白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2015.2.13 西宮阪急 食品販売部長 山口勝信さん

2015/2/22 

「今月は百貨店をより楽しむために西宮阪急の素敵をお伝えするセミナーを、と思っています」そんな白井が紹介したのは、西宮阪急の食品販売部長山口勝信さん。昨夜は緊張してよく眠れなかったそう。「川西阪急で私は豆腐を作っていました。お魚・野菜・果物も社員が直接扱うという取り組みをしていました。」今では関西の阪急各店(一部を除く)では、お魚・野菜・お肉の仕入れ、加工、販売を社員自らが手がけます。「学校を卒業して魚売り場に配属されれば、さばき方を一から学びます。」バイヤーは早朝から市場にも出向くそう。「ここの魚売り場の方も相当朝早くから来られてる気配がありますよね。魚のことにものすごく詳しくて。でも明日からネクタイを売る・・・みたいな異動もあるんですか」「それもありますよ。いろんな部署を回りながら経験と知識を積むんです」
15.2.13西宮阪急山口部長①
関西支店の中でも売上1位を誇る西宮阪急。平日で平均3万人、土日だと5~6万人もの来店があるのだそう。洋菓子のブランドの多さ、グロッサリーや日配品の品ぞろえの充実ぶりは「他店にいるときには、ここの売り場がうらやましかった。」と山口さんが言われるほど。「買われたものが当日15~18時の間に自宅に届く夕方即日お届け便も好評です。西宮・芦屋・東灘区(一部地域を除く)が対象で税込3000円以上のお買いもので1回2箱ごと216円でご利用いただけます。」とキッチンエクスプレスもPR。
試食は自慢の売り場からおすすめを選んで。キッチンステージ横の新コーナーからはナッツとドライフルーツを。岩手・岩泉の酪農家が絞ったその日に仕込むクリーミーなヨーグルト。熊本・たしろ屋の職人手作りの豆腐。「自分が豆腐を作っていたので大豆と水で味が決まることは知っていました。こちらの大豆は契約農家が特別栽培したフクユタカと阿蘇の伏流水が使われています」こだわりの品々を。
「白井のコーナーはお中元やお歳暮のギフトカタログでご紹介した商品も並びます。お中元で大人気だったわかめ麺やたこの柔らか煮が冷蔵ケースにたっぷり並んで買いやすくなりました。わかめ麺はつゆにネギや白菜を足して冬場は温かいあんかけのようにして召し上がっていただいてもおいしいですよ」この季節に出回る柔らかい生わかめは生椎茸と出汁たっぷりの煮物に。「お吸い物より少し濃い目の味で。売り場を見渡すと百貨店の中にもう春がたくさん来てるんですね」と白井。
セミナーに参加されたお客様にも次々インタビューを。「近くに百貨店ができてうれしい。梅田にわざわざ出かけなくなった」「売り場をひとつひとつ見ておいしそうなものを見つけて買うのが楽しみ」「売る方が変わると売り場の雰囲気も変わる。商品のことや気になったことがあれば、必ず伝えます。ここが好きでずっとここで買い物したいから」「地域に密着していて百貨店の敷居を感じない。『私たちの西宮阪急』と思って通ってます」「人気店の商品が定期的に販売されるのでわざわざ並ばなくても買えるのが嬉しい」「お店の人と仲良くなって自分でも目利きができるようになった」と山口さんの心がほぐれる嬉しいご意見がたくさん寄せられました。「みなさんの食生活を豊かにするのが目標です。おしかりの言葉も大切。そこからまたよりよい売り場を目指します。色んなお声を気軽にお聞かせください」と最後に。
『私たちの西宮阪急』という言葉がみんなの心に響いた温かなセミナーとなりました。
15.2.13西宮阪急山口部長②
(文:土田)

セミナーレポート 2015.1.23 編集出版集団株140B 取締役編集責任者 江弘毅さん

2015/1/25 

今回のゲストは関西文化に根ざし編集者としてライターとして多くの読物を送り出してこられた江弘毅さん。
15.1.23江弘毅さん①
「江さんが書かれた『有次と包丁』は、食文化とか店のあり様までを含めて包丁のことが詳しく書かれた面白い本。誰かにプレゼントしたくなりました。」「有次さんは京都のあらゆる職人の仕事を支えてきた錦市場の刃物屋です。一流の料理人の使う包丁、家庭用の刃物、能面を彫る小刀まで、京都の店で使ってないところはないほど。戦国時代に刀鍛冶屋から始まって、幕末には村上水軍の刀を作っていた刀鍛冶が来て・・・」となんとも長い歴史の中で京の暮らしに根付く有次の刃物。その後職人は京都から刃物の本場堺に移住したそうで「実はメイドイン堺なんです。」と江さん。「切れ味のいい刃物で切るイカの感触は最高ですね。ナマコを薄く薄く切った時のなめらかな断面。切れ味というのは切ることで味をつけるという意味らしいですよ。」研いで、手入れして大切に使うことの意味を、有次の刃物を使うことで体感されたそう。
『あまから手帖』で始められた連載はグルメライターのような取材はしない手法。「写真は食べる姿勢で撮るんです。きれいな写真ではなく、端っこに食べかけの箸も写ってるようなリアルな感じ。この店にはどんな人間関係があってとか、商売の合間にちらっと見せる生活感とかそういうものが面白い」。人が知り合いの店に行くのは、親密な空気の中で、間違いなくいいものを出してくれるという信頼関係があるから。雑誌ミーツの編集長を長い間務めてきて、記号化された情報をメインに店を掲載し消費軸に乗せてきた自らへの猛省もあると振り返られます。
15.1.23江弘毅さん②
「今夢中になっているものを3つ教えて」白井の質問に「長く神戸に住んでいますが、生まれ育った岸和田で当番年番を引き受けました。昔からのまつりごとを司るんですがこれがほんとにやりがいがあります。もう一つはラテンバンドをやっていて、2月にキューバ国立民族舞踊楽団にレッスンを受けに行くこと。だんじり祭りの鳴物の指導的立場を長年務めたとスペイン語に訳してもらって入学オッケーになりました。三つめは西加奈子、黒川博行、朝井まかてと大阪の作家が連続して直木賞を受賞したこと。3人とも編集者として関わっていたということもありますが、大阪弁で書かれた小説を非関西圏の人がどんな風に取り込んでいくのかすごく興味があって、講師をしている神戸女学院の授業でも取り上げています。」と笑顔で。
「関西弁は奥行きがないと語れないんです。」同じ岸和田でも城に近い町と浜よりで言葉が変わり、職業や立場でも変わるそう。例えば「あなご」は消費者側と料理人・商人・漁師といった生産者側でアクセントが変わるのだとか。芸人にも芸人の言葉があり、ビデオなどでよくよく調べていくと横山やすし師匠は堺弁なのだそう。「正しい大阪弁はないんです。環状線に乗ると街もバラバラなのがわかる、そのバラバラということで統一されているのが大阪の面白さやと思います。」
「こんな56才素敵よね。暮らしを楽しむ切り口をどっからでも見つけられて、豊かなことを友達と楽しんで・・・」と白井。日頃なんとなく感じていた地元への思いを言葉にして形にして教えてもらったそんな充足感のあるセミナーでした。

