白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

残したいコト 聞きたいコト

第4回 和食のこれから

2015/1/25 

森本達平さん毎日の暮らしの中でちょっと気になったあれこれについて、若い人はどんな風に感じているの?大人の思いと若者の気持ちは違うの?そんな白井の小さな疑問に答えてくださる若者代表は森本達平さん。桂南光さんの次男さんで「イマドキの若者も捨てたもんじゃない」と白井をうならせる感性の持ち主です。

操「今食べてるおいしいものの生産者は高齢者の割合が高く、手間がかかる割に儲からないので、今作っている人がいなくなると、作り手がいなくなり、食材自体が手に入らなくなることは時間の問題。若い料理人の多くはパティシエを目指し、和食を志す人は減っているし。家庭の食卓でも和食が中心とは言えなくなって、昔ながらの和食のおかずも若い人になじみが薄くなっているでしょ?達平君は食べることが好きなご両親がいて、和食でも本当においしいものを口にする機会に恵まれた環境にあって、私ともよく話をしたりして食についての知識が豊富だけど、今の若い人たちの本当のところはどうなのかな。
15.1月②
コンビニやファストフード、安い居酒屋しか知らない若者は、本当の和食の美味しさに感動する機会を持たない人もたくさんいるのでは?特に男性が心配。男性は先々社会的なお付き合いで店で食事をする機会も増えるはず。食の感性は日々の食事で育まれるものだから、このままだと本物の和食をおいしいと思う人がいなくなる・・・そのことが心配。おいしいものを知って、食べて支えなければ、いいお店もいいものを作る人もいなくなると思うよ。今の若い人たちはそのことをどんな風に感じたり、考えたりしているのかな。」

達平「みさおさんの心配している通り、本当においしいと思えるものに出会う機会は減っているようでしょう。でもそれは、和食だけに限られたことではないと思います。
よく感じることは、現代の日本では、ある程度おいしい多種多様なものが安い値段で提供されていていて、それがどこででも食べることができることがあります。便利な環境があって、なんでも手に入る生活しやすい状況です。でも便利になりすぎたからこそ出てきてる問題が、こういうことなんだと思います。特に和食においては、なんでも手に入る生活だと、季節や行事の意識が薄れますし、ある程度の他ジャンルのものがありふれてわざわざ求める必要もなくなってなじみも薄くなっているっていると感じるのかもしれません。そして知らないことをわざわざ志す人は、いなくなっていくという流れになっているのではないでしょうか。
もう一つ思うのは、“食べる”ことは、ひとつの娯楽だと思うんです。そう思うと、現代にはいろいろな娯楽があふれかえっているので、“食べる”という娯楽に注力する割合が減っている。でもその分注力する人々は、多大に力を注ぎこむことができるように思います。
だから、和食へのなじみが薄れているのではなくて、日本全体の食文化レベルに厚みが増しているから、目立たなくなっているんじゃないですかね。本当に興味がないとか、薄れているようなら、こんなに毎週・毎月特集が組まれたり、テレビで放映されたりしないと思います。
そして今は日本の食が、観光目的にも置かれていますよね。大事な輸出産業になっていて、和食は特に日本人だけでなく、海外の方々にも取り上げられているでしょう。そうして拡がれば、日本にも逆輸入となって、興味を持つ人が増えると思います。
またみさおさんは、そもそも「本当の和食とは」ってどういうものだと思いますか?ぼくは、明確な定義なんてできないと思うんです。食事も生き物だと思うので、いつも変化しているんです。でもイメージはそれぞれ違うものをもっていて、それを共有できることが大事なことだと思います。」
15.1月①

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