第9話 セイタカアワダチソウの悲哀
秋の青空の下、鮮やかな黄色い花をつけるセイタカアワダチソウ。空き地が一面に黄色に染まる様子に秋を感じる人も多いかも知れない。誤ってキリンソウとも呼ばれる身近な雑草だけど、実は厄介な毒を持つ外来種ということをご存知かな?
セイタカアワダチソウが根を下ろすと土の中に毒を出して、他の植物は生えてこられなくなってしまうんだよ。ススキとセイタカアワダチソウの両方が生えていた場所がいつの間にかセイタカアワダチソウだけに覆われてしまっていたら、まさにその毒にススキが負けてしまったってこと。けれどこの悲劇はここで終わらない。何年か経つと今度はセイタカアワダチソウ自身が土に溜まった自分の毒にやられて枯れてしまうというシェークスピアもびっくりの展開が待っている。草木も生えない荒地。そして月日が流れ毒が薄まってきた荒地に、真っ先に現れるのはススキ。あれ?また最初に戻るの・・・なんて言われそうだけど、これこそ身近な場所で繰り返される終わりのない物語なんだ。