ブラッシカ・ラバ
タイトルのカタカナを見てピンと来る人は相当植物に詳しい人だけど、みんなはピンと来たかな?
ブラッシカ・ラパとは、Brassica rapa という横文字をカタカナ読みしたものだけど、これはある植物の学名(すなわちラテン語)なんだよ。さて、ある植物とは何だと思う? といわれても分からないよね。では、正解は・・・・・これがなかなか一口では言えない植物なんだ。
実は、このブラッシカ・ラパ Brassica rapa という名前は、西アジアからヨーロッパに自生していたアブラナの仲間の野草に付けられたもので、大麦畑の雑草としてはびこっていたものなんだ。それが農耕文化とともに東方に移動して、漢の時代の中国に渡ると栽培植物として利用されはじめ、その後、ちょう円半島や日本などの東アジアで盛んに品種改良されて、現在に至っているのさ。日本では、弥生時代にはもう既に青菜として利用されていたみたいなんだぞ。
えっ、ところでその植物は何かって? あっ、ごめん、ごめん。肝心の植物を教えるのを忘れていたね。現在の日本には、アブラナをはじめ、菜の花や菜種と呼ばれるものや、白菜、野沢菜、水菜、小松菜、高菜、青梗菜などの葉物野菜、さらには蕪の仲間まで、全てブラッシカ・ラパを改良して作られたものなんだ。ね、なかなか一口では言えないだろう?
アブラナの花
白菜
小松菜
水菜
青梗菜
蕪
日の菜
花を愛でる菜の花から、油を絞る油菜(菜種)、葉っぱを食べる青菜類、さらには根っこを食べる蕪の仲間まで、アジア人はヨーッロパ人が見向きもしなかった畑の雑草を主要野菜の一大グループに仕立て上げたんだから大したもんだろう?みんながいろんな種類の豊富な野菜を毎日食べられるのも、先人達のお陰なんだから、たまには、古代の先人達に思いを馳せて、よ~く味わって食べてみたら如何かな。
菜の花畑
因みに、現在の菜種油は、同じブラッシカ属の別種である、セイヨウアブラナ Brassica napus から採油していて、さらに、早春にあちこちで見られる菜の花畑も、セイヨウアブラナに置き換わっているらしいぞ。