第50話 梅、桃、桜
新たな年が明けて大寒も過ぎると、気の早いものでもうそろそろ春の話をしたくなるよね。さて、みんなが春の花といわれて思い起こすのは・・・、まぁ、人それぞれ色々とあると思うけど、なんと言っても梅、桃、桜だよね。特に花に興味のない人でもこの3種類くらいは知っていて、もちろん見分けが付くよね。 ええっ! 梅と桜は分かるけど、桃が分からないって?
まぁ、そんなこともあろうかと思って、人前で恥をかかないための梅、桃、桜の見分け方を伝授しようと思ってたんだよ。
では、まず歴史から始めてみよう。この3種類の花のうち、昔から日本の野山に自生していたのは、そう、そのとおり桜だけだね。ええっ! みんな日本のものだと思ってたって? 梅も桃も相当古い時代に中国から渡ってきていて、すっかり日本に馴染んでるから、そう思うのも無理はないかな。でも、梅と桃は人里近くにしか生えてないだろう? 梅や桃が導入されてから千数百年も経っるけど、山の中で自然に咲いているのを見ることはほとんどないよね。梅や桃は人為的に植えられたものがほとんどだから、深山幽谷には生えていないんだよ。 それに比べて桜はもともと日本にたくさんの種類が自生しているうえに、江戸時代にそれらの野生種を色々と交配してたくさんの園芸品種が作られてるから、人里近くはもちろん、深山でも綺麗な花を咲かせているんだよ。
さて、歴史はそのくらいにして、花の違いによる見分け方だけれど、まずはじめは、花の咲く時期。関西に住んでいる人なら、まず梅が2月頃から咲き始め、3月中下旬頃に桃の花が、そして3月下旬~4月上旬に桜の花が(ソメイヨシノだけどね)咲くよね。それぞれ園芸品種が数多くあって、開花時期の早い桃から遅いものまであるので、特に桃と桜は同じ頃に咲くものが多いから気をつけるんだよ。
ところが東北のような寒いところでは、4月下旬~5月にかけて一斉に咲くんだよ。福島県に三春町ってところがあるんだけど、梅、桃、桜がほぼ同時に咲いて、三つの春が同時に来るところから三春って言う名前になったんだってさ。
次に花の付き方。桜の花はサクランボを思い出せば分かるように、花柄が長く複数の花が房状になって咲いているよね。ところが、梅と桃には花柄がほとんどなく、枝に直接花が付いているように見えるんだよ。
最後は、花びらの形。一言で言えば、梅は先端が丸く、桜は凹んでいて、桃はやや尖っているんだよ。
これで、しっかり分かっただろう? しっかりと頭にたたき込んで、今年の春は人前で恥をかかないようにね。
梅の花
桃の花