有限会社田舎庵 代表取締役社長 緒方弘さん、常務取締役 緒方仁さん 株式会社やまつ辻田 代表取締役辻田浩之さんをお迎えして
2014/6/27
お中元の阪急青いギフトカタログの巻頭を飾る小倉のうなぎやさん『田舎庵』の社長 緒方弘さんと、息子さんの仁さん、そしてうなぎに欠かせない山椒をお持ちくださった『やまつ辻田』の社長 辻田浩之さんが今回のゲスト。
「田舎庵さんの箸袋にやまつ辻田さんの山椒を見つけた時、嬉しくて。」と白井。「やまつ辻田さんの山椒はレベルが違った。別物でした」と緒方さん。「心がこもったおいしさ、こんなうなぎは初めてでした」辻田さんもうなぎを食べに小倉まで足を運ばれるほど、お互いの味に惚れ込む仲。
ニホンウナギは絶滅危惧種となり近年価格の高騰が続くうなぎ。「ニホンウナギは2週間前に国際自然保護連合のレッドリストに指定されたばかり。幼魚であるしらすうなぎを獲ってきて養殖しますので、しらすうなぎが不漁だった去年は1kg(約5千匹)が300万と高騰し、投機の対象にもなっています。資源として守るためにも、おいしく料理して大事に食べることが大切」と緒方さん。世界各地を回っては、うなぎ研ぎ包丁を見せて現地の料理人とその調理について情報を交換しあい、実感されたのは「蒲焼という調理法は日本の伝統食」ということ。「縄文の昔から串焼きで食べられていたうなぎ。蒲焼で食べられるようになるのは18世紀ごろ。これは堺の包丁技術と醤油・みりんの発達があってこそ。ウチでは身が割れないように開いたうなぎの身を折ってから、時間をかけてうなぎ自身の脂でじっくりと焼きます。身が半分ぐらいに縮むまで、焼けば焼くほどおいしくなります。」幅広い知識と経験の裏付けがあってあの独自の焼き方に行き着かれたのだと納得です。
辻田さんは、とっておきの粉山椒のブレンドを実演してくださいました。春に出る実山椒は中の芯が柔らかく出始めのものが美味しいそう。10%の塩分で湯通しして冷凍保存すれば佃煮用に2~3年は持つとのこと。芯が黒く固くなった7月の山椒を陰干しして芯を除き、皮だけを引いて作るのが粉山椒。「小粒で山椒の風味が強い朝倉山椒は佃煮向き、芯抜きのしやすい和歌山のぶどう山椒は粉山椒向きですが香りの持続性が弱い。それを補うのが山朝倉山椒。山朝倉山椒の特徴は、若実、新芽のみずみずしく華やかな香りを持ち続けることです。そして清々しい若緑色。これは収穫量が少ない貴重なもの。」大きなたらいには美しい粉山椒の緑と立ち上る爽やかな香り。こちらも冷凍保存して使う分だけ小出しに。「粉山椒3:塩1で作った山椒塩は焼肉やステーキ、天ぷら、唐揚げ、フライドポテトと何でもおいしくしてくれます。最近はヨーロッパを中心に海外からもたくさん声がかかります。」会場へのお土産には『ゆず七味』をご用意くださいました。
試食は趣ある竹の器に美しく盛られたミニせいろ蒸しに粉山椒をぱらり。「焼きたてが食べたくなりました」「本物の味を楽しみました」とお客様からも大満足の声。安価に出回るうなぎは小さくならないようあまり焼いていないのだそう。「調味料を洗い流し、オーブントースターのあみでゆっくり焼いてから、醤油と山椒で食べるとおいしくなりますよ。」と会場の質問にアドバイスも。
「本当においしいものを求めるお互いの思いが伝わってきました。こんなセミナーができて幸せ」と白井。みんな同じ気持ちで楽しんだひとときでした。(文:土田)