白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第19話 桜エトセトラ

315zatsugaku第19話は「桜エトセトラ」です。
いよいよ春爛漫、桜前線もようやく関西に上陸する頃になってきたねぇ。今日は、桜にまつわるショートショートをいくつかご披露してみようかな。
「さくら」という名前の語源は知っているかい?
諸説紛々あるけれど、さくらの「さ」は穀霊(穀物の霊)を表す古語で、「くら」は神霊が鎮座する場所を意味し、「さ+くら」で、穀霊の集まる依代(よりしろ)を表すという説。昔から、桜の咲く頃が稲作の農作業の目安の一つになっていたことを思えば、人々が桜に実りの神が宿ると考えたとしても不思議ではないよね。
では、サクラという名の木はどんな木なのかというと、実は「サクラ」という名の植物はこの世に存在しないんだよ。日本で最もポピュラーな「ソメイヨシノ」は人間が作り出した園芸品種の名で、野生のサクラでポピュラーなものは「ヤマザクラ」だろうね。そう、野生のサクラには全て「○○サクラ」という名が付けられてるんだけど、園芸品種も野生種もそれらをひっくるめて「サクラ」と言う名で呼んでいるんだよ。でも、一般には、サクラと言えばソメイヨシノを指してることが多いけどね。
サクラと言えば「ソメイヨシノ」っていうくらいサクラの代表的な園芸品種だけど、これは、伊豆大島に自生するオオシマザクラと北海道と沖縄を除く全国に自生しているエドヒガンという野生のサクラの交配種で、江戸時代の末期に江戸の染井村の植木職人によって育成されたと言われているんだよ。しかも、全国に植えられている全てのソメイヨシノは元は1本の原木から繁殖されたクローンであるらしいぞ。当時サクラの名所と言えば奈良の吉野山。それにちなんで染井の吉野桜から付けられたんだそうな。
花見といえば満開のサクラの樹の下で飲めや歌えの大宴会!! 毎年全国各地で行われる日本の花見の文化は、世界的には非常に珍しいんだってさ。美しい花を愛でる文化は世界中にあるけれど、花を見ながらその下で酒宴(パーティ)を開くのは日本人だけだそうな。神様が下りてきた満開のサクラに御神酒やお供物をしたあと、そのお下がりをみんなで分け合って頂く、やっぱり稲作の文化だねえ。
サクラは日本独特のの花だと思っている人も多いようだけど、世界中には約50種ほどの野生のサクラがあり、その9割が東アジアに産し、なかでも中国には30種類以上が自生しているから、野生のサクラの中心は中国なんだね。でも、サクランボのなる桜桃の野生種はセイヨウミザクラというヨーロッパから西アジアにかけて自生する種類なんだよ。花はアジア、団子はヨーロッパだね。君は花より団子派?それとも花派?

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