白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

ミツマタは非常に身近な樹木

ようやく寒さも緩んできて、春らしい陽気の日が多くなってきたね。そろそろ、桜の開花情報が聞こえてくる頃だね。この頃になると、山では薄黄色いミツマタ(三椏)の花が咲き始めるんだ。
ミツマタって言う木は、生長する際に、必ず三つ叉にえだわかれするので、ミツマタって呼ばれてるのさ。まあ、見てそのままの名前だけどね。
ミツマタ④三つ又に枝分かれしている  三つ又に枝分かれしている

さて、もちろんみんなはミツマタって言う樹木は知っているよね。 えっ! 名前は聞いたことがあるけど、どんな木か見たことがないって? そうなんだ、常日頃、みんなはミツマタに大変お世話になっているのに、それを知らない人も多くなったもんだね。
じゃあ、説明してあげるから、しっかりと頭にたたき込んでおくんだぞ!
ミツマタは、みんなもよく知っているジンチョウゲの仲間なんだけど、ジンチョウゲとは違って落葉樹なんだ。杉林の明るい林床などに自生していて、3月中旬から4月にかけて、枝先に黄色い花の塊をボール状に付けて咲くんだけど、花は色は違うけどジンチョウゲとそっくりな形をしているね。ただし、残念ながらジンチョウゲのような香りはしないんだけどね。
ミツマタ①ミツマタの開花期の樹形 ミツマタの開花期の樹形
ミツマタ②花の拡大 花の拡大

そんな山奥に生えている木に、どうしてぼくたちが日頃お世話になっているのかって? ところで、コウゾ(楮)、ミツマタ(三椏)、ガンピ(雁皮)、この三つの樹木は、和紙の原料として有名だろう? えっ、それも知らないって? まあいいや、説明を続けるぞ。
和紙は、今のみんなの日常生活においては、大変遠いものになってしまったけど、ただ一つ、誰しも毎日、見て触っているものがあるだろう? わかったかな。 そう、それは国立印刷局が製造している日本銀行券、すなわち、紙幣、いわゆるお札だね!
日本のお札には、明治時代以降、和紙の原料が使われていて、それがこのミツマタなんだぞ。外国のお札と比べて、日本のお札は丈夫で綺麗で、複雑な印刷がしやすく、世界最高峰の品質を誇っているんだ。その原料がミツマタって言うわけさ。どうだい、日頃、みんなは大変お世話になっているけど、それを知らなかっただけだろう?
たまには、お札をじっくりと眺めながら、その原料に使われているミツマタに思いを馳せてみるのもイイと思うよ!
ミツマタ③ミツマタの夏期の樹形 ミツマタの夏期の樹形

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