白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第35話 ブーゲンビレア

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
➀12/18(土)②2022/1/15(土)③2/19(土)
(各13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第35話 ブーゲンビレア
今年もいよいよ師走に突入。この頃になると、フラワーセンター大温室にあるフラワーホールでは、ブーゲンビレアが咲き始めて一段と華やかになるんだよ。

▲「フラワーセンター大温室内のフラワーホール内のブーゲンビレア

ブーゲンビレアは、中央アメリカ~南アメリカの熱帯雨林が原産のつる性木本で、1970年代にフランスの植物学者によってブラジルで最初に発見されたんだけど、彼が学名を命名する際に、彼の友人であるブーガンビル(Bougainville)を讃えて命名したので、ブーゲンビレア(Bougainvillea)となったってわけさ。このように、植物学者が学名を命名する際に、その植物の発見に関与した人などの尽力に敬意を表して、その人名を学名とすることが多く、その行為を「献名」って言うんだよ。世の中には献名として命名された学名を持つ植物が結構あるから、この仕組みは覚えておいて損はないよ(例えば、ストレリチア、ロベリア、マグノリア、プルメリア、チランジア、ツンベルギア、ジニア・・・など)。
▶八重咲の園芸品種

ブーゲンビレアには15種ほどの野生種があるんだけど、現在栽培されているブーゲンビレアのほとんどは、そのうちの3種を交配して育成された園芸品種なんだ。熱帯植物だから寒さには弱いように消えるけど、意外と耐寒性があって、「サンデリアナ」と呼ばれている在来品種などは、軽い霜程度なら耐えられるので、ほぼ無霜地帯であれば露地栽培も可能なんだ。沿岸部にある大阪や神戸の都心部では戸外に植えられていて、毎年奇麗な花を咲かせているよ。さすがに、内陸にあるフラワーセンターではそうはいかないけどね(フラワーセンターでは、最低気温が-8℃くらいまで下がるからねぇ)。            ▶斑入りの園芸品種

◀ブーゲンビレアの花
(花の中心部にある3個の丸く白いものが花で、周りのピンクに色づいているのが苞)

ところで、ブーゲンビレアの花を間近で観察したことはあるかい? じゃあ、奇麗に色づいている花びらのようなものは花びらじゃないことなど、すでに知っているのかな? 知る人ぞ知る事実は、奇麗に色づいているものは、実は花弁ではなくて苞(ほう)だってこと‼ 苞っていうのは、花がまだ小さな蕾の時に外界から保護する役目を持っているもので、葉が変化したものなんだ。苞が花びら状に大きくなって色づいているものとして、ブーゲンビレアの他には、ポインセチア、ヘリコニア、ハナミズキやヤマボウシ、ミズバショウやカラー、アンスリウムなど、数え上げればきりがないほど。じゃあ、ブーゲンビレアの花びらはどこにあるのかってことだけど、写真のとおり、3枚の苞に囲まれて小さなトランペット状の花があるんだけど、そのトランペット状の物が花びらなんだぞ。花は小さくて見栄えがしないもんだから、苞がその代わりの役目を引き受けて、昆虫などを引き寄せてるんだな。

ブーゲンビレアを育てている人達からの良くある質問が、「つるや葉ばかり茂ってなかなか花が咲かない」っていうもの。ブーゲンビレアの花を咲かせるにはちょっとしたコツが必要なんだ。高温多湿の熱帯雨林に育つブーゲンビレアだけど、高温で雨の多い時期には花が咲きにくいんだ。そこで、花を咲かせるには、日長時間の短い時期に低温に会わせて乾燥気味にすることなんだ。だから、日本では日長が長い夏の高温時には咲かずに、晩秋から翌春の間に花が咲くことが多いよね。ただし、低温に会わすと言っても10℃~13℃くらいの温度で、凍えるような温度はダメだぞ。最近は蔓があまり伸びなくてコンパクトに育つ園芸品種が鉢植えで出回っているから、一度育ててみては如何かな?

「ブーゲンビレア」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

 

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