セミナーレポート 2018.9.6 社会福祉法人プロップ・ステーション 理事長 竹中ナミさん
2018/9/13
ゲストはパソコンを使った情報通信技術で障害のある人の就労を支援する「社会福祉法人プロップ・ステーション」の理事長、竹中ナミさん。「一昨日かな?新聞でナミねぇの記事を見て。ナミねぇの活動は注目されているのね」と白井。「いろんな取材を受けるけど、元はワルやったってちゃんと書いてくれてる記事が好き!」と笑顔のナミさん。
プロップ・ステーションの始まりは、26年前、事故で寝たきりになった青年との出会いから。「彼は自分は人に手助けしてもらうばかりでなくて、自分も誰かの役に立ちたいし、働いて稼いでtaxpayer(納税者)になりたいと言うんです。人はお金のためだけに働くのではない、生きていくというのは人と関わって助けて助けられることやと気づきました。ベッドの上で守られていたらいいという思い込みが差別につながることも。PCがあればどこでも仕事はできる、海外ではすでに実現しているという彼の話を聞いて一緒にやろうと始めたんです」。
「ビルゲイツさんと直接会ったのよね?」「プロップを始めた頃はIT業界やベンチャーの若い人たちが応援してくれたんです。マイクロソフト社が日本にも進出した頃で、日本法人の社長の紹介でビルゲイツさんにも会って『あなたの活動は必要です。応援します』と言ってもらえました。プロップを社会福祉法人にしようと国に相談すると最初は福祉の手当てがあるから大丈夫でしょと言われたり、高価なPCを売りつけるのでは?と疑われたり。なんとか話を進め、法人認可に必要な基金1億円はビルゲイツが用意してくれることになりましたが、必要書類としてビルゲイツの禁治産者証明・印鑑証明・通帳の残高証明を提出しなさいと言われて・・・。アメリカ人に印鑑証明って・・・!?。そこで日本法人の社長に事情を話すと『私の証明書を用意します』とすぐに準備してくれて無事申請することができました。社会福祉法人になると社会的な信用が増し、企業から大きな仕事の依頼も来るようになります。いろんな方に手助けや知恵をたくさんもらいました」とへぇ~!!なエピソードを。
「障害を持つ人でも自分と違うやり方ですごいことができるかもしれない。小さい時からそんな教育ができたらいいなと思います。弱者に手を貸すことから一歩進んで、弱者を弱者でなくしていくプロセスが福祉かなと。経済活動だと思っているんです」。障害がある人は「気の毒」ではなく「宝物」に見えるとナミさん。
活動の原点は重度の心身障害を持つ娘さんの存在。「目もほとんど見えなくて、言葉が理解できなくても、私が歌うと笑顔が出たり、機嫌が良くなったり。」いつしか歌のチカラってすごいなぁと思うようになられたナミさん。還暦の時、アメリカ大使館から表彰されたり、皇室の園遊会に招待されたりと嬉しい出来事が続き、仲間からお祝いは何がいいと聞かれ「プロの演奏家の生演奏で歌いたい」とリクエスト。人前で歌う楽しさ、拍手を受ける喜びに感動して以来、ライブ活動もライフワークに。直近のライブ予定は、10月3日(水)京都祇園ボンズ・ロザリーというライブハウスでの『古希 記念ライブ』とのこと。ナミさんの予定は仕事もライブもHPで誰でも見られるそう。
少し時間を残して、東京での次の仕事に間に合うように、会場を飛び出して行かれたナミさん。NHKの経営委員や中央省庁へのアドバイスなどひっぱりだこ。どこへ行ってもどんな人からも「ナミねぇ」と呼ばれる明るくオープンなお人柄が伝わります。会場からは「パワーをもらいました!」「ラジオで聞いて気になっていた方。お話を聞けて楽しかった」と嬉しい声がたくさん寄せられました。
試食はドンクのハードトーストに、東洋ナッツの「パンに塗るアーモンド」を。アクセントに「あの日の梅干し」を少し添えて・・・。 (文:土田)