白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

杉と檜

杉と檜と言えば、どちらも日本を代表する針葉樹で、しかも日本建築にとって大変重要な木材だってことくらいは知っているよね。じゃあ、杉と檜の区別は付くかい?  このスギとヒノキ、名前を知らない人はいないくらいポピュラーな樹木なんだけど、じゃあ、スギとヒノキをしっかりと区別できるかってなると、区別できる人は意外と少ないようなんだよ。スギの花粉症に悩んでいる人でも、区別が付かない人が多いんじゃないかな。
さて、ではそろそろ解説を始めようか。スギもヒノキもヒノキ科に属する裸子植物で針葉樹、しかも樹形が綺麗な円錐形で、日本中の山々(もちろん人工林)のいたるところに植えられているんだ。たしかに遠目に見ると、どちらも深い緑の円錐形をしていてるから、普通の人はなかなか区別が付かないようだけど、近くで見るとその違いは一目瞭然! 何でこんなに違うのに今まで分からなかったんだろうって思うに違いないよ。
じゃあ、まずはみんなが良く目にする機会のある材木の違いから言ってみようか。丸太を輪切りにすると、スギはその中心部分を含む内側の材(これを心材って言うんだ)が濃い赤茶色をしていて、その外側の材(これを辺材と言うよ)は白っぽくて、綺麗に色分けされているんだ。ところが、ヒノキは材の内側も外側もほぼ同じように白っぽくて区別が付きにくいんだよ。
杉と檜①スギ材(両側の色の薄い部分が辺材、中心部が心材) スギ材 (両側の色の薄い部分が辺材、中心部分が心材)
杉と檜②ヒノキ材(心材と辺材の区別がつきにくい) ヒノキ材  (心材と辺材の色の区別が付きにくい)

それから、どちらも独特の木の良い香りがするんだけど、これは言葉では説明しにくいので省略するね。
次に、山に生えている状態での見分け方だけど、まずは一番区別しやすい葉の形を見てみようか。スギは針葉樹らしく太短くて先の尖った葉が、小枝の周りにびっしりと付いているだろう。じゃあヒノキはって言うと、薄くて平べったくて葉っぱか枝か分からないような形をしていて、さらに裏表があるのが分かるかな? そして葉の裏にはY字型の白い線があるんだ。ほら、写真を見ても一目瞭然、全然違うってのが分かっただろう?
杉と檜③スギの葉杉と檜④ヒノキの葉
ス ギ の 葉           ヒ ノ キ の 葉
杉と檜⑤ヒノキの葉裏(白いY字型の線がある)
ヒノキの葉裏(白いY字型の線がある)

そして、幹の皮、すなわち樹皮の違いだけど、これはよく似ているのでしっかり観察するんだぞ! どちらかと言えば、スギの方がきめが細かくて薄くはがれやすいんだ。檜の樹皮は丈夫で腐りにくいから、檜皮(ひわだ)と言って、古い寺社建築や京都御所などの屋根を葺く材料として使われてきたんだ。檜皮で葺いた屋根を檜皮葺(ひわだぶき)って言うんだぞ、これは覚えておいて損はないよ。
杉と檜⑥スギ樹皮(拡大)杉と檜⑦ヒノキ樹皮(拡大)
スギ樹皮(拡大)      ヒノキ樹皮(拡大)
杉と檜⑧スギ樹皮杉と檜⑨ヒノキ樹皮
ス ギ 樹 皮      ヒ ノ キ 樹 皮

スギとヒノキの違いが頭に入ったら、さあ、里山にハイキングに出かけようか!

 

 

 

 

