躑躅と皐月
さあ、みんなはこのタイトルの漢字を読めるかな? えっ、馬鹿にしないでよって! ごめんごめん、はい、そのとおり、「つつじ」と「さつき」だね。
ツツジとサツキというこの2種類の花木だけど、この違いが分からないって話をよく聞くんだよ。みんなはどう思う? えぇっ、みんなもよく分からないって!? しようがないなぁ、じゃあ説明するとするか。
まず、根本的にツツジとサツキは別物ではないということ。違いが分かりにくいのは当たり前なんだよ。ツツジという名前の植物は、ざっくりと言えば、植物分類上、ツツジ科ツツジ属に属するもののうち、シャクナゲなどを除いた低木のグループのことを指していて、ツツジそのものという名前の植物はないんだよ。ここでは敢えてツツジ類と呼ぶけど、ツツジ類は主に○○ツツジという名前がつけられているのさ。
コバノミツバツツジ
ヤマツツジ
モチツツジ
春早くに、関西の里山で山桜とほぼ同時に咲き始める濃桃色のコバノミツバツツジ、それを追いかけるように咲き始める朱赤のヤマツツジ、そしてやや遅れて咲くピンク色のモチツツジなど、春から初夏にかけて野山には様々なツツジ類がみんなの目を楽しませてくれるよね。高原地帯では落葉性で樺色のレンゲツツジ、九州ではミヤマキリシマ、街中では植栽されているヒラドツツジやクルメツツジなどが華やかに咲き誇っているよね。
レンゲツツジ
ミヤマキリシマ
ヒラドツツジ
クルメツツジ
さて、そろそろ本題に入るとするか。では、サツキとは何ぞやって話だけど、実はサツキもツツジ類の一つで、日本の深山渓谷の水しぶきが掛かるような岩上に自生するサツキツツジという野生のツツジを基にして、長い年月をかけて品種改良してきたグループをサツキ(一つの種類の呼び名でない)と呼んでいるんだ。
サツキツツジ
ほかの多くのツツジと決定的に違うことは、花を咲かせる時期が遅いと言うこと。他のツツジ類は葉が出る前か葉が出ると同時に花を咲かせるんだけど、サツキは新芽が伸びて葉がしっかりと展開する頃、すなわち5月中旬頃~6月にかけて花を咲かせるんだよ。で、旧暦の皐月(五月)に花を咲かせるツツジ類だから、サツキツツジって呼ばれてるんだ。
サツキ(大盃)
サツキで、みんなが一番よく目にするのが、街路樹や公園、庭木として、日本中で植栽されている「大盃(おおさかづき)」と言う品種があるね。サツキは盆栽として仕立てることも多く、愛好家の間では数多くの品種が育てられているけど、みんなが目にすることができるのは、5月の下旬頃になるとあちこちで開催されるサツキ展くらいかな。たまには、サツキ展に赴いて、サツキのバラエティの多様さを観賞してくるとイイよ。
サツキ盆栽
サツキ盆栽