白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

白井のエッセイ

NO.41 あの時役立った災害時対応アイデア料理コンテスト

阪神淡路大震災から10年。
その日のつらさをなんとか社会に役立つ思い出にかえられないかと思いついたのが「神戸からの発信。食から始まる新しいくらし。生活力アップセミナー 男の台所学」の6回分のセミナーと、「あの時役立った 災害時対応アイデア料理コンテスト」でした。
なんとコンテストには北海道から九州まで400通もの応募があり審査員の方々も本当に困ってしまうほどレベルの高い内容のものがたくさん集まりました。
部門はレシピとエッセイの2つに分かれ、若い方たちのレシピがたくさん寄せられていたのには驚きました。
中には、今度の九州や新潟の被災者の方々にすぐにでも取り入れていただけそうなものも。
また、炊き出しや避難所での物資の管理に役立ちそうな知恵など、すばらしいアイデアがたくさん寄せられました。
エッセイ部門では、先人の知恵が見事に生かされたものや、人と人の温かいつながり、命の尊さを教えられるものが多くみられました。
もしよかったら3月27日神戸国際会館9Fでの表彰式においでになりませんか?皆でお祝いいたしましょう。

平成17年3月23日


NO.42 京都 武田薬品の薬用植物園は感動です。

風に桜の花びらが舞っています。4月15日、京都の武田薬品の薬用植物園を訪ねました。案内してくださった渡辺 斉園長から植物の話をたくさん聞かせていただきました。
うれしいことに京都の北の方にある植物園はまだ桜が散り始めたばかり。屋根の上は花びらで真っ白です。
「桜はぐーんと伸びた枝の下には同じ長さの根がはっています。だから桜の花の下でお弁当を食べちゃいけないんですよ。川の方に枝を伸ばした土手の桜はきれいでしょ。誰も根を踏まないからね。」なーるほど。それにしても見ておかねばと思う桜に寄せる思いは年を重ねる程強くなるような気がします。白に近いうすいピンクの色の桜、大好きです。
 春が遅かった今年は椿の花が真っ盛り。ここは日本一の椿園です。ずーっと不思議だったことが解決しました。お茶室にも生けられ、神社仏閣にも大切にされている椿の花がなんで忌み嫌われているのかしら・・・と。
実は花が終わると花ごと首が落ちるからと、おめでたい席に使われられなくなったのはここ100年程のこと。本来めでたい木で、明治以降潔さを武士にあおり立てるために椿の花の落ちる姿をその象徴のように仕立てたとか・・・。へぇ~そうなんだ。なんだかすっきりしました。
渡辺先生ありがとうございました。

今日は男性の料理教室のメンバーと訪ねた京都でした。
そして先週は料理教室の自称?お局クラスの女の子たちと訪ねた下呂・高山では、なんともおいしい料理を作られるパストールの橋本シェフにお世話になりました。感謝です。
そして来週は別のクラスのメンバーと丹波篠山のレストラン ボーシュマンを訪ねる遠足が待っています。料理教室の方たちと訪ねる春の旅は楽しさもひとしおです。

