株式会社増田製粉所 代表取締役社長 武政亮佐さんをお迎えして
2014/8/22
「こだわりを持つお菓子やさん、麺やさんは必ずといっていいほどこちらの粉を使われています」と白井が紹介したのは、株式会社増田製粉所の武政亮佐社長。「小麦は皮をけずると中も壊れてしまうので、丸ごとつぶして皮を取り除き小麦粉に。国内の製粉会社はどこも国が定めた同じ価格で小麦を仕入れます」。小麦の品種は、アメリカ・カナダ・オーストラリア産に国産を加え7~8種ほど。そこから粉砕の方法や粒度を変えて100種類以上の小麦粉が作られています。昔から日本にあったうどん用は「うどん粉」、アメリカから輸入された小麦を使っていたパンやケーキ用は「メリケン粉」と呼ばれたように、小麦粉の用途に応じて原料の小麦も変わります。
「お米と小麦は、たんぱく質やカロリーといった栄養成分は同じです。温かで水が豊富な土地では米を、寒くて水が少ない土地では小麦が栽培されてきました。小麦に含まれるグルテンというたんぱく質は水で練るとゴム状になるという特徴があり、グルテンが強いものがパン用、少ないものを菓子用に使います。フランスパンなどは中間の粉を」。細かいとしっとり、粗いとサクサクというように粒の細かさで口当たりも変わるそう。
「日本のパンが世界一おいしいと思っています。」日本人のパンや麺へのこだわりが製粉会社の技術を向上させたとおっしゃいます。「例えばラーメン。関東ではコシの強いもの、関西では柔らかめの麺が好まれます。同じ店でも関東と関西で違うものを納品しています。」客先の要望に応じて粉の挽き方を細かく調整し、客先の好みの仕上がりに合わせて、個性が違う粉に仕上げる高い製粉技術が私たちの豊かな食生活を支えています。
主に北海道や九州で作られる国内産小麦はもちもちでしっとりとした食感が強いのだとか。「神戸は街のパン屋さんでパンで買う人が多い。おいしい洋菓子店も多く、小麦の食文化が豊かな土地です。」地元産の小麦を地元の農産物を組み合わせて、新たな地元グルメを作るのに役立てて欲しいと、兵庫西農協にお願いして4年前から兵庫県産小麦の栽培にも取り組まれています。ただ不作でも例年比90%以下にはならない米に比べ、60%を切ることもある小麦は収量が安定しないのが実情。そんな中、製菓用『宝笠 異人館』は兵庫県産小麦100%を実現。パン用『北野坂』と麺用『麺司』でもいずれ兵庫県産100%を目指したいと地元への思いが伝わってきました。今回は『宝笠 異人館』1kgと異人館を使ったマドレーヌをお客様のお土産に。
最後は質問コーナー。「お好み焼きの生地は小麦粉100gに水100~150gを目安に一晩寝かせます。小麦粉のでんぷんに水を含ませるとトロッとなり、しっとり感が出ます。水分をすぐに飛ばしたい天ぷらの時にはあまりかき混ぜないのも、理屈は同じです。山芋はせいぜい1割程度で。」保存については、「防虫が大切。匂いを吸うので移り香にも注意が必要です。密封容器に入れ、冷凍・または冷蔵で保存を」などなど。
ここでしか聞けない小麦粉セミナーにみんな大満足でした。兵庫県産小麦シリーズ『宝笠 異人館』『麺司』は西宮阪急製菓コーナーでお買い求めいただけます。(文:土田)