白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第56話 チューリップの基礎知識(その2)  

さあ、今回は前回のクイズの続きで、第4問目以降の解説をしてみよう。

第4問の正解。チューリップの花びらは、ずばり3枚! えっ、6枚じゃないかって? 花びらが6枚だったら、じゃあ萼はどこに何枚あるんだい?
チューリップやユリなどが属するユリ科、アマリリスやヒガンバナなどが属するヒガンバナ科、それにクロッカスやグラジオラス、ハナショウブなどが属するアヤメ科などは、すべて綺麗に色付いた花びら状のものが6枚あるのは知ってるよね。でも、蕾や開きかけの花をよく観察すると、外側の3枚と内側の3枚に分かれているのが分かるかな? そう、実はこの外側の3枚が萼で内側の3枚が花びらなんだよ。ユリ科、ヒガンバナ科、アヤメ科それにラン科などは、形や大きさの違いこそあれ、すべて萼が色付いて、昆虫たちを誘き寄せるっていう花びらと同じ役割を果たしているんだよ。特にラン科は内側の3枚の花びらのうち1枚だけが他の花びらと全く違う形になっているのを知ってるかい? その一枚を人の下唇に見立てて唇弁(しんべん)またはリップといって区別しているんだけど、これは昆虫たちを花の奥にある蜜源に誘い込むために大変重要な役割を果たしているんだ。この話をし始めると長くなるので、またの機会においておくとしよう。
チューリップの基礎知識(その2)花びら3枚がく3枚② チューリップの基礎知識(その2)花びら3枚がく3枚①
花びら3枚(外側)、萼3枚(内側)

第5問の正解。子供たちにチューリップの絵を描かせると、いや、子供だけじゃなく大人でもそうなんだけど、誰しも花を真横から見た形のカップ型の絵を描くよね。チューリップと言えばこの形って世界中の人がイメージを持っているんだね。ところで、チューリップのことをよく知っているみんななら、お天気のいい日はパッと大きく開くことは、当たり前のことだよね。そうなんだ、チューリップの花は、蕾から咲き始めころまでは綺麗なカップ型をしているんだけど、最盛期になると花びら(萼を含む、以下同じ)は大きく開いて、丼鉢状になるんだよね。
でも、曇っている日や雨降りの日は開かないんだよ。それはどうしてかって? お天気が悪くて寒い日は昆虫がやってこないので、花を開いておく必要がないからさ! じゃあ、どのようにして花びらを開いたり閉じたりしているのかって? そう、そこが重要なところだね。チューリップの花が、その日のお天気によって花びらを開いたり閉じたりできるのは、花びらを作っている細胞に秘密があるのさ。実は、花びらの内側の表面にある細胞と外側の細胞は膨張率が違うんだよ。夜が明けて気温が上昇してくると、どの細胞も膨張し始めるんだけど、花びらの内側の細胞の方が外側の細胞より膨張率が大きいので、花びらは開いてくるんだよ。特にお天気のいい日は直射日光が内側に当たり、さらに細胞が膨張するので、大きく丼鉢状に開くことになるんだ。でも、夕方になり気温が下がってくると膨張していた細胞も元に戻るので、夜には閉じてしまうってわけさ。これを1週間くらい繰り返したら、ハラハラと散ってしまうんだ。どうだい、面白いだろう? チューリップ以外にも、日中は開いて夜に閉じる花があるから、探してごらん!
チューリップの基礎知識(その2)開ききったチューリップ①チューリップの基礎知識(その2)開ききったチューリップ②
開ききったチューリップ

チューリップの基礎知識(その2)閉じているチューリップ
花を閉じているチューリップ 花びら3枚(外側)、萼3枚(内側)

 

 

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