白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

2017.3.10 株式会社三宮一貫樓 常務取締役 安藤孝志さん

2017/3/17 

今回のゲストは神戸の3大豚まんのひとつ「三宮一貫樓」の常務取締役 安藤孝志さん。
「神戸豚まんサミット」の発起人のお一人であり、北京料理「中華菜群青」も手掛けられる方。「電車から一貫樓のビルがよく見えますね。」「あのビルは一貫樓本店製麺所のもの。そこからのれん分けした一貫樓が30店ほどあって、ウチもそのひとつなんです。」「へぇ~知らなかった。その中で三宮一貫樓が一番有名になられた、ということね。」「3人の子を育てるために40代で食堂を始めた祖母が創業者。厳しい人でしたが大人になってそれが優しさだったことも分かりました。姉がホール、長男が三宮一貫樓、次男が製造、私が営業と、兄弟4人がそれぞれの責任者として、祖母のスピリットを受け継ぎ店を守っています」。

11月11日の「豚まんの日」に恒例となった人気イベント「神戸豚まんサミット」。「最初の年は私もお手伝いをさせていただいて。大盛況でびっくりでした」と白井。「老祥記の曹さん、四興樓の葉さんとともに、神戸を豚まんで元気にしたいという思いから始めたのが2011年。準備を始めた3月に東日本大震災が起きました。神戸は16年前の震災からここまで復興できたことに思いがおよび、その希望を届けたいと初めての豚まんサミットの収益で、翌年の1月17日には東北へ出向き、ほかほかの豚まんを炊き出しで被災された方にふるまいました。「東に行くと『肉まん』よね」「はい、関西は肉といえば牛肉なので誤解がないように『豚まん』と呼び、関東は肉といえば豚肉なので『肉まん』と呼ぶと言われてます。お礼の手紙にも『肉まん、おいしかった』と書いてましたねぇ」。毎年恒例になった炊き出しは、今年は被災地熊本へ。大いに喜ばれ「ぜひ熊本で豚まんサミットを」との声も頂いたそう。「華僑の方と日本人の違いを感じることはある?」「今は三世の方が多く仲良くしてもらっています。彼らは団結力があって誇りと気骨を感じますね。私は祖母の思いに恥じない仕事をと頑張っています」。
「北野坂の『群青』はとってもおしゃれで素敵なお店ですね。」「ソムリエがいて中華料理とワインを楽しむ、神戸にもそんなお店があったらいいなと」。かつて神戸の食通に愛された東明閣が入っていた建物が震災で倒壊し、店を失われた料理人の張さんは一貫楼に。「グランメゾンの料理人が一品ものの店で働くということになる訳です。でも嫌な顔ひとつせず、店のために本当に良くしてくださって。その腕を振るう場をと定期的にSNSで呼びかけて始まった張さんの料理の会に人が集まるようになって。今年69歳になる彼に、そのキャリアにふさわしい店を作りたかったんです」。

「ところで冷めた豚まんを温めて食べたことってある?」「はは。ありますよ。本当は蒸し器が一番なんですけど、自分が家で温めるときは、水をざぶざぶっとかけて、水気で底がべちゃっとならないように、お皿に箸を渡して豚まんをその上にのせて、空気が通るようにふんわりラップをかけて、電子レンジでチンします。」豚まんにはしょうゆか、ソースか、ソースと辛子、いや何もつけない方が・・・と食べ方もみなそれぞれ、豚まん談義でも盛り上がりました。
夢は「神戸の街に人がたくさん集まるようになること、神戸といえば豚まんと言われるようになりたい」と安藤さん。会社帰りに買ってもスマートに見えるようにと紙袋やパッケージをスイーツのようにかわいいものにリニューアルされたそう。一貫樓袋を持った人を見かけるとついそっと頭を下げてしまうという言葉に、お客様の心もほかほかと温まったひとときでした。(文:土田)

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