白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

お正月の門松

前回に引き続きお正月関連で、「門松」の話をしようか。門松は「松飾り」や立て松」とも呼ばれていて、昔は、木の梢に神が宿ると考えられていたので、門松は歳神を家に迎え入れるための依り代という意味合いがあるそうな。
神様が宿ると思われてきた常盤木(ときわぎ、すなわち常緑樹)の中でも、松は「祀る」につながる樹木であることや、古来の中国でも生命力、不老長寿、繁栄の象徴とされてきたことなどもあり、日本でも松をおめでたい木として、正月の門松に飾る習慣となって根付いていったんだ。因みに能舞台には背景に必ず描かれており(松羽目・まつばめ)、日本の文化を象徴する樹木ともなっているよね。
門松の主役はもちろん松なんだけど、最近の飾り方は、どうも竹が中心になっているよね。竹の先端部の形状は、斜めに切った「そぎ」と、真横に切った「寸胴(ずんどう)」の2種類があるんだぞ。
お正月の門松②関西の門松(竹は「そぎ」)  歌舞伎座の門松(竹は「寸胴」)
「そぎ」というのは、徳川家康が始めたらしく、徳川家康の生涯唯一の敗北として知られる「三方ヶ原の戦い」(1572年)のあと、対戦相手の武田信玄に対して、次は斬るぞという念を込めたのが始まりなんだってさ。
お正月の門松①典型的な関東の門松(竹は「そぎ」) 典型的な関東の門松(竹は「そぎ」)
地方により門松にも色々な飾り方があって、関東では、3本組の竹を中心に、周囲に短めの若松を配置し、下部をわらで巻くという形が多いんだけど、関西では3本組の竹を中心に、前面に葉牡丹(紅白)後方に長めの若松を添え、下部を竹で巻いているのが多いよね。さらに豪華になると梅の老木や南天、熊笹やユズリハなどを添えることもあるんだよ。
お正月の門松③歌舞伎座の門松(竹は「寸胴」) 関西の門松(竹は「そぎ」)
門松を飾るのは、関西では松の内までとされてよね。松の内は元々は1月15日までだったんだけど、今では一部地域では1月7日までに短縮されているところもあるんだよ。これは、寛文2年(1662年)1月6日 (旧暦)に、江戸幕府により1月7日 (旧暦)を以て飾り納めとするような指示を江戸の城下に発せられ、それに倣った風習が徐々に関東を中心に広まったらしいんだ。

ところで、神戸の生田神社では、門松を飾らないのをご存じかな? 実は、古くは、社殿は布引の山に鎮座されていたんだけど、その社殿を取り囲んでいた松の木が、豪雨によって倒れ込み社殿が倒壊したという伝承から、松が忌み事となっているんだって。だから、今でも境内には1本の松の木もなく、新年を迎える門松の代わりに「杉盛り」を飾るんだぞ。神戸近隣に住んでる人は、是非見に行ってごらん!
お正月の門松④生田神社(神戸市)の「杉盛り」 生田神社(神戸市)「杉盛り」

お正月飾りのウラジロ

師走に入り、みんなも何となく慌ただしくなってきた頃かな。今年もいよいよ年末が近づいてきたね。みんなもそうだろうけど年を重ねると、一年の早いこと早いこと。ちょっと前まで、暑い暑いと言っていたのにねぇ。

ところで、みんなはもうお正月飾りの準備をしているんだろうね。えっ、そんなのしていないって!? そうか、最近は、門松は勿論のこと、お正月飾りや鏡餅さえも飾らなくなった家庭が多いんだね。日本の伝統的な行事の地位がだんだんと低くなっていくのは、なんだか寂しい気がするね。
お正月飾りのウラジロ①お正月飾り(注連飾り) お正月飾り(注連飾り)

さて、お正月飾りは注連飾り(しめかざり)とも言うけど、これは、各家庭がお正月に迎える歳神を祀るための依り代とするもので、その形状は、神社等で飾られる注連縄(しめなわ)にいろいろな飾りを付けたもので、邪気を払い神域を示す紙垂(しで)をはじめ、子孫の連続を象徴するダイダイの実、誠実・清廉潔白を象徴するウラジロの葉などを使うことが多いんだよ。
お正月飾りのウラジロ②ウラジロの葉 ウラジロの葉

このウラジロだけど、シダの仲間ってことくらいは知っているよね。呼んで名の通り葉の裏側が白いことから、ウラジロという名前が付けられたんだけど、
これが自生しているところを見たことのある人は結構少ないんじゃないかな。
お正月飾りのウラジロ③ウラジロの群落 ウラジロの群落

