精神科医 大阪人間科学大学名誉教授 服部祥子先生をお迎えして
2013/4/26
今回のゲストは精神科医の服部祥子先生。医師、大学教授、また妻、母として、たくさんの役割をこなしながら、多くの著書や朝日新聞の連載などを通じ、悩める心へ温かなメッセージを発信し続けてこられました。
まずは思春期のお話。「思春期は人生の花の時代。でも花には嵐がつきもので・・・」乱暴な言葉を吐いたり、何も話をしなくなったり。親は子供の変化に戸惑いますが、両親が互いにフォローしながら、あきらめずに声をかけることが大切だとおっしゃいます。「不登校になるのは心のわだかまりが解けるのに時間がかかる子。悩むことも一つの力。長いトンネルを抜けた時はそれが心の糧に。」と優しいまなざしを。
「ウツに悩む方が増えているそうですね」と白井。「一番多いのは中年のウツ。男性は昇進の時期、真面目な方ほど責任の重みを一人で背負ってしまいがちです。女性は「空の巣症候群」といって主婦として一生懸命頑張ってこられた方がお子さんの独立の後、なにか空しさを感じたり、閉経と重なって心身のバランスを崩されることも。」服部先生は、人生には三つの世界のバランスが大切とおっしゃいます。家庭で社会で自分が果たすべき『義務の世界』、心の内を話し合える仲間や夫婦といった『共感の世界』、趣味や遊びといった『楽しみの世界』。この3つをうまく作動させる知恵が、人生を豊かにするコツだそう。
そしてご主人の赴任先モスクワに家族で暮らしておられた45年前のお話に。当時はまだ「ソ連」の時代、個人の自由も物なく、冬の6ヶ月間はじゃがいもと人参しか手に入らない生活。「夏に採っておいたフキや三つ葉など山菜を冷凍して冬の食卓に添えると現地に暮らす日本の方は少しの緑でも心から喜ばれます。うどんや豆腐、こんにゃくも自分で作って。これがまた楽しくて・・・」。この時覚えたボルシチは子供さんたちにとっても母の味なのだとか。「食卓は母なるもの」と服部先生「拒食症の原因の多くは母子関係。真心がこもった食事は、お母さんの存在そのものなのです」。
今『家族のための人生』から『自分のための人生』をと大学に社会人入学される50代の女性が増えているそう。「60代で定年を迎える男性に比べ、少し早く自分の世界へ踏み出すのが女性。思いを伝えあったり、一緒に出かけたりと、互いに少しだけ心を寄せることが、素敵な明日につながりますよ。」聞いているだけで心がすっと軽くなる素敵なお話でした。
今回の試食は全て兵庫県産の食材を使って。そばに焼きハモ、焼き椎茸、わかめをトッピングし、めんつゆにはオリーブオイルで和えた刻みトマトを添え旨味をプラスした「冷やしご馳走そば」を。5/1大阪食博の白井のステージの試食を一足早く味わっていただきました。