白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第38話 水芭蕉

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと春の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
2022/3/19(土)
(13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第38話 水芭蕉

🎵 夏が来れば思い出す 遥かな尾瀬 遠い空・・・
・・・水芭蕉の花が咲いている水のほとり・・・🎵

ミズバショウの花▶

みんなもよく知っている「夏の思い出」っていう歌だね。夏の風景を歌っているらしいけど、実際には尾瀬沼でミズバショウが咲くのは5月頃らしいよ。もちろんフラワーセンターでは、暖かい年なら3月下旬頃から4月いっぱいまで白い花を咲かせているよ。

えっ、フラワーセンターにミズバショウが咲いてるの??? っていう声が聞こえてきそうだけど、ちゃんとある場所では毎年咲いているんだよ。
◀フラワーセンターで毎年咲くミズバショウ

 

芝生広場と友愛の道との間に小さな池、というか湿地があるんだけど、そこに10数株植えられているんだ。そこはあまり水の流れがないので、生育はそれほど芳しくはないけど、毎年律義に花を咲かせてくれるんだぞ。知らなかった人はこの春に探してみてごらん。

 

さて、誰でもその名をよく知っているミズバショウだけれど、その実態を知っている人は少ないんだよな。 そこで、今回はミズバショウについて蘊蓄を述べてみようかな。

ミズバショウはサトイモ科に属する多年草で、日本では本州以北と北海道、それにサハリン、千島列島、シベリアなどの寒冷地の湿地帯に生育する植物なんだ。ミズバショウっていう名前なんだけど、これは花後に大きく育ち、時には1mにもなる葉が、芭蕉布の材料として利用されているイトバショウの葉に似ているからで、水辺に生えるバショウのような植物っていうことで、ミズバショウと名付けられたんだな。
花後に大きく生長した葉▶

ところで、みんなが好きなミズバショウの白い花なんだけど、白い部分は花弁じゃあないことは知っているよな? ん? どうも知っている人は少ないようだね。この白い部分は苞(ほう)というもので、蕾や花を保護するために、そして花弁の代わりをするために葉が変化したものなんだ。ミズバショウの白い苞の中央部分に立っている円柱状のものが小さな花がたくさん集まった花序というもので、それぞれの花は小さくて目立たないものだから、花粉を媒介してくれる昆虫たちに見つけてもらいやすくするために、苞が大きく白くなっているんだぞ。

◀小さな花が集まっている肉穂花序

 

ミズバショウの属するサトイモ科の植物は、ほとんどがこのような花の形をしていて、ちょうど仏像の後ろに立っている炎のような形をした光背に見立てて、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼んでいるんだ。例えば、アンスリウムの赤い部分、カラーの白い部分なんかがそれにあたるんだ。他にも、スパティフィラムやマムシグサ、ウラシマソウなんかも同じだよね。これらのサトイモ科の花を見る機会があれば、よ~く観察してご覧!!
白く大きな仏炎苞▶

「水芭蕉」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

 

第37話 コブラオーキッド

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
➀2022/2/19(土)②3/19(土)
(各13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

37話コブラオーキッド

コブラは毒蛇のコブラ、オーキッドは英語でランのこと。何ともいかめしく、毒々しい名前だけれど、その花を見れば、毒蛇のコブラが鎌首をもたげているように見えないでもないかな。
▶コブラオーキッドBulbophyllum maximum     

毎年、年末から翌年の3月くらいまで、3か月もの間フラワーセンターのラン室に展示してあるんだけど、どのくらいの人がこの花に気づくんだろうか? 写真の様に平べったくて捻じれのある30㎝ほどの茶色い花茎を伸ばして、その真ん中に1センチにも満たない同系色の小さな花が裏と表にお行儀よく一列に並んでいるんだ。
◀コブラオーキッドの花の拡大

このランは、アフリカのケニア、タンザニア、ウガンダなどの熱帯雨林の樹上に着生しているんだけど、地上から見上げてもまず見つかることはないよね。
コブラオーキッドが属するマメヅタラン属(Bulbophyllum バルボフィルム)は、日本にもマメヅタランやムギランなど数種自生しているけど、いずれも小さくて地味な花を咲かせるんだよ。
▶マメヅタラン Bulbophyllum drymoglossum
でも、この属のランは世界中の熱帯地域に1000種以上も分布していて、ラン科の中でも非常に大きなグループで、その形態もおよそ同じ仲間とは思えないような変化を遂げていて、奇麗な色の花もあれば、一見、花とは思えないような形をしたものまで、千差万別。
◀ムギランBulbophyllum inconspicuum

ところで、みんなはランと聞けばカトレヤやコチョウラにシンビジュームなど、鮮やかな色彩で、しかも豪華で華やかな大きな花を付ける植物たちを思い起こすよね。ところがラン科植物はそんな花ばかりじゃないってことを分かってほしいな。折角だから、ここでラン科植物についてちょっと勉強してもらおうかな。

