杉と檜
杉と檜と言えば、どちらも日本を代表する針葉樹で、しかも日本建築にとって大変重要な木材だってことくらいは知っているよね。じゃあ、杉と檜の区別は付くかい? このスギとヒノキ、名前を知らない人はいないくらいポピュラーな樹木なんだけど、じゃあ、スギとヒノキをしっかりと区別できるかってなると、区別できる人は意外と少ないようなんだよ。スギの花粉症に悩んでいる人でも、区別が付かない人が多いんじゃないかな。
さて、ではそろそろ解説を始めようか。スギもヒノキもヒノキ科に属する裸子植物で針葉樹、しかも樹形が綺麗な円錐形で、日本中の山々(もちろん人工林)のいたるところに植えられているんだ。たしかに遠目に見ると、どちらも深い緑の円錐形をしていてるから、普通の人はなかなか区別が付かないようだけど、近くで見るとその違いは一目瞭然! 何でこんなに違うのに今まで分からなかったんだろうって思うに違いないよ。
じゃあ、まずはみんなが良く目にする機会のある材木の違いから言ってみようか。丸太を輪切りにすると、スギはその中心部分を含む内側の材(これを心材って言うんだ)が濃い赤茶色をしていて、その外側の材(これを辺材と言うよ)は白っぽくて、綺麗に色分けされているんだ。ところが、ヒノキは材の内側も外側もほぼ同じように白っぽくて区別が付きにくいんだよ。
スギ材 (両側の色の薄い部分が辺材、中心部分が心材)
ヒノキ材 (心材と辺材の色の区別が付きにくい)
それから、どちらも独特の木の良い香りがするんだけど、これは言葉では説明しにくいので省略するね。
次に、山に生えている状態での見分け方だけど、まずは一番区別しやすい葉の形を見てみようか。スギは針葉樹らしく太短くて先の尖った葉が、小枝の周りにびっしりと付いているだろう。じゃあヒノキはって言うと、薄くて平べったくて葉っぱか枝か分からないような形をしていて、さらに裏表があるのが分かるかな? そして葉の裏にはY字型の白い線があるんだ。ほら、写真を見ても一目瞭然、全然違うってのが分かっただろう?
ス ギ の 葉 ヒ ノ キ の 葉
ヒノキの葉裏(白いY字型の線がある)
そして、幹の皮、すなわち樹皮の違いだけど、これはよく似ているのでしっかり観察するんだぞ! どちらかと言えば、スギの方がきめが細かくて薄くはがれやすいんだ。檜の樹皮は丈夫で腐りにくいから、檜皮(ひわだ)と言って、古い寺社建築や京都御所などの屋根を葺く材料として使われてきたんだ。檜皮で葺いた屋根を檜皮葺(ひわだぶき)って言うんだぞ、これは覚えておいて損はないよ。
スギ樹皮(拡大) ヒノキ樹皮(拡大)
ス ギ 樹 皮 ヒ ノ キ 樹 皮
スギとヒノキの違いが頭に入ったら、さあ、里山にハイキングに出かけようか!