白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

昔の名前で出ています

アスター、アマリリス、ゼラニウム、これらの花はみんなもよく知っていて、すぐに頭の中に花の形を思い起こせるよね。
昔の名前で出ています①アスター
アスター
昔の名前で出ています③アマリリス
アマリリス
昔の名前で出ています⑤ゼラニウム
ゼラニウム

じゃあ、これらの花の学名を言える人は? えっ、知っているって!? さすが、ムッシュのファンだけあってよく勉強しているな。普通はそこまで知らなくてもいいんだけど、アスターはCallistephus(カリステフス)、アマリリスはHippeastrum(ヒッペアストルム)
ゼラニウムはPelargonium(ペラルゴニウム)じゃあ、学名がアスター(Aster)、アマリリス(Amaryllis)、ゼラニウム(Geranium)ていう花は? そんな花があるの? ややこしいなぁ、だって!?
そうなんだよ。学名って、一般人にはホントに分かりにくく、わざわざ難しくしているように思えるんだけど、世界共通のちゃんとした決まりがあって、それに従って決められているから、覚えるしか仕方がないんだよな。

さて、本題に戻って、学名がアスター、アマリリス、ゼラニウムという花はどんな花だと思う? みんな、きっと知ってると思うよ。じゃあ、解説を始めるとするか。
まず、アスターという学名を持つ花は、わが国に自生するシオンに代表される大きなグループ、園芸上は宿根アスター、クジャクアスター、ユウゼンギクなどど呼ばれている花たちのことなんだよ。
昔の名前で出ています②ユウゼンギク
ユウゼンギク

次に、アマリリスという学名を持つ花は、ホンアマリリスやベラドンナリリーなどと呼ばれている球根植物だね。
昔の名前で出ています④ベラドンナリリー
ベラドンナリリー

そして、ゼラニウムと言う学名を持つ花は、日本でも馴染みの深いゲンノショウコを代表とするフウロソウの仲間なんだよ。ほら、みんな知っていただろう?
昔の名前で出ています⑥フウロソウ
フウロソウ

じゃあ、どうして一般に呼ばれる名前が学名と同じではなくて、違う名前で呼ばれている花がその学名なのかって思うよね。実は、アスターもアマリリスもゼラニウムも、以前は学名もそれぞれアスター、アマリリス、ゼラニウムと呼ばれていたんだ。だから海外から日本に入ってきたときに、学名をそのままカタカナ表記にして呼んでいたんだよ。ところが、その後の技術の進歩により、それらの花が今まで同じ仲間だとしていた花たちととずいぶん異なることが分かってきたので、それぞれ独立して別の分類にすることにしたんだよ。学名では別の名前が付けられたけど、長い間その名前が使われていたから、学名が替わったからって、一般に普及している名前はそう簡単には変わらないよね。だから、アスター、アマリリスそしてゼラニウムは昔の名前で出ていますなんだよ。

薄と荻

この漢字読めるかな? えっ、馬鹿にするにもほどがあるって? こりゃこりゃ失礼。みんなにはこれくらいの教養は十分あるんだったな。じゃあ、この二つの植物の違いを言える人は? あれれ、誰も手が上がらないじゃないの! 漢字は読めても、実物の違いは分からないんだね。 それじゃあ、ムッシュの出番だ!
この漢字はススキとオギと読むのは常識だけど、ススキとオギ、ススキは分かっていても、オギをしっかりと区別できる人は結構少ないんだよ。みんながススキの原っぱだと思っているところは、実はオギの原っぱだったりするからね。荻原や荻野など、荻が群生する野原をイメージした人名や地名があるけど、薄原や薄野っていう人名や地名はあまり聞かないよね。えっ、札幌に「すすき野」があるじゃないかって? 確かに薄野という地名はあるけど、オギに比べると極端に少ないよね。でも、みんなはどうしてだと思う? これは、ススキとオギという二つの植物の生態の違いを理解すれば、自ずと分かってくると思うよ。
薄と荻①ススキの穂薄と荻②オギの穂
ススキの穂             オギの穂

それじゃあ、そろそろススキとオギの違いを説明しようか。ススキとオギの見分け方は大きく3つあって、それは穂の先端と株立ちの状況それに生育環境の違いなんだ。まず穂だけど、これは非常に良く似ていて、ススキの穂は薄茶や赤っぽいものなど、色があるんだけど、荻は白っぽくて日に当たると白銀に輝くこともあるよ。でも穂の最も大きな違いは、穂の先端部分にあるんだよ。この穂というものは、小さな花の集まりなんだけど、一つ一つの花をよく観察すると、ススキの花には先端部分に細くて柔らかい毛の他にノギ(芒)と言う、針のような細いものがついているんだ。このノギは稲や麦の籾の先端についているものと同じなんだよ。ところが、オギにはこのノギというものがなく、柔らかい毛だけが生えているんだ。何だって、老眼鏡がないと見えないって? 老眼鏡でもなかなか見えにくいから、虫眼鏡で見た方が良いよ。
薄と荻③ススキの穂のノギ薄と荻④オギの穂にはノギがない
ススキの穂のノギ            オギの穂にはノギがない

