白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

2015.9.11 桂新堂株式会社 専務取締役 光田侑司さん

2015/9/16 

「甥っ子のようなノリでスタジオにやってきます」と白井が紹介したのは、桂新堂の専務取締役 光田侑司さん。商品開発担当の坂和樹さんとともにかねてから白井がお願いしていた丹波の山の芋を使ったえびせんべいを携えて名古屋から来てくださいました。「社長であるお父様は私の本『笑顔の食卓』にも出ていただいた方。桂新堂さんは社長も社員もみなさん『えびせんランナー』として走っておられるんですよね」「私はお付き合い程度ですが、坂は日頃から仕事も走ることもどちらも頑張ってくれています」。
15.9.11桂新堂①
いいものと分かっていながら近頃売れにくくなってきている丹波の特産「山の芋」。新しい食べ方を探るため、兵庫県「食」担当参与として、白井がえびせんべいとコラボしてほしいと光田社長に話を持ち掛け、紹介されたのがこのお二人。試食は、秋の兵庫県フェアに向けて完成した山の芋入りえびせんべいと、9月にリニューアルしたばかりの「海老づくし」に、新たに仲間入りしたぼたんえびの炙り焼きと芝えびの炙り焼きを。
「侑司君で8代目になるのよね。老舗に生まれるってどんな感じ?」「あんまり自覚はないんです。えびせんべいは生まれたときから身近で当たり前にあったもの。創業300年って菓子屋ではめずらしくないですし。」「家訓とかは?」「いやぁ。よく言われていたのは『小さい頃は親のいうことをよく聞いて、よくお手伝いをして、よく勉強をしなさい、大きくなったら自分の器を磨いて大きくして、世のため人のために尽くしなさい』ということかな。最近は時間が合わなくて少なくなりましたが、実家に住んでいるので、父に誘われて父子で風呂に入るんです。そこでよく言われました。今はその言葉の意味もよく分かります」。
「商品開発の坂さんが一番苦労されるのは」「えびごとに違うおいしさを生かすことを一番に考えています。甘えびの甘い味わい、芝えびは旨みの濃さ、ぼたんえびは上品な甘み、それぞれが一番引き立つ味付けや焼き方を考えています。」「今回の山の芋はネバネバで大変だったでしょ?」「初めて手がけましたが、山の芋の力でふわっとくちどけのいい仕上がりになりました。せんべいはまだまだ進化するぞという手ごたえも感じました」ネバネバの山芋を工場のラインに載せるために工場の担当者を説得しながらの商品化だったそう。本当においしく仕上がり、会場のお客様の反応も上々です。
よりよい素材を求め、北海道 余市に工場を建て、鮮度を最優先に現地で焼きあげられるおせんべい。地元の雇用も生まれいい関係に。「獲れた中からいいエビを入れてもらうためには、信頼関係が大切。地元の方とともに二人三脚で発展することを大切に考えています」おいしいものは苦労なしにはできないと光田さん。最後にこれからを聞かれ「お菓子を通して世のため人のためにお役に立ちたい。ウチは8割が女性社員。少しでも長く勤めてもらえるように、女性が社会進出をしやすいような社内環境を整えていきたいですね」坂さんは「5年後10年後でもその時代に受け入れられる味であり続けたい。そのためのあくなき探求心を大切にしたいです」。まず一番は「おいしいものを作ること」そんな意気込みがお二人の言葉から熱く伝わるひととき。若い人が大きな目標を見据えて走り続ける、気持ちのいい風が吹いていました。
15.9.11桂新堂②
山芋のえびせんべいは西宮阪急桂新堂で\540(税込)で販売中。9月22日西宮阪急4階で開催される「ひょうご五国豊穣収穫祭2015in西宮」でも販売されます。ぜひお試しください。
今回は試食として、兵庫の在来種「赤花そば」も味わっていただきました。
(文:土田)

