白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第24話 ポインセチア

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
➀12/19(土)②1/16(土)③2/20(土)
(各13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第24話 ポインセチア
 さあ、師走に入り今年もいよいよ大詰めになってきて、街中はクリスマス一カラー色だね。クリスマスの花といえば、もう何といってもポインセチアだよな。フラワーセンターでも11月21日からポインセチア&スミシアンサ展をやってるぞ!スミシアンサについては、去年に話をしたので、今回はポインセチアについて話をしてみようか。

ポインセチアは、植物に興味のない人でもそ名前や姿を知らない人はまずいないだろうな。それくらいこの時期にはポピュラーになった植物だな。クリスマスといえば、ポインセチアと言われるようになった一番のポイントは、ポインセチアそのものが、赤と緑というクリスマスカラーだったからだろうな。
ポインセチア

そもそもクリスマスカラーとはどうして赤と緑なんだって? えっ、そんなことも知らないのかい? じゃあ、その辺の基本から説明するとするかな。
まず「赤」だけど、これはキリストが十字架の上で流した血潮を表しているんだ。こう聞くと、ギョッとするかもしれないけど、これは、自分自身の死をもって人の罪をあがなおうとするキリストの愛と犠牲を表しているんだぞ。つまり、キリストは命がけで人々を愛しているということなんだ。
次に「緑」だけど、これは「永遠のいのち」を象徴していて、クリスマスツリーに使われる「モミの木」は、一年中枯れることなく緑を保つ常緑樹。この「枯れることがない」というところから、緑色は、キリストが与える命は永遠のものであることを表す象徴としてされているんだぞ。
ポインセチアの新品種たち➀

ポインセチアがクリスマスに飾られるようになったのには理由があって、話は、300年以上前の17世紀までさかのぼるんだけどね。17世紀、メキシコに住み着いたフランシスコ修道会の僧たちがポインセチアと出会うんだ。そして、ポインセチアの赤は「キリストの血」、緑は「永遠の象徴」を表すことから、縁起のよい植物として「ノーチェ・ブエナ(聖夜)」と呼ぶようになったんだな。最初は、キリストの誕生祭の行列で使われ、徐々にクリスマスの飾りとして世界中に広まっていったらしいんだ。やっぱり、真冬に咲く赤と緑がぴったりとハマったんだね。

ところで、当初「ノーチェ・ブエナ」と呼ばれていたものが、どうして「ポインセチア」になったのかって? それは、時が下って、アメリカ合衆国の初代メキシコ公使だったJ.R.ポインセットが「ノーチェ・ブエナ」を本国に紹介したところから、彼の名前を取って「ポインセチア」と呼ばれるようになったんだな( Poinsett ⇒ Poinsettia )。

日本には、明治になってから導入されたんだけど、当時は、ショウジョウボク(猩々木)と呼ばれてたんだ。これは、ポインセチアの赤く色づく苞を、大酒飲みで赤い顔が特徴の伝説上の動物「猩々」になぞらえて名付けられたんだ。でも、今ではこの名前を知ってる人は少ないだろうね。

さて、ポインセチアがなぜ冬に花が咲くのかってことだけど、ポインセチアは短日植物と言って、秋になって日長が短くなると花芽をつける性質があるんだ。だけど、温帯地方ではその頃には気温が下がってくるので、熱帯育ちのポインセチアには寒すぎるんだな。だから、11月頃に花を付けさせるには、まだ日が長い夏ころから日長を短くする短日処理をして、花芽を分化させてから温室内で管理をすると11月頃には花の周りの苞(ほう)が赤く染まるようになるんだ。
苞の中心部にあるポインセチアの花

ちなみに、みんなは知ってると思うけど、ポインセチアの赤いところは、花びらじゃなくて葉が変化した苞が色づいたもので、花はその苞の中心部にある粒状の物で、花弁はないんだぞ。花が付くころにはその周辺の苞が赤く色づいて、受粉を助けてくれる昆虫たちを呼び寄せるってわけさ。だから観賞価値がほとんどない花でも、それが付かないと苞が赤く染まらないってことなんだぞ。その小さな花が実は面白い形をしているので、是非フラワーセンターに来て、良―く観察してごらん!!

最近では、赤だけでなく白やピンク、絞りの入ったものなど数多くの新品種が育成されているので、冬の室内に飾るのが楽しみだな。


ポインセチアの新品種たち②

「ポインセチア」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

 

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