「瓢亭」当主 高橋英一さんをお招きして
2014/1/14
始まりは「今年も年明け第1回目の『食のミニセミナー』に『瓢亭』高橋英一先生が来て下さいました。」と白井のスペシャルゲストの紹介から。会場は和やかな雰囲気の中にどこか背筋が伸びるようなすがすがしい空気に包まれています。今回も季節にふさわしい3品をご紹介くださいました。一品目は雲子(くもこ)(モクモクと雲のようなタラの白子)をちり酢で。「柑橘のみのポン酢ならお酢の苦手な方にも喜ばれます。この時期なら〆飾りの橙も絞ってお使いいただけますよ。」たくさんの橙・スダチ・ゆずが絞られ、爽やかな香りが漂います。ポン酢ひとつとっても素材と手間を惜しまないその作業にため息がでます。さらに軽く絞った大根おろし、細かく刻んだ九条ねぎ、黒七味が入りなんとも贅沢なちり酢でいただく雲子は格別の味わい。 2品目は鴨鍋。冬においしい京野菜、九条ねぎを使って。「鴨とねぎは本当に相性がいいですね。九条ねぎは透明のあん(ねぎの中のトロッとした部分)が多いほどおいしいんです。ぜひたくさん食べていただきたい。頭もよくなるらしいですよ。効果は人によって違いますけど。」と軽口を交えながら笑顔で。ダシの入った大きな鍋に美しく笹打ち(斜め薄切りに切ったねぎのこと)された九条ネギが入るとその量の多さに会場からは歓声が上がります。火が通りようやく鍋におさまったネギの上に、焼き目をつけながら余分な脂をペーパーで吸い取った、鴨のそぎ切りを並べ、再び沸騰したら完成です。「カモが固くなるので火はこのくらいで。カモは味がつよいのでアクをよく取ってください。鍋は必ず具材を取りきってから次を入れてください。」と美味しくいただくコツを伝授してくださいます。
最後は鍋のだし汁を使っておじやを。これがまたあっさりと締めにふさわしいやわらかな味。試食する会場にも満足感が漂います。「料理を教えておられて最近感じられることは?」と白井の問いには「最近は韓国の方も日本料理を学びにたくさん来られています。おとなしい日本人に比べ、熱心で積極的に発言される方が多いですね。質問も日本語で上手に話されるのに感心します。」と答えられます。会場から「だしの取り方を教えてください」との質問には「だしの説明だけで時間を取ったらもったいないと思って・・・」と笑いながら、丁寧に説明をして下さいました(詳しくは前回のセミナーレポートでご紹介しています)。いつまでも味わっていたいような料理と時間。そんな上品で柔らかな空気が流れているのだろうな・・・と老舗「瓢亭」さんへの憧れの気持ちがまた一段と強くなったひととき。今年も楽しいセミナーがスタートしました。