白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

桐の花と材

ゴールデンウィーク頃になると、藤の花を追いかけるように山々に桐の花が咲き始めるよね。 えっ!! 桐の花はどんな花かって? ありゃりゃ、みんなは桐の花を知らないんだ。桐のタンスは高価でなかなか手が出ないけど、桐の花は結構身近なところで咲いてるんだよ。
桐の花は綺麗な淡い紫色、というよりは藤色って言った方がピッタリかな。ラッパ状の結構大きな花を房状にたくさん付けるから、遠くからでもよく目立つし、近くで見るとそりゃあ見事なんだけど、大きな木の高い枝先に花房を付けるので、木の下を通りかかってもなかなか気づかないことが多いんだよね。
桐の花と材①キリの花房桐の花と材②キリの花(遠景)桐の花と材③キリの花(拡大)
桐は生長が非常に早い樹木で、昔からある地方では、娘が生まれたら桐を植える習慣があるんだぞ。どうしてかって? 桐は15~20年もすれば成木になり、その材が家具として利用できるので、娘が成長して嫁入りの時期が来れば、植えた桐の木を切ってその材で嫁入りの家具を作るんだそうな。
ついでだから教えておくけど、桐という名前は切っても切ってもどんどん生長することから「切る」が訛ってキリとなったと言われているんだよ。じゃあ、ついでにもう一つ、桐の材は国産材で一番軽く、細工がしやすいうえに、防湿性、防虫性があり、そのうえ耐火性もあるので、家具材として重宝しているんだ。
因みに、耐火性があって熱伝導率も小さいので、金庫の壁や扉の内部材として使われることもあるんだぞ。また、昔から、「火事になったら桐のタンスに水をかけろ」と言われているくらいで、これは吸水性に優れ、吸水すると膨張して隙間をふさぐので、タンスの内部に水が入るのを防ぎ、表面が焼け焦げても中まで火が回りにくくて、中の衣類を守ることができるからなんだ。火事の焼け跡から真っ黒に焼け焦げた総桐のタンスが見つかったんだけど、中の着物は無事だったって話もあるくらいなんだ。
桐の種は周りに薄い皮膜があって、風に乗って遠くまで飛んで行きやすいので、街中でもあちこちで種から芽生えた幼木を見かけることが多いんだ。幼木の時は非常に生長が早く、2~3年で数メートルにも育つことがあるんだ。特に若木の頃は葉っぱも凄く大きくて、直径が1メートル近くになるものも多いんだぞ。あまりにも生長が早く、すぐに大きくなって邪魔になることが多く、すぐに切られてしまうので、街中で花を付けるほど大きい木はなかなか見つけられないけど、幼木や若木を見かけることは多いので、一度探してみてごらん!
桐の花と材④キリの幼木桐の花と材⑤キリの葉桐の花と材⑥キリの種子

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