2015.7.24 キリンビールマーケティング株式会社 神戸支店長 佐々木 泉さん

2015/7/29 

今回のゲストはキリンビールマーケティング株式会社の神戸支店長佐々木泉さん。飲み頃に冷えた「プレミアム一番搾り」をお持ちくださいました。「お昼から自分のためにビールを開けて飲む、そんな機会ってなかなかないでしょ?」と嬉しそうに語る白井。お客様もいつもよりにぎやかです。「一番搾り」の魅力はなんですか?の問いに「ビールは麦のおかゆを搾って作るんですが、普通は2回搾って両方使います。『一番搾り』はその名の通り、最初に搾ったおいしい麦汁のみを使った贅沢なビール。ビールは化学調味料を使用しない100パーセント自然な飲み物。麦のうまみを感じていただけたら嬉しいです」今回のプレミアムは吟味された原料と手間をかけた特別な製法でつくられたもの。「現在のところは残念ながらギフト用のびんと飲食店様向けの大樽のみの販売です。技術屋っぽくいうと、口をつける時のホップの華やかな香り、ビールらしい味わいが魅力。秋田の大雄産のホップの特長を活かしてコクとキレを両立させました」。
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「苦いビール」が主流の時代に、「キレ」に特化した新商品を他社が発売。その快進撃に王者の地位を脅かされた過去も。「新しい味のビールが売れて、ウチの売り上げが落ちていくんです。それはもう苦しかった」。「ラガービール」以降、そんな状況を打ち破るための新商品が次々発売されては消える、試行錯誤の中でたどり着いたのが「一番搾り」と振り返られます。「・・・で、お給料はどっちの会社の方がたくさんもらえるの?」「あはは!調べたことがないので分かりませんが、ウチの方がちょっと少ないのかなぁ。」「ふふ!こんな会話ができるのはビールの力があってこそ。ご飯を一緒に食べると人が近くなります。『昼から飲んでいいんですか』とか『とりあえずビール』とか」「最初に喉をうるおすのは、やっぱりビール。この仕事をしていると人生の大切な時間を過ごす誰かのそばにビールがあると、何より嬉しいですね。」。
会場からも質問がたくさん。季節にあったビールの楽しみ方は?「暑い季節は4~5℃で冷えたビールのおいしさを。寒い季節はより味わいの増す8~10℃で食べ物の旨みとともに味わって」。全国9工場が独自に限定醸造した「神戸づくり」の味の特長は?「兵庫の特産で酒米の最高峰『山田錦』を原料に加えました。作付の時から売り先が決まっているものなので、原料の手配が大変でした」。ビールに泡は大事なの?「泡はビールが空気に直接触れるのを防ぐフタです。泡が消えると気が抜けます。飲食店におすすめするのも8:2から7:3ぐらいで泡がある注ぎ方。グラスを斜めにして落差と角度で注ぎながらお好みの泡を作ってください」。ひとつひとつ「いい質問ですねぇ」と嬉しそうに笑顔で答える佐々木さん。おいしい飲み方のポイントを3つ教えていただきました。一つ、グラスはきれいに洗って自然乾燥を。特に脂汚れがあると泡がすぐ消えてしまうそう。二つ、グラスは素材や形が違うものを色々試して、自分をお気に入りを見つけて。三つ、相手は?料理は?シーンを楽しみながら、好きな仲間とおいしく食べて飲む、ビールはそのためにある。会場にも活気があふれていました。
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「プレミアム一番搾り」のお供、「大阪王」『焼き餃子』、「大寅」『アスパラベーコンの練り物』、銘菓コーナーから「さがえ食品」『やみつきしみかりせん』の3品も楽しい選択でした。                       (文:土田)

2015.7.10 株式会社やまつ辻田 辻田浩之社長

2015/7/21 

「毎年山椒の季節が来るとこのセミナーにお迎えしています」と白井が紹介したのは、株式会社やまつ辻田の辻田浩之社長。会場には特別にあつらえた大きな石臼とすでにほんのり漂う山椒の爽やかな香り。
15.7.10やまつ辻田①
「山椒はうなぎだけでなく何にでも合う万能選手。山椒の使い方で料理人のセンスが問われます。」と辻田さん。4月~5月に摘んだ山椒は芯が柔らかいので、10%の塩を入れた湯で湯通しの後、冷凍保存し佃煮に。面倒なエボ(軸)取りは、山椒より少し目が大きいフルイにかけると簡単に取れます。冷凍後に取っても大丈夫とプロの秘訣を。芯が黒くなる7月の山椒を、陰干しして芯を取り除き、皮を挽いて山椒に使うのだそう。
山椒は3種類あって、収穫量が一番多い和歌山の「ぶどう山椒」は大粒で加工(芯抜き)がしやすいが、香りが抜けるのも早い。「朝倉山椒」は小粒で色も香りも良く主に佃煮に。海抜約1000mで栽培される希少な「山朝倉山椒」は色も美しく、新芽・若芽の香りが長く続く。加工(芯抜き)が難しく収穫量は非常に少ない。3種の実物も見せていただきながら、実際に会場で石臼を挽き始めると山朝倉山椒の上品な香りが一気に会場を満たし、「わぁ!」と歓声が上がります。
ご家庭でも色々と楽しんでいただける山椒塩は山椒3:塩1が基本。おいしさが分かりやすいのはステーキ。かけると絶品の味わいに。山椒が痛覚を刺激するので、塩味も甘味も少ない量で際立つのだそうです。青いギフトカタログからはちや食品の焼きぎょうざに山椒塩をかけて試食に。
15.7.10やまつ辻田②
「素揚げの野菜に甘酢あんをかけたものに色が付くほど山椒をかけて出すお店もあります。塩気がある料理には山椒だけをかけてください。じゃがりこ、あります?」じゃがりこの容器にパッと山椒をかけ振りまぜ、即興で試食に。どちらも後に残る山椒の香りが何ともいえない余韻を残します。「この石臼で昨日挽いたばかりの山朝倉山椒を入れた夏仕様の辛い七味を今日のお土産に。お漬物、冷奴、溶き卵にこの七味を落として食べるすき焼きは特におすすめです。パッケージがはがきサイズなので暑中見舞いにもこのまま使えます。」
一番大切にされているのは商品の管理。挽いたらすぐ冷凍されるそう。「冷凍すると香りがいつまでも残ります。買われたら開封前も開封後も冷凍保存を」「アルミの袋もうれしいですね」。
10年間、高校の英語教師をされた後、会社を継がれ、今も自らの道場で剣道の指導に励まれています。「辻田さんのところがどこか他と違うなぁと思えるのはなぜなんでしょうね」「人間が好きで、教育が好きです。今も先生として子供たちに恥じない仕事をしたいと思っています。この山椒を売って1割から1割5分儲けさせてもらってます。希少なものでも同じです。売れたら終わり」「辻田さんの教える力はすごいと思います。自然に大切なことを伝えておられるなぁと。百貨店でも自ら店頭に立って、心を通わせて。お客様にも言葉を待つ力が不思議と備わります。学校でも道場でも同じように声を使って伝えてこられんだなぁとしみじみ感じました。」辻田さんのお人柄や姿勢が山椒の香りとともに爽やかに伝わってくる素敵なセミナーとなりました。  (文:土田)