白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

2015.3.27 弓削(ゆげ)牧場 弓削忠生さん、和子さんご夫妻

2015/4/5 

神戸市の中心部から近く、豊かな自然と季節の花やハーブが美しい弓削牧場。新鮮で濃厚なミルクはもちろん、自家製のチーズ、スイーツ、牧場内のレストランも人気です。今回は牧場長の弓削忠生さんと販売・企画・スタッフのケアなどを担当されている奥様の和子さんをゲストにお招きしました。
15.3.27弓削牧場弓削ご夫妻①
「今は搾乳のロボットのおかげで、放牧場内で自由に過ごし、自分の意思で24時間好きな時に搾乳できるので牛もストレスがないんです」と忠生さん。牧場の作業もずいぶん楽になられたそう。
ミルクの本来のおいしさを生かすため、63℃30分の低温殺菌でしぼりたての味わいと良い菌を守ります。「ノンホモジナイズドといって、脂肪球がそのままのミルクなので、自然と表面にクリームの膜が張ってきます。瓶詰してすぐよりも2~3日後が乳糖結晶して甘みとコクが増します。例えば開封せずに38℃のところに置いておくと発酵して自然にヨーグルトになってしまうんですよ」ミルクを試飲してそのおいしさに納得。
初代から38歳で牧場を引き継いた時、牛乳だけでは牧場が維持できないと、忠生さんが考え抜いた末に始められたのがチーズ作り。3人目の子供を妊娠中だった和子さんも手伝うことを決意します。当時はまだナチュラルチーズは珍しく、製造技術もありませんでした。試行錯誤の連続の日々。そんな中、カマンベールの失敗の繰り返しからで出来上がったフロマージュフレ。パッケージに描かれたかわいい3人の子供は当時5歳、3歳、1歳だったわが子の姿。「子どもはほったらかしでチーズに没頭していました。だから商品のマークにして堪忍の気持ちを」と笑う和子さん。
フロマージュフレは塩分ゼロ、カロリーは普通のチーズの半分という熟成する前のチーズ。フレッシュな食感を大切にしたいという思いから、塩を加えて賞味期限を延ばすことをあえてされていません。塩味が無い分、甘辛どちらの味も楽しめて、様々な和の発酵食品との相性もバッチリ。
15.3.27弓削牧場弓削ご夫妻②
試食は、はちみつをかけたデザート風とネギとかつおぶしにポン酢をかけた冷奴風の2種を。「これに玉ねぎスライスを足すとレストランで人気の『生チーズの冷奴風』です。ご飯の上にフロマージュフレ、ネギ、かつおぶしをのせ、醤油をかけても。パンにもご飯にも合うんです」「生の絹ごし豆腐とゴマをすり、フロマージュフレと白みそを加えて和え衣にしたり、アイデア次第でいろんなことに使えますね。」「腸の中の乳酸菌を活性化してくれますので毎日少しずつ食べると腸内細菌が活発になって免疫力もアップします」と忠生さん。
「発酵と腐敗って見分けられるんですか?」「ミルクの中のよい菌が働いてチーズやヨーグルトになるのは発酵。腐敗は雑菌が入って起こるもの。カマンベールなどは雑菌を防ぐのにカビでラッピングしてるんです。塩を入れるのも同じこと。もちろん悪いカビが生えたものは口にしてはだめですよ。僕たちの世代は、匂いや味で傷んだものが食べて分かりますが、今は消費期限など数字で知る世代。表示を目安にしながら自分で試してみることは大事だと思います。気になるときは火を通すものにつかうなどの工夫も。発酵が進むにつれ変わる微妙な味わいもあります。五感をみがくことが大切ですね」。
自家発電で電気をまかなっていた牧場を、今の素敵なスタイルに作り上げたお二人。自然のままの味を求めて弓削牧場を訪ねたくなる楽しいお話を伺うことができました。                               (文:土田)