地球上の陸上に分布している植物は約25万種あるんだけど、そのうち、ラン科に属する植物は2万6千種もあって、陸上植物の1割以上を占めるほど大きなグループなんだ。そして、南極大陸を除くすべての大陸に分布しているんだ。どうだい、凄いだろう?
▶バルボフィルム・メデューサエBulbophyllum medusae

現在、地球上で繁栄を遂げている、花を咲かせ、種子を作る被子植物は1億4000万年前(ジュラ紀)に裸子植物(針葉樹やソテツ、イチョウなど)から分かれて進化したと考えられているんだ。その中でもラン科植物は約8000万年前ころ、すなわち恐竜が絶滅するちょっと前に地球上に現れているんだ。
◀バルボフィルム・ロビィBulbophyllum lobbii

今では、地球上に最も遅く現れたグループと言われているのさ。その頃の陸上には既に物凄く多くの種類の植物が蔓延っていて、最も後発のラン科植物が生きていく場所をを確保することは非常に難しかったんだな。そこで、発生初期のランは、他の多くの植物たちとの無駄な生存競争を避けるため、地上で生きていくこと(これを地生といいます)を捨てて、空中、すなわちほとんど植物がいない樹上や岩上で生きていく道(これを着生といいます)を選んだんだ。樹上や岩上に着生することで十分な生息場所を確保したランたちは、その後急速に進化を遂げて、僅か数千万年の間に陸上植物の1割を超えるまでに進化したんだ。
しかも、その急速に進化した要因はもう一つあるんだ。それは、受粉に昆虫を利用したことなんだ。
▶バルボフィルム・ロスチャイルディアヌムBulbophyllum rothschildianum 
実は、鬱蒼と植物が生い茂る地上ではなく、非常に日当たりや風通しが良く、かつ見晴らしが良い樹上に生育場所を選んだことで、空中を自由に飛び回っている昆虫たちに見つけられやすくなったんだ。そこで、昆虫たちに受粉を手伝わせることを考えたランたちは、昆虫たちに花蜜という報酬を与える代わりに、花粉を運んでもらうという仕組みを思いつき、昆虫たちを誘き寄せるために、色鮮やかな大きな目立つ花や小さくて目立たないけどよい香りのする花など、昆虫たちが魅了されるあらゆる手法で花を変化させていったんだ。
その結果、ランたちの進化に伴って、昆虫たちも大きな進化を遂げていき、ランと昆虫の共進化(お互いに影響し合いながらともに進化していくこと)という現象が生まれ、さらにお互いの進化のスピードを上げたっていうわけさ。
◀バルボフィルム・カルンキュラタムBulbophyllum carunculatum

どうだい、少しはランを見る目が変わったかな? これから全国各地でラン展が開催されると思うけど、ランの花を見たときには、その生い立ちを思い出しながら、じっくりとその花を観賞してみるのもいいと思うよ。

「コブラオーキッド」を見に行こう!
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第36話 ブラックキャット

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
➀2022/1/15(土)②2/19(土)③3/19(土)
(各13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第36話 ブラックキャット

ブラックキャット、すなわち黒猫という名前を付けられた花があるのを聞いたことがあるかなぁ? まずは、次の写真を見てもらおうか。

どうだいこの写真を見て黒猫に見えたかな? えっ、コウモリに見えたって? いや、それも正解だね。この花はバットフラワー(コウモリの花)とも呼ばれているんだ。 そのほかにもデビルフラワー(悪魔の花)など、豊かな想像力を駆使してイメージされるいくつかの名前をもらっているんだけど、一番通りの良い名前がブラックキャットなんだ。アゲハチョウが羽を広げたような大きな逆三角形の黒い苞に、左右に垂れ下がっている黒い髭、どうだい、黒猫の顔に消えてきただろう?

この風変わりな花は、インド北東部から東南アジアにかけて分布しているタシロイモ科の植物で、最近各地の植物園でもよく見かけるようになってきたね。実際の花は、大きな法の中心部にたくさん集まっていて、蕾の時は奇麗な円錐形をしていて上を向いているんだけど、花が開き始めると徐々に下を向き始め、全開する頃にはほぼ真下を向くようになるウだ。

フラワーセンターでは、ちょうど今満開状態だけど、必ず冬に咲くとは限らないんだ。20℃以上の環境では、年に何回か咲いてくれるんだよ。今回はたまたま12月~1月にかけて咲いているんだ。大温室内の熱帯植物室に入ったところに、大きな鉢植えがおいてあるから、一目見たい人は早めに見に来るといいぞ!

 

 

 

 

 

 

「ブラックキャット」を見に行こう!
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