白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2016.9.9 株式会社ドンク シモン・パスクロウさん 山中誠史さん

2016/9/17 

西宮阪急オープンの時からずっとこのセミナーの会場としておなじみのドンク。今回はドンクのおいしいパン作りの技術を伝え育むお二人をゲストにお迎えしまた。
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三代目で現名誉会長の藤井幸男さんにに乞われ、フランスから来日されたシモン・パスクロウさんは26年の長きに渡り、日本でおいしいパンを作り続け、今もドンク特別技術顧問として活躍されています。50年前、日本で初めて本物のフランスパンを販売したのは東京青山にオープンしたドンクでした。当時ドンクに技術指導に来られていたのはフランス国立製粉学校のカルヴェル教授。パリでパン職人をしていたシモンさんの先生でもありました。「ドンクのエッフェル塔の紙袋は小脇に抱えているだけでなんともおしゃれに見えて・・・。ドンクから日本にパンの食文化は発信されて、パンの技術者も育て広めた場所でもあるのね。」と白井。
ドンクに入社して21年目。西宮阪急オープン時は生産チーフを務め、3年前から技術指導をされている山中誠史さん。ミニクロワッサンが大好きでドンクに入社されたそうですが、職人としてドンク魂を受け継ぐ中で、米粒とパンは同じという思いを持たれるように。「朝食やランチでパンが食べられるように、夕食にもパンを食べて欲しい。おすすめは豚の生姜焼き。のりの佃煮もよく合います。」
甘くないシンプルなパンのおいしさを味わって頂きたいと今日の試食は盛りだくさん。バゲットは3種、アーモンドクリーム、ブリーチーズ、バターを載せて。今がおいしい山形産のだだ茶豆を使ったパン、パリっと焼いたハードトーストを。
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「フランスでは毎日パンとミルクを食べていました。常温のブリーはミルクの香りが豊か。パンの香りと一緒に味わって欲しい。日本では日持ちのする太めのバタールがよく売れますが、フランス人は焼きたてのバゲットを毎日買うのが普通。食べながら帰る人もいますよ」とシモンさん。「バゲットは50年の前と材料の配合は変わりません。小麦粉と水と塩とイーストのみを使い、仕上がりまで6時間。早朝の出勤になるので冬は陽の光を見ない日も多くなります。フランスパンは奥が深くて、経験を積むほどに考えることも多くなるんです」と山中さん。「今食べない分はすぐ冷凍を」とお二人からアドバイス。
フランスパンをシンプルな食パンの形にできないかと作られたのがハードトーストの原点。膨らみの不足を補うために、小麦粉は質のいい強力粉を使われるそう。「ハードトーストが一番売れるのが神戸地区。焼くと外がパリッと中はもちっと化けるんですよ」「ほとんどの食パンもマーガリンではなくでバターを使って、ラードや添加物を使わずに、技術のチカラでおいしく仕上げるのがドンクのパンらしさですね。」
「日本に来た頃は明治屋ぐらいしかまだありませんでした。今は食文化もグローバル化して、チーズが苦手な人は少なくなり、日本食の好みも変わってきました。シンプルなパンのおいしさを毎日の食卓でもっと楽しんでもらえたら嬉しいですね。」「日本のご飯と小麦のパンは同じ感覚で食べてもらえると思います。スープにつけて、カレーに添えて・・・」「パンピザもおいしいですよ。お好きな物を載せて焼いて」「私たちはご飯に味噌汁をかけるとお行儀が悪いと言われてきて、パンを浸すのに慣れてないのかもしれませんね。」「もともとパンは固いもの。焼きたてを食べるようになったのはフランスでもここ100年ぐらいのことです。硬いパンをコーヒーやスープに浸したり、パンプティングやフレンチトーストにしておいしく食べてきたんです。」「バゲットにも日本のおかずは合いますよね。パンを袋状に指で広げると何でも入れられます」3人のパン談義も盛り上がり、
お客様からの質問もたくさん寄せられ、身近にいつでもおいしいパンが食べられる幸せ、パンを愛する思いがあふれる素敵なひと時になりました。(文:土田)

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