平成17年4月18日


NO.43 淡路島でレタスと玉葱を収穫しました。

トンネルを抜けたら目の前に白い大きな橋と真っ青な空と海が飛び込んできました。「わぁーい。やったぁ。」思わずスタッフ車の車内は拍手が沸きました。昨日一日、そしてさっきまで降っていた雨の心配は消えました。車は一路南淡路へ。
 今回は神戸の頌栄幼稚園の親子遠足に、日本料理の玄斎の上野直哉さんと参加し、淡路島のレタスと玉葱の収穫に行ってきました。応援してくださったのはキリンビール。子供たちに食べることの大切さと楽しさを学んでもらおうと企画してくださったイベントです。
現地ではJAあわじ島の皆さんが待ち受けてくださっていました。子どもたちとお父さんお母さんは長靴に履きかえ、前班のカエルや虫をとるグループと、レタスを収穫するグループに分かれ、いざ畑へ。たっぷり降った雨で畑の中はヌルヌル状態。面白いくらいに長靴が汚れます。「抜けたぁ!」子供たちは顔よりはるかに大きなレタスを小さな手にしっかり掴んでいます。途中交代し、次は玉葱畑へ移動です。慶野松原では、やさしいおばちゃんが大きく実った新玉ねぎの畑の様子の話を、JAのおじちゃんはハサミの使い方を教えて下さって、再び子どもたちと保護者の方は畑へ。こうして書いている今もあのうれしそうな子どもたちとお父さんお母さんの笑顔が思い出されます。
 お昼は公民館でいただきました。玄斎のご主人が作られたものは玉ねぎを丸々とアナゴとわかめの炊いたもの。あなごの頭からもおいしい出しがでて、それはやさしい味に仕上がっていました。私はレタス包み。ミンチ肉に新玉ねぎとゆがいた筍、土生姜、にんにくなどが入り、トマトジュース、ワイン、味噌と手作りのマーマレードと醤油で味がついています。手で食べる楽しい料理は苦手な野菜も入れやすいかな。という思いもあってこのメニューを選びました。
 私にとっても今回の遠足では多くを学びました。「玉ねぎは土の下の実に養分が移ったと思ったら、その印に青々と茂らせていた長い葉は自分から倒れて実のみのりを知らせます。それを合図に人は収穫をするのです。やがて葉は土に返って次の世代の栄養になっていく。玉ねぎは子離れ上手でした。本来、ネギ坊主の花は二年目につけるもの。それが一年目で花をつけた玉ねぎの花は何かのストレスを受けた証拠だとか。降り続く雨や雪。足りない光や温度。異常を感じた玉ねぎはいそいで子孫を残そうとするのでしょう。又、レタスは中から実を膨らませていきますが、始めにちゃんとしっかり丸く育っていかないとダメなんですよ。尖っていると大きな玉にはならないんですね。同じ畑でもはやく大きくなるもの、待ってやらんといかんもの。いろいろですわ。同じ条件で育てるのにねェ。」と、JAあわじ島の皆さん。本当にありがとうございました。畑の様子はまさに食育ですね。たくさん教えていただきました。今回の遠足で頌栄幼稚園の先生方の素晴らしい力には頭が下がりました。そして何も広告らしきことをされずにこのイベントを支えて下さったキリンビールの皆さん、本当に感謝です。
「あのね、蛙がいたの。始めて触れたの。」「僕の蛙見せよか?」と声をかけてくれた子どもたちの笑顔、そしてお昼に本当においしそうにビールを飲んでおられた保護者の方々の笑顔でした。今日の日のことを私は決して忘れないと思います。
みなさん本当にお疲れ様でした。いい日をありがとうございました。

平成17年5月9日


NO.44 男性料理教室の皆さんとヨコワをおろしました。

男性の料理教室で一人一尾ずつヨコワをおろしました。
「ウォ~これはすごい!」「ヒェ~重いね!」皆さん本当に楽しそう。これが本当に「いい顔」っていうのでしょうね。
 幸せを形にするとこんな笑顔のことを言うのかな。どんなに大きな魚もおろし方は同じ。ただ頭のすぐ下の部分はよろいのようにかたい皮がついているので、包丁で表面をこそげ落とします。後はすべてのヒレをハサミで切り、お腹の方を上にして穴の部分にハサミを立てて頭の方に切り進み、カマの部分からハサミを入れて頭を切り離します。内臓を取り、すばやく洗って背を下にし、お腹の方の背骨に沿って骨の両脇に包丁目を入れておきます。3枚におろし、串を打って火であぶりジュッと水の中へ。たたきの下ごしらえです。
 みんな上手におろせました。魚がおろせると料理の幅がぐんと広がり楽しさひときわです。
 「ありがたいね、自分で魚がおろせるようになるなんて考えてもいなかったよ・・・」私には何よりの感謝の言葉に聞こえました。

※「ヨコワ」とは、黒マグロの幼魚(体長30~60cm)のこと。
一般的にはメジと呼ばれるが、体側に10~20条の淡色横帯があることから、関西では「ヨコワ」という。成長するにつれてこの帯は消える。

平成17年6月8日


NO.45 NHKハツラツ道場に出演しました。

7月4日から8日までNHKのハツラツ道場 大阪発!“笑いで健康”・・・に出演しています。4日月曜日は国会中継のため全国放送はなくなりましたが、(関西ローカルは日曜日15時25分~16時04分)本当は東京にいるもうすぐ93歳になる叔母に見て欲しい番組でした。
 丁寧に丁寧に作るマーマレード。長く神戸に住んだ叔母が当時、となりに住むイギリス人に教えてもらったものを日本流に作ったもので、夏みかんの皮をみじん切りと薄切りに分け、3回湯こぼしして実も加え、砂糖を3回に分けて加え、仕上げにみりんを入れるという手間入りなものです。
 イギリス人の友人はリキュールを使っていたようですが、みりんは叔母のアイデアだったのでしょう。私は省いていますが、水溶き片栗粉も加えていました。
 今は誰の顔も分からなくなってしまった叔母ですが、私の心の中にはいつもやさしくて、丁寧な料理を作っていた叔母がいます。亡くなった私の母もその姉の叔母も根っからの神戸っ子、若い時から日曜日の朝はパンだったそうです。神戸はおいしいパン屋さんがたくさんあります。ちなみにバゲットは神戸のドンクから始まり、昭和40年には全国に向け発信されていたようですよ。

平成17年7月5日