白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第22話 何れ菖蒲か杜若

323zatsugaku第22話は「何れ菖蒲か杜若」です。

いずれアヤメかカキツバタ」、この諺はどちらもすぐれていて、選択に迷うことのたとえとして使われてるよね。
『太平記・二一』にある「五月雨に沢辺の真薦水越えていづれ菖蒲と引きぞ煩ふ」と言う歌に基づいてるらしいけど、これは、源頼政が鵺を退治したご褒美として、菖蒲前(あやめのまえ)という美女を賜るときに、十二人の美女の中から選び出すように言われて詠んだ歌なんだよ。何だかうらやましいなぁ。
さてこれほどに似ていて、なかなか区別がつきにくい花に、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブが良く引き合いに出されるけど、みんなはちゃんと区別できるかい?
まず、花が咲いている時の見分けるポイントは、垂れ下がっている3枚の花びらの付け根の色と形だぞ。アヤメは円くて黄色いベースに褐色の網目模様が入ってて、カキツバタは真っ白な細いくさび形、ハナショウブは黄色くて太いくさび形になっているんだ。写真をよ~く見てごらん、ほら、簡単だろう?
じゃあ、花が咲いていない時はどうやって見分けるのかって? これも判りやすいポイントがあるのさ。3種類とも細長い剣型の葉を持っているけど、アヤメの葉は幅が5~10mm前後で長さも30~50cm程度とこの中では一番小さく、葉脈が盛り上がらず滑らか。カキツバタの葉は幅2~3センチで、長さは50~70cmほどで、葉脈は盛り上がらず滑らか。花菖蒲の葉はカキツバタと同じくらいの幅で、長さは60~100cmだけど、葉脈が1~3本盛り上がって目立つのですぐに判るよ。
このほかに、生えているところでも見分けられるんだよ。アヤメは水とは全く関係ない山野の草原に生えており、普通に庭や畑で栽培できるぞ。カキツバタは株元が水に浸かっているような水湿地に生えるので、いつも水を溜めておかないと育たないぞ。ハナショウブには水辺が似合うんだけど、いつも株元が水に浸かっているような水湿地ではダメなんだよ。だから、水やりに気を付けて乾燥させないようにすれば庭植もできるぞ。
どうだい、これでもう間違うことはないだろう。

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