落語家 桂南光さんをお迎えして
2011/6/24
今回のお客様は落語家の桂南光さん。料理の腕前はNHK「きょうの料理」にご出演なさるほど。食べることにも作ることにも造詣の深い方です。
トークの前に白井が実演してご紹介したのはハーブ酢の作り方。お好みのハーブを洗って水気を切って酢に漬けるのですが、その様子をなぜか笑いながら見守られる南光さん。トーク開始後しばらくして「ハーブの水気、もっときちんと取らはったほうがいいと思うんですけど・・・」の一言に白井も笑って「ふふっ、難しいことは置いといて、料理が楽しいなと思ってもらえることが大事だから。」と返し「ハーブ酢は若い時からよく作っていたのですが、瓶に漬けてラップしてからフタをして、最初の1週間ぐらいは瓶を一日数回振って、ハーブに酢がまんべんなく被るようにしてやると、カビがこないで、簡単に出来るんです。瓶の近くを通りがかったら振るとか・・・ね。楽に手抜きすることも大事でしょ?」。「神経をとがらせすぎるとまた美味しいものはできませんね。私もレシピは見ますけど、自分で分量は変えもって作るんです。」と南光さん。レシピは”たたき台”ということで意気投合しました。そんな白井の大らかさが奥様に似ておられるとも・・・。枝雀師匠に入門され、食事のお世話されたことが料理を始めるそもそものきっかけに。落語の稽古は師匠からの口写し。師匠と向かい合わせで、師匠の語りを真似て覚えるところから始まるそうです。300年もの間、口から口へと伝わるうちに、誰かが面白い話を付け足したりして、今日あるのが古典落語なのだとか。南光さんは『ちりとてちん』という落語の中で、噺の中に出てくる料理から想像して「茶碗蒸しもあった方が・・・」とふっと思いつかれ、取り入れたところ、お客様から帰りに茶わん蒸しが食べとうなりましたと言われ、嬉しかったと振りかえられます。ある番組で他の落語家さんが「ちりとてちん」を演目にされたところ、局の方から茶わん蒸しを入れて下さいねと言われ、困られたというお話も・・・。
「TVは1分で笑いを取らないといけませんが、落語はその世界を感じてもらうところから始まりますから・・・」と南光さん。「その雰囲気こそが落語の素敵なところですよね」白井もうなずきます。「大きいとこより小さいところ、60人ぐらい入るようなところがお客様の反応がよく分かっていいですね。決まったことではなくて、その時のお客さまに合わせて、今日のようにおしゃれな方にはおしゃれな話を・・・という具合です(笑)。常に話しながら取捨選択するんです。だから上手くいくと嬉しいですね。」と語られます。 「料理に大切なのは”思い”がいっぱい入ってること。どんな上手な料理人よりもお母さんの作ったお弁当が一番おいしいんです。原点ですね。」と締めくくられた南光さん。いいお話あり、笑いあり、素敵なひとときを楽しませていただきました。
今回の試食は京都・林孝太郎造酢のブルーベリー梅酢「感謝と気持ち」。青いカタログでもおなじみの飲みやすい梅酢をお水で割って。蒸し暑いこの時期にぴったりの爽やかな一口です。