?

どうしてかしら。

日本の文化の特徴は「足についた泥を洗う文化」と言った人がいるんですが、言いえて妙ですね。たとえば、村から町に出て行くことが出世で、農をいやしめるような考え方が日本には強いでしょう。ひょっとすると、自分にもそんな気持があるかもしれませんね。考えてみたら、人間は土の成分で出来ているのにね。

土の成分で?

そうですよ。たとえば、人間の骨はカルシウムで出来ているでしょう。そのカルシウムは実は土の成分なんです。血液を作る鉄もやっぱり土の成分なんですよね。つまり、人間は土の産物といえるんです。

そうですか。

日本人が緊張しやすい民族だとよく言われますが、カルシウムが不足しているからかもしれませんね。血液中のカルシウムイオンは精神を安定させる働きがあるといわれていますが、日本の大地は火山列島であることと、雨が多いため、土の中のカルシウムがヨーロッパの大地に比べてはるかに少ないんです。

へぇ~。

それでも、昔の人は巧みに食べ方を工夫して、立派な骨を作ってきたんです。何を食べて骨を作ってきたと思います?この答えは牛の暮らしを見ればよく分かりますよね。牛は何を食べて骨を作っていると思います?そう、牛は緑の草を食べて骨を作って生きていますよね。これをヒントにすれば、私たち人間は緑の菜っ葉をしっかり食べることが大切ということになりますね。ただ、菜っ葉は季節性がありますから、それを補う食べものが豆と海藻ということになりますね。

体にやさしいものばかりですね。

土の成分がうまく摂れなくなったら人は病気になるはずです。あらためて、土は汚いものではなく、私たちは土に生かされていることを自覚したいものですね。

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