白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操発スタジオ*トピックス

食から学ぶ震災の記録

2015/12/26 

秋から冬の始まりは暖かい日が続き、ゆっくり師走が過ぎました。朝起きたら寒くて紅葉がびっくりするくらい紅くなっていた!…ということはなかったけれど、それなりに紅くなって地面を紅く染めました。山に食べ物があるからでしょうか、ひどく鳥に食べられることもなく、南天や千両、万両の赤い実が枝に残っています。新しい年の始まりにもきれいな実が役に立ちそうです。
スタジオトピックス15.12.21②スタジオトピックス15.12.21①

震災から20年、自分に何ができるだろうと、ずーっと考えていました。当時47歳の私は67歳になりました。振り返ってみたらまわりで働いている友人の多くは組織を卒業し趣味三昧の毎日。「みさをちゃんはいつまで働くの?」と聞いてきます。志がわいてくる内は続けようかな・・・と思ったり、いやいやそれは自分が決めることではないのか・・・と考えたり。そんな中、食から学んだ震災の記録を本にしようと思いつきました。次の世代にも資料として役立ててもらえるよう、学校や図書館、公民館などに置いていただく本です。一般に販売はしません。
取材を通して、神戸市、兵庫県、行政の方たちの大変なご苦労が見えてきました。あの恐ろしい揺れの後、毎日大きな音を立てて神戸の空を飛んでいたヘリコプター。当時新聞の連載をしていたこともあり、報道の方たちが取材に来られ、被災した市民のつらい写真を撮っておられることに何となく違和感を覚えつつも、彼らの痛みと使命感も分からなくもなく、複雑な思いで見上げていました。ところが当時を知る神戸市の方から、道路の使用がガレキの運搬や医療用の車に限られていた震災直後、東京や各地から食料を運んでいたのがあのヘリコプターだったと教えられ、今になってなるほど・・・とその事実を知ったのです。
食べたら出すは当然のこと。トイレは最大のテーマです。避難所でトイレは二日と持ちませんでした。生活環境を整えることが健康の環境を整えることと、各地の避難所をめぐりトイレ掃除を率先してされたのは看護士さんたちだったとか・・・。このことをきっかけにトイレを研究され、現在は東京で活躍されている元行政マンにもお話を伺うことができました。水を備蓄することと同じくらい大切なことは簡易トイレと普段の食べ物の蓄え。その日暮らしはだめですね。今まだ本作りは真っ最中です。また改めて報告を。
食を学びのきっかけにすると分かりやすく暮らしのヒントも見えてきます。経験したから分かったこと、そこから生まれた知恵は、伝え継ぐことで、どこかの誰かの力になると思っています。

ちなみに今日へぇ~と納得した食の学びをひとつ。むいたリンゴにほんの少しゆずの絞り汁をかけておくと時間がたっても茶色くなりません。塩水につけたり、レモン汁をかけるよりおいしいですよ。穏やかな今日に感謝して。

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