白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第11話 生しいたけ

  (操さん)
「トントン!すっかり秋らしくなりました。秋はきのこの季節。そしてきのこは旨みの宝庫!松茸、しめじ、舞茸、えのきにマッシュルーム・・・いろんなきのこがあるけれど、一番身近なきのこと言えば、やっぱりしいたけかなぁ。今回はしいたけのこと、いろいろ教えてくださいな。」

 (ムッシュ・フルーリ)
シイタケは日本を代表する食用キノコで、英語でもShiitakeと呼ばれていて、世界に通用するんだ。国内の生産量はエノキタケやブナシメジに次いで3番目に甘んじてるんだけど、生産額はキノコ中最大なんだぞ。ということは、単価が高いってことだな! シイタケは,生食する「生しいたけ」だけでなく、乾燥させた「干ししいたけ」としての利用もすごく多い
んだ。シイタケは乾燥させることでうまみと香り成分が飛躍的に増えることが知られていて、うまみ成分として有名な昆布に含まれるグルタミン酸、鰹節に含まれるイノシン酸と並んで、干しシイタケに多く含まれるグアニル酸が、三大うまみ成分といわれているんだ。
  (野生のシイタケ)

さて、バーベキューといえば、お肉と野菜はもちろんのこと、生しいたけは絶対はずせないよね。えっ!? 生しいたけは好きじゃないって? そうなんだよな。シイタケはピーマン、ニンジンなどと同じように、風味や食感に癖があって、好みが分かれる食品の一つなんだってさ。そう、好き嫌いがはっきり分かれるってことさ。収穫したばかりの肉厚の生しいたけの笠を裏返して炭火で焼いて、バター一欠けに醤油をチョット垂らせば最高に旨いんだけどなぁ。

ところで、シイタケはマツタケと違って人工的に栽培できるキノコなんだけど、どの様にして栽培してるか知ってるかい? 今、市場に出回っているキノコ類のほとんどは、菌床栽培といって、オガクズなどの木質基材に米糠などの栄養源を混ぜた人口の培地で栽培されているんだ。シイタケはもちろん、エノキタケ、マイタケ、ブナシメジ、ナメコにエリンギなど、ほとんどのキノコがそうなんだけど、施設内で温度と湿度そして光を制御してやれば年中栽培できるから、工場生産と同じように、一定品質で一定量を計画的に生産できるので、みんなが求めやすい低価格で提供できるんだぞ。

(菌床栽培のしいたけ 出展:日本産・原木乾しいたけをすすめる会)

この菌床栽培に対して、もう一つの栽培方法の原木栽培っていうのがあるんだ。これは、天然の木を使って栽培する方法で、キノコの種類ごとに適した樹木を伐採し、その枯れた丸太に直接キノコの菌を植え付けるんだ。今では、ほとんどシイタケだけがこの栽培方法で生産されているんだけど、高度な技術に加え手間暇がかかるため、今では原木栽培をする生産者は随分と減ってきているんだ。でも、原木栽培のしいたけは、肉厚で味も香りも濃くて食感も全く別もんだぜ! もし、食べたことがないのなら、是非、一度は味わってみてほしいな。きっとその美味しさにびっくりするから!

(収穫間近の原木栽培のしいたけ 出展:日本産・原木乾しいたけをすすめる会)
今では、食品表示法に基づいて、「菌床栽培」もしくは「原木栽培」と表示しなければいけないようになっているから、買う時にしっかりと表示を確認するんだぞ。まぁ、原木栽培のシイタケは、チョットお高いから直ぐに判るけどね。

兵庫県内でも、原木栽培をしている生産者が僅かながらにいらっしゃって、特に、北摂地域には20数人の生産者が「北摂原木しいたけ振興協議会」を組織して、ほんとうのしいたけの味を守っているんだ。原木栽培に使うほだ木は、近隣の里山からクヌギやコナラなどを伐採してくるんだけど、このような作業が里山の環境を維持していることにもなっているんだぞ。

(原木栽培のしいたけ 出展:日本産・原木乾しいたけをすすめる会)

どちらにしても、この生しいたけはめっちゃ旨い。 こりゃぁ、生しいたけを使った操ちゃんの料理が楽しみだな!

(操さん)
「原木しいたけは確かに一度は味わっておきたいおいしさ。生産者の手間ひまを思います。シイタケって日本語も英語も同じ・・・とは知りませんでした。きっと世界中にその土地の特有のきのこがあるんだろうなぁ。なんだかきのこをたっぷり食べたくなってきました。」
「きのこたっぷりビーフストロガノフ」のレシピはこちら>

へぇ~の雑学一覧へ戻る