NHK「きょうの料理」ディレクター 長村大介さん NHK出版「きょうの料理」テキスト編集部 上杉幸大さん をお迎えして
2013/10/11
「きょうの料理」ディレクターの長村大介さん、テキスト編集部の上杉幸大さんが今回のゲスト。「里芋」をテーマに8日に放送された「きょうの料理」を担当してくださいました。「男性も楽しく料理される方が増えてきました。初めての年の近い若い男性同士の担当ということもあり、お話をお聞きしたくて、東京から上杉さんにも来ていただきました。」と白井からご紹介。
「きょうの料理」の制作は、各ディレクターが(取材の上)考案した番組提案書が約4か月前に採択されることから始まるそう。「今は3月のことを考えていて、どのようなテーマにするか、どなたに講師をお願いするか、日々頭を悩ませています。」と長村さん。「テキストの撮影は放送の3ヶ月前、放送・紙面を考えての撮影です。」と上杉さん。
里芋のぬめりを取る場合、取らない場合にレシピを分けたのが今回の目玉。「皮をむいて塩でもんで、昔からのやり方はぬめりを取ることで、里芋に味が入りやすくなります。最近はぬめりの素、ムチンが体にいいと言われるようになって、栄養をまるごといただくレシピも多くなりました。」テキストの中から放送で紹介できなかったレシピを今回の実演と試食に。皮をむきゆでた里芋をめんつゆに浸して冷凍し、しっかり味をしみ込ませた「めんつゆ里芋」を使った「里芋ご飯」、柔らかく潰れた里芋がごはんに溶け込む食感を楽しい仕上がり。ぬめりを残しミルクでじっくり煮詰める「里芋のミルク煮」。洋食の付け合せにも使えます。これをベースに簡単に作れる「里芋のミルクグラタン」には、今がおいしい鮭を合わせて。
放送するレシピは全部自分で作ってみるという長村さん。「その時の講師の方が話されるスピードを想像しながら、時間内に収まるように調整し、台本を書きます。」今回スタジオでのロケを多く交えたのは、限られた時間の中に、紹介するレシピやスタジオの雰囲気をできるだけ盛り込み、白井の思いとともに丸ごと伝えたいとのお気持ちがあったそう。「料理は暮らしを楽しくしていくこと。仕事を通して私が出会う楽しいことやありがとうのおすそ分けがしたいと日々願っているんです。」と白井も笑顔で。
「若い人は作るより買うという傾向がありますが…」と上杉さん。「若い人がふと料理をしてみようかな…と手に取ってもらえるような紙面を目指して、知恵を絞っています。作ったよ、と言葉をもらうと嬉しくて。とても励みになります。」長村さんも「料理は押し付けでなく、日々口にすることで心を形成する力があると思っています。放送したものがどのようなシチュエーションで食べられたのかが、いつも気になりますね。」と仕事への思いを。
「きょうの料理」は、新しい料理のコツやアイディアを伝えるだけでなく、手から手へ伝えられてきた日本の食文化を、次に伝えることも大切にしていますと口を揃えるお二人。お客様のアンケートにも「『きょうの料理』をより身近に感じました」との言葉が多く見られました。「きょうの料理」はいままでもこれからも、日本の食卓を支えてくれる大きな存在であることを改めて感じたひとときでした。
試食には大豆をまるごと使った「おっとうふ」の林孝太郎造酢の3種のポン酢がけを添えました。(文:土田)