セミナーレポート 2015.3.13 西宮阪急 リカー担当 原田昭子さん

2015/3/21 

西宮阪急の素敵をお伝えする3回目のセミナーはお酒売り場から。入社以来リカー担当一筋の原田昭子さんは笑顔が印象的。「朝ドラの影響でウィスキーが売れてるんですよね?」「おかげ様で。ドラマに縁の深い『竹鶴』は原酒不足から出荷数が制限されるほどです」熟成に12年という長い年月をかけ、年月を経ても味わいのレベルが伴わなければ出荷はされないというウィスキー。原酒がなくなればブームといえども出荷ができないのが泣き所だそう。「シングルモルトとは、一つの蒸留所で作られた大麦を使った原酒が使われているという意味になります。シングルに対しブレンデットは原酒が複数の蒸留所で作られたということ。モルトは大麦、グレーンはトウモロコシと原料を表していて、味わいが違う複数の原酒をブレンドしてひとつのウィスキーが完成します」。
15.3.13西宮阪急原田さん① 15.3.13西宮阪急原田さん②
「アルコール分解酵素が少なめの日本人は、度数の高いものは水や炭酸で薄めて飲むことも。14~15度の日本酒やワインといった醸造酒が、食事と一緒にゆっくり飲むのに向いてるかな。」と白井。試食は日本酒とワイン、それに合う肴をいろいろと。
和食ブームで海外でも人気の日本酒。「米と水だけで作られたのが純米酒。それに醸造アルコールを加えたものが本醸造酒です。原料のお米を削った残りの割合が60%以下のものは吟醸、50%は大吟醸と呼ばれ、贅沢な作り方に」試飲には『加賀鳶』のあらばしり。「お酒を絞る時にフナ口から最初に出てくるのが「あらばしり」です。旨みが凝縮された味わいも繊細な特別なもの。」年に1回だけ2月に発売される限定品だそう。肴は新子の釜揚げのポン酢かけと味噌を添えた大根とセロリを。
ワインはイタリア シチリア島のワイナリーからロゼとフリツァンテという微発砲の白ワイン。「泡立ちが柔らかいのでとても飲みやすいんです」掘り売りが始まったパルミジャーノ・レッジャーノとパウダーアーモンドをひとふりした食べやすいチーズ、ブリーにバケットを添えて。ビタミンEが豊富で塩分に配慮した無塩アーモンドの小袋もひとつずつ。
1000円前後のデイリーワインも充実している西宮阪急。売れ筋はやはりワインだそう。「値段が高いとおいしいの?」とお客様に聞かれ「栄養がいきわたるよう一房のぶどうの粒を減らしたり、ロマネコンティのように特別な土壌でないと味わいが育たない品種など、高いワインにはそれだけの理由があります。でも手頃な価格でもしっかり作られていますので、おいしいものはたくさんあります。お好みでどうぞ。」とニコニコ気さくな原田さん。「3月25日(水)から29日(日)は全国から20蔵、約60銘柄の日本酒・焼酎を集めフリーテイスティングできる「蔵元まつり」を開催します。」と嬉しい告知も。
「スタジオのお客様でお酒を召し上がらない方には、特別に低温で時間をかけて出した緑茶を素敵なグラスで楽しんでいただいたりしています」。会場ではマスカット系ぶどうを原料にした発砲性で甘口ノンアルコールのムスカと白井おすすめのトマトジュースを。「少しならお酒も大丈夫という人はホットワインがおすすめ」と白井。リンゴの皮を干したものをフレーバーの強い紅茶と一緒に濃い目に煮だし、リンゴジュースやワインと一緒に温めると家でも簡単に作れます。「お酒は全く・・・という方は煮切って料理に使って。おいしいお酒を使うと料理もおいしくなります」。
15.3.13西宮阪急原田さん①
最後にビール党の山口食品営業部長から馬肉を干した「さいぼし」の試食をサプライズで。試飲のおかわりもすすんで、いつになくおしゃべりも活発なセミナーに。お酒の持つ力を実感した和やかなひとときでした。           (文:土田)

