第40話 イチジクの花
梅雨も明けて本格的な夏がやってくると、いよいよイチジクの季節! みんなはイチジクが好きかい? えっ、あんまり好きじゃないって? そりゃあ可哀想、あのとろけるような上品な甘み、僕は大好きだぜ!!
ところで、イチジクは果物だから、もちろん花が咲いた後にできる果実だってことは知ってるよね。じゃあ、イチジクの花を見たことがある人は手を挙げて! あれっ、誰も手を挙げないってことは,誰も花を見たことがないんだね。
さて、イチジクを漢字で書くと無花果、これは元々漢語から来ているんだけど、読んで字のごとく花がない果実って意味だよね。昔の中国人も西方から伝わってきたイチジクを、花が咲かないのに夏から秋にかけて、次々と実が成っていくことを不思議に思ったんだろうね。
じゃあ、今日は、このイチジクの花の種明かしをしよう! 結論から言うと、みんなが花を見たことがないのは、花が表に出てこないから見えないだけなのさ。どういうことかって? イチジクの実は葉の付け根に一つずつできるんだけど、つぼみの形も花の形も実になってからも大きさこそ違え、形はいつもあのイチジク浣腸型。だからいつ花が咲いているのかは、外から観察していても分からないようになっているんだよ。
しかも、花はあのイチジク浣腸型のものがある程度大きくなったときに、その内部で咲いているんだから分かりっこないよね。で、それはそのまま大きくなっていき、やがては美味しそうに色づいて立派なイチジクになるってわけさ。
実は、イチジクは虫媒花と言って昆虫に花粉を運んでもらうタイプの花なんだけど、イチジクではイチジクコバチという2mmほどの小さなハチの仲間だけしかその役割が果たせないんだ。しかも、世界中にイチジクノ仲間は800種類もあるんだけど、その1種類ごとに1種類のイチジクコバチの仲間が対応することになっているんだぞ。すなわち1対1の関係なので、片方が何らかの影響で絶滅すればもう一方も生存できなくなり絶滅するという、お互いの生存と子孫繁栄がかかっている関係なんだよ。凄いだろう!! でも、日本には食用のイチジクを受粉するイチジクコバチが居ないんだ。でも、心配ご無用! 日本で栽培されているイチジクは受粉しなくても果実ができる品種ばかりだから、イチジクコバチの力を借りなくても立派なイチジクがなるんだよ! だから、安心してたっぷりと食べてね!
ちなみに、日本に自生しているイチジクの仲間は、イヌビワ、オオイタビ、アコウ、ガジュマルなどで、観葉植物としてよく見るベンジャミンやゴムノキなどのゴムノキ類もイチジクの仲間だから覚えておくんだぞ!