次に、株の状況だけど、ススキは芽生えてから年数が経つと、一株の茎がどんどん増えて、抱えきれないほどの株立ち(かたまり)になるんだけど、オギは地下茎で周辺に広がっていくため、株立ちにはならず面として広がっていくんだ。
薄と荻⑤ススキの株立ち薄と荻⑥オギの面的な広がり
ススキの株立ち           オギの面的な広がり

そこで思い出してほしいのが、荻野や荻原という地名や人名。ススキはたくさんの種が芽生えて、多くの株が生えてこないと原っぱにはならないけれど、オギは地下茎でどんどん広がっていくから、数年もすれば立派な原っぱになるんだよ。でも、兵庫県の砥峰高原など、ススキの原っぱも数少ないけどあるよね。これには毎年山焼きと言って、冬の終わりに原っぱに火を放つことで、ススキ以外の植物や病害虫などを死滅させるから、ススキの原っぱが維持できているんだ。このように、ススキは人の手助けがないと長い間原っぱの状態を保つことができなんだぞ。ところが、オギはさっきも言ったように地下茎で周辺に密に広がっていくので、他の植物が入り込む隙が少なく、一面のオギ原になっていくんだ。大きな川の河川敷や河原に群落を作って綺麗な穂をなびかせているのは、実はススキではなく、オギだったんだぜ!
違いの三つ目、最後に生育環境なんだけど、今までの説明でピンときた人もいると思うけど、オギは河原など、地下水位が高くて砂と粘土が適度に混ざり合った良く肥えたところを好むんだけど、ススキはずいぶん以前に話題にしたようにパイオニア植物と言って、山火事や土砂崩れなどで、地面が露わになったところにまず生えてくる植物で、やや乾燥したやせたところを好む傾向があるんだ。だから、河原で群落を作っているのはオギで、河から離れたところや、山地の開けたところ、、高原などに生えているのはススキって言うわけさ。
今まで、みんながススキの原っぱだと思っていたところは、実はオギの原っぱだってことになるかもね?

日本のサルビア

サルビアと言えば、誰もがよく知っている日本の夏の花壇を代表する真っ赤な花だよね。そのサルビアも、最近では白色は勿論のこと、ピンクや紫など色の幅も増えて、ブルーサルビアという別の種類も加わってカラフルになってきたね。さらに、サルビアの仲間でありながら、一年草の扱いのサルビアとは別に、セージと呼ばれる多年生のグループもたくさん見かけるようになってきたね。
このサルビアの仲間はシソ科の中で最も大きな大きなグループで、世界中に1000種近くの野生種があって、中南米、中央アジアから地中海沿岸及び東アジアに多く分布しているのさ。しかも、一年草から多年草、低木まで様々な形態のものがあるんだよ。
さて、では日本に自生しているサルビアと言えば・・・・・、えっ、みんな知らないって!?  ありゃりゃ、そうなのかい。しょうがないなぁ、じゃあ説明しようか。
日本を代表するサルビアと言えば、アキギリやキバナアキギリ、アキノタムラソウっていうところかな。この三種類の名前にはどれも秋と言う言葉が入っているように、晩夏から秋にかけて日本の野山で花を咲かせているんだぞ。秋に、ハイキングやトレッキングで山に入れば、結構目にすると思うけどなぁ。そんなに深い山でなくて、里山でも十分目にするから、きっとみんなも見たことがあるんだけど、サルビアだとは認識していないだけなんじゃないの?
では、まずアキギリだけど、分類学上サルビア属を日本語でアキギリ属というように、わが国を代表するサルビアなんだぞ。これは本州の中部地方から中国地方にかけての日本海側に分布しているので、関西の山では見ることはほとんどないけどね。深い青紫色の花は山道で見かけるとハッとするよ。
日本のサルビア①アキギリ日本のサルビア②アキギリ(花の拡大)
アキギリとアキギリの花

次に、キバナアキギリだけど、名前のとおり、黄色い花を付けるアキギリと言うことで、本州~九州の低い山地の木陰などに自生していて、淡黄色の花を咲かせるので、結構目立つんだよ。これは関西の里山でも十分出会えるぞ。
日本のサルビア③キバナアキギリ日本のサルビア④キバナアキギリ(花の拡大)
キバナアキギリとキバナアキギリの花

そして、アキノタムラソウは、本州~沖縄の山道や山が近い田んぼの畦などでもふつうに見られる種類で、爽やかな淡青紫色の花を付けるんだ。きっとみんなはこれは見たことがあると思うんだけどな。アキノタムラソウって言うくらいだから、みんなは秋に咲くタムラソウに似た花じゃないかって思うだろうけど、タムラソウとは似ても似つかないうえに、タムラソウも秋に咲くんだからねえ。この名前の由来は不明なんだそうな。さあ、秋の山に探しに行ってごらん? 日本のサルビアも捨てたもんじゃないぜ!!
日本のサルビア⑤アキノタムラソウ日本のサルビア⑥アキノタムラソウ(花の拡大)
アキノタムラソウとアキノタムラソウの花

日本のサルビア⑦タムラソウ日本のサルビア⑧タムラソウ(花の拡大)
タムラソウとタムラソウの花