西宮阪急に関西ではここでしか買えない粉末の高野豆腐が入荷しました。悪玉コレステロールを下げるレジスタントたんぱくを多く含み、動脈硬化を防ぐ効果も。粉末なので水気が多い煮物に入れたり、おからのようにも使えます。ぜひお試しを。                             (文:土田)

セミナーレポート 2015.1.9 京・南禅寺藩畔 瓢亭 当主 高橋英一先生

2015/1/19 

今年も新年最初のセミナーは瓢亭 高橋英一先生をお迎えしました。5回目を数える今回は「京の食文化~だしのお話~」を。
「日本料理にとって一番大事なものがおだしです。吸い物が来たらふたを取ってまず一口二口汁を吸ってみてください。汁の味でお店のおいしさがわかります。」瓢亭で使われているのはまぐろ節。キハダマグロを使いかつお節と同じように作られたもの。何度も燻しを繰り返した荒節と更にそれをカビ付けした本枯節を半々で使われているそう。かつお節のようなえぐみや臭みがないので、すぐ濾す必要はなく20分ほどおいて濾すのだとか。
試食は椀物で蟹しんじょ、南禅寺麩、菜の花、京人参、松葉柚子を最高のだしで。
15.1.9瓢亭高橋先生①
しんじょはかまぼこ屋さんによって味が違うので気を付けること、吉野葛は二番だしで溶き、余ったら沈殿するのを待ってだしを捨て毎日水を変えれば冷蔵庫で保管できること、少し色を付けたいときは黄身で調整すること、春はハマグリ、若いタケノコとワカメ、夏はハモなど、具材を変えて季節感を楽しんで。生ウニに軽く塩をしてオーブンで2~3分焼いたものを入れた生ウニしんじょもおいしいなどなど、作業ごとにポイントをお話くださいます。
汁は「一番だしに薄口醤油でまずおいしそうな色と香りをつけます。そのあと塩で加減してください」いつも使われている伊豆大島の黒潮から作られた天然塩「海の精」をお客様にもお土産にお持ちくださいました。「口に入る塩は天然塩をおすすめします。海のミネラルがそのまま残っているので体にもやさしく、辛さもまろやかで味にも幅があります。」南禅寺麩は豆腐が入り弾力があってきめの細かい生麩。柚子は松葉に。金時人参と菜の花で品よく色よく。
「作る側からすると椀物は出されたらすぐふたをとって熱々を召し上がっていただきたいですね。」試食がテーブルに置かれると立ち上るだしの香りにまず「わぁ、いい香り」と歓声が。まぐろ節のやさしい旨みに感動の言葉が口々に。
年間80日は講演に出かけられる高橋先生。親子の食育講座ではわざと子供が嫌いな食材を使われるそうです。「ブリのアラを初めて見る子どもが一生懸命作ったブリ大根。おいしいと喜んでブリの骨までしゃぶります。しめじ・椎茸・舞茸が入ったかやくご飯をお代わりするわが子の姿に親御さんも驚かれます。日本料理のベースはおだし。昆布とかつお節、いいものでなくても普通のものでかまいません。だしを引いて欲しい。4~5日は冷蔵庫で保存できます。だしは体だけでなく心にもいいもの。粉末や顆粒ばかりでは子供が味音痴になってしまいます。」
最後に今年のメッセージをと白井からたずねられ「ご家庭で料理する時間を増やしてほしいですね。時短とか手抜きのレシピが多くなってきていますが、ひと手間かけた昔ながらのおふくろの味を、しみじみとおいしいものやなぁと味わえるように子供に伝えてください。新婚の時、今日は何食べたい?とたずねた気持ちをそのまま持ち続けてもらえたら嬉しいです。」
12月にはNHK出版から新刊「京都・瓢亭 四季の日本料理」を出され益々ご活躍の高橋先生。セミナーでもテレビと全くおなじ素敵な物腰で飾らず丁寧にお話くださいました。だしの香りと味わいに日本に生まれてよかったと心で感じたひと時でした。
15.1.9瓢亭高橋先生②
(文:土田)