白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

NO.4 心と体のバランスが大切

階段を降りていると、後ろから「カン、カン、カン」と響く音にびっくりすることがあります。大抵、若い女性のヒールのついたつっかけの音です。
「ミュール」というとかっこいいけど、何だか危なっかしい足元です。細いかかとで重い体重全部を支えていると思うと、体のことが心配です。
私がお世話になっているしんきゅう整体師の岸本吉弘先生と先日、ミュールのことが話題になりました。「私も心配です」と先生。かかとの硬い不安定なつっかけをはいていると、指の筋肉を痛めるそうです。また、流行のおへそを出した服装だと、冷房の利いた部屋では体を冷してしまうので、「夏の終わりには体のあちこちに痛みが出てくると思いますよ」ということでした。
私は今54歳だけど、若いときにはミニスカートが流行した時代がありました。私の周辺のおばさんたちには腰痛の人が多いです(笑)。思えばそのころの私たちの母親も、やはり体を冷さないように、と言っていたものです。
岸本先生のモットーは、疲れた体を元の自然治癒力を出せる体に戻すこと。本来、その人が持っているバランスのいい心体に戻るよう整えます。「ハイ、息を吐いて」という指示に従うと、筋肉が伸び、ずれていた骨もあるべき所に戻ります。1時間が過ぎるころには、体がふあーっと温かくなり、最初の痛みは消えています。
今、中国ダイエット食品で多くの人が被害に遭っていますが、服用した人の年齢層の幅広さに驚きました。
小学校に通う年齢で、無理にダイエットをすれば、骨の発育が止まってしまうこともあるようです。
今こそ、心と体のバランスが大切な時代です。

毎日新聞2002.8.8掲載
白井 操 流おもてなし『食べにおいでよ』より

NO.5 「神戸大使」になりました

「神戸大使」になりました。
生まれ育った大好きな神戸の魅力を広く伝える役割・・・だそうです。
「おめでとう」と言われるたびになんだか恥ずかしいのですが、『地震から丸8年が過ぎ、町もきれいになりました。色々ご心配をおかけしましたが、神戸は元気になりました。ぜひお出かけください。』と呼びかけ、もてなしたいですね。
大通りからちょっと外れた所にも楽しいお店がたくさん出来ています。神戸のおしゃれを演出する風景も新しい所がずいぶん出来ています。
センター街の素敵なゴミ箱、ご覧になりましたか?ごみを捨てる人がいなくなったら、フタをするそうです。市民のモラルを問いかける彫刻です。
ついでにセンター街の自慢をもうひとつ。
あの通り、昔はキャッチセールスがチョロチョロしていましたが今、その姿はありません。街を支える方たちの努力のおかげで美しい通りになりました。
 ぜひ神戸に遊びに来て下さい。
海と山の間をかけぬける風が気持ちのいい季節です。

NO.6 楽しければOK!?

男子厨房に入るべからずと教育を受けてこられた方たちが、料理を習いたいと言われる時代です。
神戸市のシルバーカレッジの食文化講座も受講を希望する“学生”さんは年ごとに増え、今3倍の競争率になっています。しかも男性が目立ちます。
「家内に『私が死んだらどうするの』と言われまして」「家内に約束したんです。来年の誕生日には僕がご飯を作ると」「テレビの料理番組で作ったり食べたりが多いでしょう。なんだかおもしろそうで」
料理入門の理由はさまざまです。70歳の今日まで炊飯器の中にしゃもじを入れたことがないという方は、ラップとアルミホイルの区別もつきません。
知ろうとして見る世界は新鮮です。だしは昆布とかつおから出来ている、昆布は水に漬けるとうまみが出てくる。ほうれん草は鍋の水が熱湯になってから入れてゆがく。どんな小さいことも、興味津々です。
はじめはいろんなことを伝えようと肩に力の入っていた私ですが、最近は少々のことには驚かなくなり、ゆったり構えています。
大切なのは料理は楽しいと思っていただくこと、楽しく食べたら栄養の吸収も非常に良いこと。だから、私が伝えるのは、「こうすると危なくない」「こうすると段取りよく手早く出来る」、そして何より「こうすればおいしく出来る」だと思っています。
最近料理に目覚めた夫をお待ちの奥様、しばらくはやさしく見守ってあげましょう。