セミナーレポート 2015.2.27 西宮阪急 鮮魚担当 木下正章さん

2015/3/4 

西宮阪急の素敵をお伝えするセミナー2回目は鮮魚売場から木下正章さんをゲストに。「就職して鮮魚に配属されてから仕事を覚えられるんですよね?」。一から様々な魚種の扱いや知識を身に着け、お寿司を握るまでに。鮮魚担当は現在27名。毎朝6時半には出勤され開店の準備を。境港からその日のうちに届く安くて新鮮な魚も豊富に揃い、西宮阪急の中でも高い人気を誇る鮮魚売り場。
今日は鮮魚売場おすすめのメバル・ハタハタ・サヨリをスタジオで自家製の一夜干しにして。もっと食べて欲しいとそのおいしさを木下さんからPR。「これは赤メバル。関西はナマコも舌平目も赤が多いですね。深いところにいるのが赤メバル、浅いところにいると日焼けして黒メバルになります。さっと煮付けにしてもおいしい魚です。ハタハタは境港の白ハタを。産卵直後の冬のハタハタは身が入っておらず脂ものっていないので秋田ではしょっつるなどに使われますが、境港は冬のカニ漁が終わってからのハタハタ漁なので、良く肥えておいしいんです。固い頭をとって、炊いたり、唐揚げもいいですよ」。
自宅で洗濯ハンガーでも作れる一夜干し、作り方は白井から。「ウロコをとって、排泄物の穴からハサミをひっかけて頭の方に切り、開きます。内臓はきれいに取って。サヨリの腹の内側の黒いのが気になれば歯ブラシでこすると取れますよ。塩水の目安は水500mlに大さじ2の塩。この塩水に5~6時間魚を浸した後、干します。魚の身の厚みで時間を加減するのが大切。洗濯ばさみが当たるところはクッキングペーパーを当てて。あとは風がおいしくしてくれますよ。」
15.2.27西宮阪急木下さん②15.2.27西宮阪急木下さん①
試食はキャベツを添えたイカのアンチョビソースかけを。「スルメイカは長崎のもの。スルメイカは寄生虫を持つことがありますが加熱すれば何も問題ありません。東にいくとスルメイカしか獲れませんが、関西では剣先イカが獲れるので刺身には剣先を使います。これには虫がいないんです。」さっとゆでたイカに緑のグラデーションの美しいキャベツを添えて。大きく櫛切りにしたキャベツに竹串を差してさっと湯がいてから食べやすい大きさにカットしたもの。「イカだけでなくエビやタコをボイルしたものでもOK。アンチョビソースは知っておくと洋風のアレンジに便利。塩が濃すぎた一夜干しはアンチョビの代わりにも使えます。」
もうひとつ木下さんのおすすめはサルボウ貝。「赤貝にそっくりな貝。赤貝の缶詰として売られているのがこれ。島根県ではサルボウ貝の煮付けはお正月やおもてなし料理に欠かせない一品です。」試食には白いごはんに煮汁と貝の煮付けを載せて。「貝の煮汁には砂が入っていることが多いので、茶こしで一度濾してからかけてくださいね」と白井。
旬のイカナゴも整理券を配って販売中。新子やフルセの釜揚げは店内でされているそう。塩をたっぷり入れてゆで、揚げたらすぐに風を当てます。「釜揚げっておいしく仕上げるのは意外と難しいですよね。定番のイカナゴのくぎ煮はハーブ酢と黒コショウを少しかけるとまた違った味わいになりますよ。」
新しい魚は「ツヤと眼で見分けます。魚の味にも個体差があります。ちょっとお尻が太いなと思うものを選ぶといいと思います。一番召し上がっていただきたいのは天然物の旬のおいしさ」とファンの多い鮮魚売場を支える木下さん。「勉強になった」「もっと魚を食べたくなった」と嬉しい声がアンケートにもたくさん寄せられました。
(文:土田)