第6回 なんなんと里芋
2021/11/19
東京から富山に移住して、改めて地方の食の豊かさや健康の大切さを学んでいます。富山暮らしで発見したこと、気がついたこと、クスッと笑えるネタになるようなことを徒然と語ります。
田原朋子(プロフィール)
子育てがひと段落したこともあり、30年間勤めた某公共放送系実用出版社を退社して富山県富山市にIターン。夫と猫と気楽なマンション暮らし。現在はフリーで、食と健康の編集企画・ライター業を営む。得意分野は実用もの。白井操先生には、テキストの編集や広告部での仕事でたくさんのご縁をいただいた。
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第6回 なんなんと里芋
このまたたび、3つで1000円にしときますよ。いかがですか?
「なん」
レジ袋ご利用ですか?
「なんなん」
猫飼ってらっしゃるんですか?
「なーん」
これ、猫との会話ではありません!
富山護國神社で毎月開催されている「のみの市」で、猫雑貨グッズを販売する友人を手伝った時の会話。「なん」とは、「いいえ」の意味で、知る人ぞ知る便利な富山弁です。仕事でもプライベートでも、会話の端々に「なーん」「なンなンなンなンなン(超高速)」を連発させると、どんな会話もポンポンと弾みます?!
◀▲富山のみの市は、朝まだ暗い6時ごろから始まって、人気店は9時に売り切れてしまいます。写真は昨年の11月1日に出店した時の様子です。私たちのお隣では、自家製野菜を売っていました。
もう一つ、印象的な富山弁がありました。
「この器、そばちょこに使えんちゃ」
いったい、使えるのか使えないのか、どっちでしょう?
正解は、「使えます」。
富山弁の柔らかい表現に、ほっこりします。
売れるものなら何でもありの富山のみの市。観光客はほとんどいません。家の蔵から引っ張り出してきたお宝、近所の人気カフェやパン屋の出張ブース、季節感あふれる家庭菜園の野菜も並んでいます。野菜の種類も、エゴマの葉っぱ、金時草、ネギ、春菊、クワイ、里芋など、ちょっと珍しいものからふだんの野菜まで。すぐに売れていきます。
里芋といえば、富山県内では、南砺市や上市町が伝統的な里芋の産地として知られています。東京で見かける里芋と品種が違うのか、玉が大きく、煮るととても柔らかくなります。ちょっと季節はずれですが、里芋とお米を使ったおはぎ「いもがい餅」は、富山県の郷土食の一つです。おいしい里芋、冬は煮物やおせちに大活躍ですね!
▲里芋は「大和」という品種が人気です。一つ90gくらいの大玉を見かけました。農協の方に伺ったところ、収穫後に十分乾燥させてから出荷するため、かなり日持ちするそうですよ。
▶郊外にある水墨美術館庭園の遠景です。樹木を雪から守る「雪吊り」と、紅葉のコントラストがキレイでした。冬間近です!