桐の花と材

ゴールデンウィーク頃になると、藤の花を追いかけるように山々に桐の花が咲き始めるよね。 えっ!! 桐の花はどんな花かって? ありゃりゃ、みんなは桐の花を知らないんだ。桐のタンスは高価でなかなか手が出ないけど、桐の花は結構身近なところで咲いてるんだよ。
桐の花は綺麗な淡い紫色、というよりは藤色って言った方がピッタリかな。ラッパ状の結構大きな花を房状にたくさん付けるから、遠くからでもよく目立つし、近くで見るとそりゃあ見事なんだけど、大きな木の高い枝先に花房を付けるので、木の下を通りかかってもなかなか気づかないことが多いんだよね。
桐の花と材①キリの花房桐の花と材②キリの花(遠景)桐の花と材③キリの花(拡大)
桐は生長が非常に早い樹木で、昔からある地方では、娘が生まれたら桐を植える習慣があるんだぞ。どうしてかって? 桐は15~20年もすれば成木になり、その材が家具として利用できるので、娘が成長して嫁入りの時期が来れば、植えた桐の木を切ってその材で嫁入りの家具を作るんだそうな。
ついでだから教えておくけど、桐という名前は切っても切ってもどんどん生長することから「切る」が訛ってキリとなったと言われているんだよ。じゃあ、ついでにもう一つ、桐の材は国産材で一番軽く、細工がしやすいうえに、防湿性、防虫性があり、そのうえ耐火性もあるので、家具材として重宝しているんだ。
因みに、耐火性があって熱伝導率も小さいので、金庫の壁や扉の内部材として使われることもあるんだぞ。また、昔から、「火事になったら桐のタンスに水をかけろ」と言われているくらいで、これは吸水性に優れ、吸水すると膨張して隙間をふさぐので、タンスの内部に水が入るのを防ぎ、表面が焼け焦げても中まで火が回りにくくて、中の衣類を守ることができるからなんだ。火事の焼け跡から真っ黒に焼け焦げた総桐のタンスが見つかったんだけど、中の着物は無事だったって話もあるくらいなんだ。
桐の種は周りに薄い皮膜があって、風に乗って遠くまで飛んで行きやすいので、街中でもあちこちで種から芽生えた幼木を見かけることが多いんだ。幼木の時は非常に生長が早く、2~3年で数メートルにも育つことがあるんだ。特に若木の頃は葉っぱも凄く大きくて、直径が1メートル近くになるものも多いんだぞ。あまりにも生長が早く、すぐに大きくなって邪魔になることが多く、すぐに切られてしまうので、街中で花を付けるほど大きい木はなかなか見つけられないけど、幼木や若木を見かけることは多いので、一度探してみてごらん!
桐の花と材④キリの幼木桐の花と材⑤キリの葉桐の花と材⑥キリの種子

藤の蔓は右巻き?、それとも左巻き?

ソメイヨシノもすっかり葉桜になり、八重桜が咲き誇っているこの時季、学校の校庭やみんなの家の庭、さらに里山では淡紫の藤の花が満開だね。藤は身近な里山によく見られるように、日本原産の木本性のツル植物で、古くからその長く垂れ下がる美しい花を愛でるため、藤棚があちこちに作られているよね。
ところで、この藤の蔓は右巻き?それとも左まき?と聞かれたら、みんなはなんて答えるかい? そんなの意識し見たことないから分からないよ!って言う人がほとんどだろうね。
じゃあ、日本原産の藤だけど、実は日本には2種類の野生の藤があることを知っているかい? 北海道を除く全国の山に自生しているヤマフジと近畿以西の西日本に自生しているフジ(別名ノダフジ)があって、関西の低山にはその両方が自生しているんだ。ヤマフジは花の色が濃い紫色で、花房が短くてずんぐりとした形をしているのに対して、フジは花の色は淡くてまさに淡紫~藤色、しかも花房が長く垂れ下がり、時には1メートルを超すのもあるくらいなんだよ。この特長は、遠目に見ても区別しやすいから覚えておくといいよ。でも、実は誰が見ても区別できる決定的な違いが一つあるんだぞ。それは蔓の巻き方なんだ!
藤の蔓①フジ(ノダフジ) 藤の蔓③フジの花房
フジ(ノダフジ)とその花房
藤の蔓②ヤマフジ藤の蔓④ヤマフジの花房
ヤマフジとその花房

ところで、朝顔の蔓は右巻き?、それとも左巻き? と聞かれたら、左巻きって答える人はムッシュフルーリと同年代以上の人だな! みんなの多くは、小学生時代、夏休みの宿題としてアサガオの観察日記を書いた経験があるよね。その際に、朝顔の蔓は左巻きって教わっただろう。でも、今では右巻きって習っている人が多いんだよ。もちろん、今と昔で朝顔の蔓の巻き方が変わったんじゃなくて、その呼び方が変わってきたんだよ。しかも、未だにしっかりと定義が定まっていないから、図鑑によって右巻きと書いてあったり、左まきと書いてあったりで、ややこしいのなんの! 誰かきっちりと決めてほしいもんだよ。そこで、ここでは、最近大勢を占めてきた、朝顔の蔓は右巻き説で説明しよう!
蔓の先端の伸びる方向を見て、すなわち蔓の根元の方から先っちょを見て、その先っちょの伸びる方向が時計回りだと右巻き、その反対だと左巻きというんだ。だから朝顔は右巻きとなるんだけど、昔は蔓の先端から見て、すなわち上の方から見下ろして蔓の巻き方が時計と反対回りだから左巻きと言っていたのさ。どうだい、分かったかい?
藤の蔓⑤つるの巻き方図
A       B
蔓の巻き方
A:下から上に向かって、反時計回りに生長していく → 左巻き
B:下から上に向かって、時計回りに生長していく  → 右巻き

さて、ここで藤に話を戻すと、2種類の蔓の巻き方の違いだけど、フジは右巻きで、ヤマフジが左巻きなんだ。もちろん野生のものだけじゃなくて、園芸品種もこの性質を引き継いでいるので、鉢植えの藤や藤棚の藤もこの方法で見分けられるぞ。
この春。近くで藤の花を見る機会があったら、ツルの巻き方を調べてみてごらん!