白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第33話 原種シクラメン(シクラメン・ヘデリフォリウム)

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと秋の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
➀10/16(土)②11/20(土)③12/18(土)
(各13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第33話 原種シクラメン(シクラメン・ヘデリフォリウム)

シクラメンと言えば、知らない人がいないくらい、年末には欠かせない鉢花だよね。じゃあ、シクラメンの故郷はどこか知っているかい? これが意外と知られていないんだよな。
そもそも、シクラメンと言う植物は、野生種(原種)が24種ほどあって、そのすべてが、地中海沿岸地域(ヨーロッパ側とアフリカ側)~小アジア~中東~黒海沿岸に加え、一部がアルプスの北側の北東ヨーロッパの山地に分布してるんだ。 その野生種のうち最も見栄えのする1種、すなわちシクラメン・ペルシクム(Cyclamen persicum)だけを使って品種改良したのが、年末に出回る鉢物のシクラメンなんだ。
このペルシクムっていう野生種は、エーゲ海のクレタ島やロードス島~トルコ沿岸部~シリア、レバノン、イスラエルなどの中東地域に加え、アフリカ北東部のリビア、アルジェリアなどに分布しているんだけど、これらの地域は、地中海地域の中でも冬が非常に暖いところなので、ヨーロッパで品種改良する際に温室植物として育成されたことから、今でも室内または温室植物として扱われているんだな。                        シクラメン・ペルシクム(野生種の鉢植え)▶

◀シクラメン・ヘデリフォリウム(鉢植え)

ところで、今回紹介するのはタイトル通り「原種シクラメン」なので、鉢物のシクラメンとは、全く違うものって思った方がいいかもね。さっきも言ったけど、シクラメンには24種もの野生種があるので、その中には、暑さや寒さに強く、全く気象条件が違う日本でも庭植えできるものがいくつかあるんだ。そのうちでもっとも栽培しやすく、植えっぱなしでも、こぼれ種でどんどん増えていく種類を紹介するぞ。もちろんフラワーセンターの園内にも地植えしているから、是非見に来てほしいな。

一番栽培しやすい種類は、シクラメン・ヘデリフォリウム(C. hederifolium)っていう種類なんだ。この種は、フランス東部~イタリア・ギリシャ・トルコまでの地中海沿岸部に広く分布していて、夏場の休眠中には木陰になるようなところに自生しているんだ。自生地の気候は、地中海性気候だから、夏は高温で乾燥して、冬は温暖で湿潤と言う気象条件なんだけど、正反対のような気象条件の日本でも結構育ってくれるんだ。寒さにはめっぽう強くて、-15℃でもビクともしないんだぞ。

シクラメン・ヘデリフォリウム(地植え)▶

このシクラメンの生活パターンは、夏の間、地中で休眠していた球根が、早ければ8月下旬頃から動き始め、秋の彼岸頃には花が咲き始めるんだ。球根からは、先ず花だけが上がってきて、少し遅れて葉が出てくるので、10月の満開時には、地面から小さな可愛らしい花だけがたくさん出ているような状態なんだ。どうだい、なかなか奇麗なもんだろう? 秋口に球根を地植えして、その後は植えっぱなし状態で毎年咲いてくれるし、花の後には果実ができて、翌年6月頃にはそれが熟して、中にある種がアリに運ばれて、あちらこちらから実生苗が生えてくるようになるとしめたもんだね!

庭植えで重要なのは、水はけがよい土であることと、夏場に日陰になるような落葉樹の下など、地面に直射日光が当たらないことなんだ。もちろん落葉などでマルチをすれば最高だね。でも、冬から春にかけてはよく日が当たる方がいいんだぞ。その点に注意して、庭をシクラメンの園にしよう!!

 

◀シクラメン・ヘデリフォリウム(地植え)

 

 

 

 

 

 

 

「原種シクラメン(シクラメン・ヘデリフォリウム)」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

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