ウラジロは、西南日本に自生するウラジロ科に属するシダで、地下茎が地中を這い回り、大きな群落を作るんだ。葉柄は硬くて滑らかで、1年目には地下茎から真っすぐに立ち上がり、先端に渦巻き状の芽が一対出る。これが120°位の角度を持って左右に葉を広げ、広げきるとやや水平から先端が垂れ下がるようになる。この葉はそれぞれがシダの葉らしい形をしていて、両側に1枚ずつ広がっているものだから、お正月飾りに使うのはもってこいだったのさ。そのうえ、葉の裏面は粉を吹いてほぼ真っ白だから、清廉潔白の象徴や、夫婦ともに白髪まで、などにたとえられて使われてきたみたいなんだよ。
お正月飾りのウラジロ④ウラジロの葉裏 ウラジロの葉裏

二年目以降には、前年に出た二枚の葉の付け根の中央部分から葉柄をさらに上に延ばし、その先端から新たに二枚の葉が出る。このようにして毎年葉を延ばし、葉の段が積み上がって行くんだ。
お正月飾りのウラジロ⑤ウラジロの新芽 ウラジロの新芽

ただし、日本本土ではせいぜい三段くらいで終わるみたいだけどね。実は、この地上から上に伸びた葉柄と、段になって付く2枚ずつの葉を全部をまとめて一枚の葉なんだぞ。沖縄では、二枚の葉の左右の広がりが3mを超えるものもあるくらいなんだ。どうだい、想像できないくらい大きくなるんだぞ。

最後に一言、ウラジロを飾る場合は、色の白い葉の裏側を表にして飾ることを忘れないようにな!

山茶花と椿

このコーナーでも、今まで、色々な似通った花の違いを教えてきたけど、今回は山茶花と椿にしようか。この漢字は読めるよね、そうサザンカとツバキだね。
はい、それでは、サザンカとツバキの違いを一言で言える人はいるかい? おっ、予想以上に手が挙がったねぇ。

①サザンカは晩秋から冬に咲くけど、ツバキな早春から晩春にかけて咲く。
②サザンカは花びらがハラハラと散るけど、ツバキは花首からボトッと落ちる。
山茶花と椿①サザンカの花 サザンカの花
山茶花と椿②ツバキの花 ツバキの花
③サザンカのおしべは一本一本バラバラだけど、ツバキは根元でつながっていて筒状になっている。
④サザンカの葉は小ぶりで、やや中折れになっているけど、ツバキの葉は大きくて平べったい。
山茶花と椿③サザンカの葉 サザンカの葉
山茶花と椿④ツバキの葉 ツバキの葉
色々な違いが出てきたねぇ。みんなもよく観察してるってことだね。

さて、みんなから出てきた4つの違いは、どれも正解なんだよ。でも、実は、それぞれに例外があって完璧じゃないんだな! では、その例外を説明しよう。
まず①、サザンカは確かに晩秋から冬にかけて咲くんだけど、ツバキでも初秋から咲き始める園芸品種も数多くあって一概に春咲きとは言えないんだ。
次に②と③、ツバキの園芸品種に「肥後椿」というグループがあって、江戸時代に九州の肥後藩で門外秘として育成されたんだけど、このグループの花びらとおしべは根元でつながっていなくて、バラバラに散っていくんだ。
山茶花と椿⑩ツバキの園芸種(肥後椿) ツバキの園芸品種(肥後椿)
最後に④、これが一番曖昧なんだけど、ツバキにも小さな葉のものもあるし、中折れしているものもあって、一概には言えないんだ。

ツバキも、サザンカも特に江戸時代に園芸植物として大流行し、園芸品種も多数育成されているので、本来の野生の性質をそのまま引き継いでいないものもあって、なかなか決定的な違いを見つけられないんだよ。
山茶花と椿⑨サザンカの園芸品種 サザンカの園芸品種
でも、安心して! ほぼ例外のない違いがあるんだ。それは「毛」の有る無しなんだ。
花の中心部にある雌しべの根元には、花の終わった後に果実になる「子房」という小さな膨らみがあるんだけど、その表面をよく観察すると、ツバキは無毛でツルッツル、サザンカは絨毛がびっしりと生えているんだ。
山茶花と椿⑦サザンカの子房 サザンカの子房
山茶花と椿⑧ツバキの子房 ツバキの子房
そして、「毛」つながりでもう一つ、葉柄と葉の中肋(葉の真ん中に通っている太い様脈)の裏側にも毛が生えているんだよ。特に春先に葉が出た直後がわかりやすいよ。
山茶花と椿⑤サザンカの葉柄と中肋 サザンカの葉柄と中肋
山茶花と椿⑥ツバキの葉柄と中肋 ツバキの葉柄と中肋
みんなも、この冬から春にかけて、一度よく観察してごらん!