白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第4話 春キャベツ

(操さん)
「トントン!ザクザクと切って生で食べても柔らかいし、大きく切ってさっと湯がくと断面の春色のグラデーションがなんとも綺麗で「あ~今年も春が来たな」とワクワクします。昔は無かったですよね、春キャベツ。春キャベツのこと教えてください。どんな風に生まれてきたのかな。」

(ムッシュ・フルーリ)
厳しかったこの冬の寒さも終盤を迎え、野山ではそろそろ春の兆しを感じる頃となってきたねぇ、
この時期から市場に出回りはじめるのが、葉が柔らかくみずみずしくて巻きがソフトな、いかにも春の野菜って言う感じがする「春キャベツ」。この時期にしか食べることのできない美味しいキャベツだよね。
 春キャベツ
ところで、キャベツにグリーンボール、ブロッコリー、カリフラワー、コールラビ、カイランにメキャベツ、ケールそしてハボタン。これらの野菜は、いやいや、ハボタンは野菜じゃないか・・・、みんな同じ仲間なんだって知っていたかな?これらはみんな、もとは地中海沿岸に生えていたケールという1種類の野生の草から、長い年月をかけて人類が品種改良したものなんだぞ。

さて、キャベツは、古代より西南ヨーロッパのイベリア半島で利用されていたケールの原種がヨーロッパ中に広まったとされてるんだけど、古代ギリシャや古代ローマでは、胃腸の調子を整える薬草として使っておったようなんだ。ほら、日本でも胃腸薬にキャベツの名前に似たものがあるだろう?キャベ〇ンてな。
キャベツが日本に最初に入ったのは、17世紀の後半だったようなんじゃが、当時の日本人の口には合わず、何とそれを観賞用として改良してしまったんだか驚きだ。実はそれが冬の花壇を彩るハボタンなんだぞ。世界広しといえども、キャベツ(ケール)を観賞用に改良したのは日本人だけだぞ。みんな胸を張っても良いぞ!!

話が横道にずれてしまったが、その後、江戸時代の終わり頃に再び海外から持ち込まれ、居留地の外国人向けに栽培されていたようなんだ。でも、本格的に日本人が食べるようになったのは第二次世界大戦戦後のことで、食料の増産と食の洋風化に乗って、急速に普及したんだな。ちょうど我が輩の生まれた頃から普及しはじめたってことだな。
 一株のキャベツ

主婦のみんななら誰でも知っているだろうが、キャベツは大きく分けて寒玉系と呼ばれる品種と春キャベツ系と呼ばれる2つの系統があるんじゃ。そう、しっかりと堅く締まったやや扁平な形をしていてずっしりと重い、主に晩秋から初秋にかけて寒い時期に出回る寒玉系。それと、巻きが柔らかく軽くて丸くて腰高、しかも葉が凸凹していて3~5月頃にかけて出回る春キャベツ系があるよな。みんなはどっちが好きかのぉ? 炒め物やお好み焼き、それにロールキャベツなどの煮物は、葉が平たくてしっかりとした寒玉系が向いていて、生で食べるサラダや浅漬けなどには葉の柔らかい春キャベツが向いているんじゃろうけど、この辺の話は我が輩より白井先生に任せておこうかな。
 キャベツ(寒玉系)

寒玉系は暑い夏の真っ盛り、7月下旬には種をまくんだぞ。そして丁寧に育てた苗を9月上旬には畑に定植するんじゃ。それからは虫との戦いが始まり、そして、11月から年明けにかけてようやく収穫するんじゃ。
春キャベツは、9月~10月にかけて種をまき、年内に定植して寒い冬をグッと我慢して越させ、早ければ2月中下旬頃から収穫しはじめるんじゃな。もちろん、寒玉系と春キャべツ系は品種が全く違っていて、寒玉系を秋にまいても春キャベツのようにはならないんだぞ。
 キャベツ畑
去年の10月には、2つの台風と長雨により、苗が十分に育たなかったから、その影響が年末から出てきて、例年の2~3倍もの値段が永く続いたけどここに来てようやく手の届く値段になってきたかな。でも、苦しいのは家計だけじゃなく、生産している農家も同じ。みんなも農家の皆さんの苦労を分かってあげてほしいもんだ。農業はなかなか予想がつかない自然相手の仕事だからなぁ。半年もかけて手塩にかけて育てた春キャベツが、普段なら200円足らずで買えるんだからな!

 (操さん)
「へぇ~、キャベツ作りは大変なんですね!。長い時間をかけ虫や天候とも戦って、やっと私たちの前に出てきてくれるキャベツ。大切に食べさせてもらわないと申し訳ないですね。今回ご紹介するのはキャベツを使った懐かしいサラダです。」
春キャベツたっぷり懐かしいハムサラダはコチラ

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