白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第26話 真夏の夜の夢

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毎年夏になると、決まって新聞のローカル紙面を賑わす月下美人。誰が名付けたのか、真夏の夜に馥郁たる芳香を漂わせながら、妖艶な真っ白の大きな花を咲かせるこのサボテンにもっとも相応しい名前だね。夜に咲くから月下美人なんだけど、どうして夜に咲くか知ってるかい? 
月下美人はメキシコの熱帯雨林の大木の樹上に着生しており、実は花粉をコウモリに媒介してもらうコウモリ媒花なんだ(昆虫に媒介してもらう花は虫媒花、スギやイネのように風まかせなのは風媒花というよ)。どう、知ってたかい?
コウモリに手助けしてもらうってことは、つまりコウモリの活動する夜に咲く必要があるってことだね。コウモリは昆虫に比べると体が大きいので、それに十分耐えられるように、あのような大きな花になったんだろうね。
ところで、月下美人の属するサボテン科の植物の多くは、極度の乾燥に耐えられるように進化したため、ほとんど種類で葉がトゲに変化してしまったんだぞ。これも知ってたかい?月下美人もご多分に漏れず、葉がなくなってるんだけど、トゲや針もないよね。じゃあ、あの昆布のようなものは何なんだって? 実はあれは茎が平たくなったものなんだよ。月下美人やクジャクサボテン、シャコバサボテンなどの森林性のサボテンは、元々は西部劇に良く出没する柱サボテンの仲間なんだよ。それが雨の多い熱帯雨林という気候に順応するためにあのような形態に進化したんだ。だから、クジャクサボテンもシャコバサボテンもみんな茎が変化したものなんだ。最近はやりのドラゴンフルーツも同じ森林性のサボテンの果実なんだよ。ドラゴンフルーツの花は月下美人によく似ているよね。
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