白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2017.6.23 兵庫県立芸術文化センター 副館長 藤村順一さん

2017/7/1 

セミナーレポート 2017.6.23 兵庫県立芸術文化センター 副館長 藤村順一さん

ガーデンズのすぐお隣、年間800を越える大小の公演やイベントを企画する兵庫県立芸術文化センター。地元では芸文センターと親しまれ、どの公演もなかなかチケットが取りづらいと評判のホールです。開館から13年目となる芸文センターを、立上げからずっと支えてこられた副館長 藤村順一さんをゲストにお迎えしました。

「今回、芸文センターの館長が井戸知事ということを初めて知りました。」と白井。「舞台に携わる皆さんが思い切って仕事ができるように下支えをするのが私の仕事なんです。」と藤村さん。震災後、多くのプロジェクトがとん挫する中で、地元の多くの賛同に支えられ建設に踏み切られた当初のお話から。大都市でもなく、マスコミの拠点もない西宮北口でお客様を呼べるのかという逆風も強かった中、芸術監督・佐渡裕さんの「劇場を街のみんなの広場に。日本一のお客様に来ていただける場所に」という言葉に「お客様を遠くから呼ばなくても、地元の方に支えていただいて喜んで来ていただける、それが一番じゃないかと、気づかされたんです。」と藤村さん。
芸文センター管弦楽団は世界から集う35歳以下のメンバーが3年の在籍でどんどん入れ替わり若手育成のアカデミー的な意味合いを持たせ、大中小3つのホールではスタッフが企画するバラエティー豊かな公演やイベントが開かれています。大人気の佐渡裕プロデュースオペラの前夜祭は地元の商店街と一体となり、地域の夏の祭りとして芸文センター前の広場は大賑わいです。震災後、劇場が地元の人々とともに立ち上がり、支え歩むというスタイルは今やすっかり定着。
「私も舞台のことなんて何も分からない素人でした。館長である井戸知事からソフトは佐渡さんやゼネラルマネージャーにまかせて存分に活動していただきなさい、現場の責任はあなたがとりなさいと言われ、戸惑いもありましたが、これは現場が自由に裁量を発揮するチャンスを井戸知事から頂いたととらえ、現場の説明責任を果たすのは公演入場者や来館者数を延ばすことと考え、結果年間約80万を数えるまでになりました。常に裏方として舞台を支え、お客さまに喜んでいただける方法を考えてきました」。今では、運営が難しくなっている全国の色んなホールへのアドバイスも行う藤村さん。芸文センターができ、西宮ガーデンズができ、その相乗効果が西宮北口のポテンシャルを上げる契機となり、西宮北口は今住みたい町ランキングトップに輝いています。大阪に大きなホールができても集客に大きな影響はなかったのだそうです。
「見学させていただいた芸文センターの佐渡さんのお部屋は色んな方とともにチームで仕事をされる雰囲気がありました。楽譜を管理する部屋にはぎっしりと2500曲ほどのオーケストラ各パートの楽譜などが収められていて。」と白井。「譜面を管理するのはライブラリアンの役目。日本フィルでライブラリアンをされていた方に、ぜひと佐渡さんがお願いしてその方が来て下さっています。」サインを頼まれれば最後の一人まできちんと対応し、自ら率いるスーパーキッズオーケストラは東日本大震災後、東北の海に向かって鎮魂の演奏会を。「佐渡さんはあっと驚くようなことをどんどん実行される、でも後でずっと先を見ておられたことが伝わってくるんです。雑誌のインタビューに佐渡さんのことを『どんなに忙しくても常に普通の人といる』と表現されているのを見て、ほんとにその通りだと思いました」。
「ジャジャジャジャーン」と大きく書かれた芸文センターのオープニングポスターは、ユーモラスにデフォルメされた佐渡さんの顔がアップに。それを受け入れる佐渡さんとそのままポスターとして使用する行政のおおらかさ。「ウチは佐渡さんと井戸知事の2枚看板で、これまでもこれからもやっていきます」と藤村さん。会場にも芸文センターのファンがたくさん。印象に残った公演についての色んな談義も花咲きました。
「オープン1周年には、思いがけず地域の方がバースデーパーティーを広場で開いて下さり『この町に来てくれてありがとう』とつづられた感謝状の文面に思わず涙が。これからも地域の方に喜ばれる存在であるように頑張ります」芸文センターというこの町にしかない文化の発信拠点の歩みを、感動とともに知る素晴らしい時間になりました。

試食は夙川・菓一條の葛玉ぜんざいにひとつぶ氷を落として。(文:土田)

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