林孝太郎造酢 林孝樹(たかしげ)社長をお招きして
2010/3/26
今回は京都の老舗林孝太郎造酢の社長、林孝樹さんをお招きしました。「昔はお酢屋は”あまりやさん”と呼ばれていたんですよ。祖父からお酢はお酒を作るときにできるあまりもの・・・という意味やと聞かされました。」と柔らかな京都弁で。大学卒業後に入社されたキューピーでは「大きな会社に就職して、最初は家業との違いに驚きました。でも7年働いて大手だからできること、小さいからできることがそれぞれにあると分かったんです。」と語られます。
白井が京都市長賞を受賞した「食べやすい黒酢」をご紹介「私はヨーグルトに入れて食べるのが一番好きなのですが、バターやオリーブオイルをパンににつける感覚で食べてもおいしいですね。口の中にふわぁ~と広がる風味が何ともいえません。」「お酢が苦手な人にも召し上がっていただけるように工夫を重ね、りんご・バナナ・メロンを酵母で発酵させ4週間寝かせたものをブレンドして食べやすくしたんです。父からお酢屋は料理を支える縁の下の力持ち、前に出たらあかんと、料理に使えないものは作るなといわれていたので・・・」と林社長。「新しい商品も手作り・手作業・本物の味を守られているんですね」と白井もうなずきます。化学調味料に頼らないポン酢はゆず・だいだい・すだちなど3種類。お中元・お歳暮の青いカタログで好評をいただいている飲むお酢「感謝・気持ち」の誕生にまつわるエピソードも・・・。これは白井が毎年作る、青梅をザラメやグラニュー糖と酢に漬けて作る梅酢レシピに、ブルーベリー果汁や紅芋酢を加えて色も美しくギフト用に仕上げたもの。試作の末、原料を変えて作った十数種のサンプルに絞り、内容の違いを明かさずに試飲した白井が選んだのは、和三盆などを使い原料に一番お金かけたものでした。「これって言われたら、どうしよって思っていたのをすっと選らばれたんです。原料費が高すぎて困ったなぁと・・・。」と笑いながら語る林社長。「私と同じ梅酢をお母様も毎年作っておられたと聞いてご縁を感じました。」と白井も笑顔で。本日の試食はピクルス。ナチュラルセラーでも人気の商品です。「ハムやチーズと一緒にどうぞ。プレゼントにも使いやすいですね。」と白井から。
「子供の頃はおじいちゃんっ子で配達のバイクに載せてもらって、いつも一緒にお得意さんを回っていました。高校を卒業するときには跡を継ごうと心に決めたんです。父からは170年続いたくらいでどうこう言うな、よそは200年続いたところもあるんやからと言われます。」温かさ・厳しさ・伝統の重さ、言葉の端々のから京都の老舗を感じます。「『一見お断り』とか他のお客様や店の品格守るための京都のしきたりも、逆にしばりになってきて最近では少なくなりましたよ。」と最近の事情も。会場からの「長く置いて量が減ったお酢は痛んでいますか?」との質問には「商品としての賞味期限はありますが、お酢は腐りません。ただ時間が経つと量は減ります。例えばバルサミコ酢はお酢を樽で寝かせて、量が減ったら足して寝かすを繰り返し旨味を出すんですよ。でも雑菌が入ってお酢が白くにごっていたり、酢うなぎというお酢にしか発生しない微生物が出たときは使わないでくださいね」と答える林社長。「代々続いてきた味を守りながら、多くの方に認めていただける新しい商品も手がけたい」と抱負を語る姿に京都の味を支える若い力を感じました。