白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

初冬に咲く石蕗

石蕗という漢字、みんな読めるかな? おっ、知ってる人がいるねぇ。そう、そのとおり「ツワブキ」と読むんだよ。ツワブキならみんなもよく知っている植物だよね。晩秋から年末にかけて、花の少ない時期に黄金色の花を咲かせるよね。この花が咲き始めると、冬枯れで暗くなり始めた庭がパッと明るくなるので、僕の好きな花の一つなんだ。しかも日当たりの悪いところの方が良く育つので、重宝するよね。
初冬に咲く石蕗①ツワブキの花  ツワブキの花
初冬に咲く石蕗②花の拡大 花の拡大
さて、このツワブキだけど、葉の形などは、春先に地面から直接出る蕗の薹(ふきのとう)で有名なフキに近い形をしているよね。だからツワブキという名がついたんだけど、フキの様な葉の形で、艶々しているから、古来は「艶葉蕗」(つやはふき)と呼ばれていたのが、訛ってツワブキになったと言われているんだ。葉の形は似てるけど、フキの葉は冬には枯れてしまうよね。でも、ツワブキは冬でも青々としている常緑だし、フキの花は春先の蕗の薹だけど、ツワブキは晩秋に小菊のような黄金色の花を咲かせるよね。分類学的には同じキク科に属しているけど、非常に遠い親戚なんだよ。
初冬に咲く石蕗③ツワブキの葉 ツワブキの葉
初冬に咲く石蕗④点斑の入った園芸品種 点斑の入った園芸品種

ところで、ツワブキは何故「石蕗」と書くのか知ってるかい? ツワブキは東北の南部から沖縄にかけて、海岸近くに自生している植物なんだけど、特に岩場に多く自生していることが多いんだよ。だから、「石蕗」という漢字が使われてるんだ。九州などでは、イシブキと呼んでいる地域もあるんだって。
関西や関東では、ツワブキを食べる習慣はあまりないと思うけど、九州、特に鹿児島では、春先に出た葉柄や、秋の花などを食べる習慣があって、みんなもよく知ってる「きゃらぶき」という佃煮は、ツワブキの葉柄を使うのが本来なんだそうだよ。フキよりも香りが強くて、やや苦みもあって絶品らしいよ。どう食べてみたくなったかい? みんなも一度試してごらん。 皮むきや灰汁抜きが必要みたいだけど、詳しいレシピは白井先生に相談してね!
九州以外の地域では食用にはしないけど、あの分厚い葉を火で炙って、柔らかくしたものを傷口に貼って治すなど、民間療法によく使われていたらしいんだよ。
葉は一年中深い緑を湛え美しく、春先には葉柄をきゃらぶきにして味わうことができ、初冬には黄金色の花で庭を明るくしてくれる、最高の植物だね。みんなも是非、日当たりの悪い庭の片隅に植えてみてごらん。もちろん、一度根付けば放っておいても丈夫に育つからご安心あれ!
初冬に咲く石蕗⑥斑入りの園芸品種 斑入りの園芸品種
初冬に咲く石蕗⑤花の後にできる綿毛 花の後にできる綿毛

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