第11話 庭の小さなギャング-鉄砲虫-
前回お話した『楓(ふう)』。葉っぱの形がカナダの国旗のあの葉っぱのデザインに似てる!って、いう人もいるけど、残念ながらこれは別の木。カナダの国旗は『サトウカエデ』という木の葉なんだ。
サトウはもちろん砂糖のこと。パンケーキにたっぷりかける甘い「メープルシロップ」はこの木の幹にキズをつけて流れ出てくる樹液を集めて煮詰めたもの。カナダのお土産としても有名だから、知ってる人も多いよね。えっ?日本でもこの木をたくさん植えれば、おいしいメープルシロップがたくさん採れるのに・・・って?食いしん坊だね。サトウカエデを日本であまり見かけないのは、温暖な日本ではカミキリムシの被害に遭いやすいからじゃないかなぁ。カミキリムシは甘い樹液が大好物。卵を産みつけられた木は、その幼虫であるテッポウムシ(鉄砲虫)が幹の内側をかじりながらどんどん大きくなっていく。いつしか幹の中に長~いトンネル状の空洞(鉄砲の弾が貫通したような空洞)ができて、木がそれに耐え切れなくなると枯れてしまうんだ。日本のモミジもサトウカエデと同じ仲間だから樹液は多くて甘め。庭のモミジが急に枯れたって時は、カミキリムシの仕業を疑ってみることだ。まさに小さなギャングだね。