第6話 グリーンアスパラガス
(操さん)
「トントン!ヨーロッパの人々はホワイトアスパラを食べると春がきたなぁと思うそう。昔スタジオの庭にグリーンアスパラガスが植わっていて、春になると毎年思いがけない場所からにょきにょきと元気に顔を出すのが何とも楽しみでした。春を告げるグリーンアスパラガスのこと、あれこれ教えてくださいな。」
(フルーリ)
アスパラガスといえば、みんなは何を頭に浮かべるんだろう? グリーンアスパラ、ホワイトアスパラ、それとも観葉植物のアスパラガス? まあ、一番よく目につくアスパラガスといえば、グリーンアスパラなんだろうな。 春先から初夏にかけて、筆先のような形をした新芽が束にして売られてるからね。これをさっと湯がいて、マヨネーズをつけて食べると最高だね! 炒めて塩こしょうしたものも、ビールの友にまた良し! おっと、料理は操ちゃんに任せておかなくちゃ!
グリーンアスパラガス
アスパラガスは、古くから地中海東部からロシア南部にかけて自生したものを利用していたようなんじゃが、紀元前200年頃には、ギリシャやローマですでに栽培されていたんだと。日本へは、江戸時代後半にオランダにより観賞用として伝えられ、食用として本格的な栽培が始まったのは、大正以降なんじゃ。そのころは、欧米に輸出する缶詰用としてホワイトアスパラの栽培が主流だったんじゃな。その後、昭和40年代以降はグリーンアスパラが主流になったんだな。
ホワイトアスパラガス
さて、このアスパラガスという植物の親戚は日本にも自生していて、キジカクシやクサスギカズラなどがあるんじゃが、アスパラガスは、和名をオランダキジカクシと呼んでいるんじゃ。キジカクシとは、「雉隠し」と書いて、この植物が茂ると、雉が隠れてしまうほどに繁茂するからなんじゃ。ちなみに、アスパラガスの仲間は、葉が退化してしまっていて、細い葉に見えるのは偽葉(ぎよう)といって茎が変化したものなんだぞ。 葉は、茎の周りについている三角形をした袴のようなものがそうなんじゃ。
茎が変化した偽葉
アスパラガスの花・実
アスパラガスは宿根草なので、一度植えると10年くらいは収穫し続けることができるんじゃが、根の量がものすごく多くて(写真を参照)、株にしっかりと栄養をつけておかないと、毎年、春に太い新芽が出てこないんじゃ。だから、植えつける前の土づくり(特に、たい肥などの有機物の施用)がすごく重要なんじゃ。それに加えて、毎年の十分な肥培管理を怠ると貧弱な細い新芽しか出てこなくなるからのぉ。毎年植えつける手間は要らないけど、その分ほかに必要かつ重要な作業がたくさんあるから、農家のみなさんは大変なんだ。だから、心して食べるんだぞ。
アスパラガスが繁茂した夏の様子
アスパラガスの非常に大きな塊根
ところで、アスパラガスの学名は、Asparagus officinalis なんじゃが、このofficinalisという単語は、「薬用として使われる」という意味のラテン語で、古くから利尿作用や健胃作用が知られていたようなんじゃ。日本に自生している親戚のクサスギカズラも、根を蒸したものは「天門冬(てんもんどう)」と呼ばれる生薬なんじゃ。その主要成分はアスパラギンで、滋養、強壮、止渇などの薬効があるそうな。
アスパラガスは、ビタミンA,B1,B2,C,Eに葉酸などを含み、非常に栄養豊富な野菜じゃから、しっかりと食べるようにな。 あっ、そうそう、ちなみに、冷蔵庫で保管するときは、濡れた新聞紙などで包み、上下を間違わないように立てて保存するとイイぞ。
(操さん)
「へぇ~!栄養たっぷりなのはびっしりと張る根のおかげだったんですね!根っこが薬になる仲間がいるなんて、かわいい見た目よりずっと力強い野菜。アスパラガスの歯ごたえと味わいをシンプルに楽しむこんなレシピはいかがですか。」
「グリーンアスパラガスとベーコンのソテー」のレシピはこちら>