リストランテ・タントタント グランシェフ河上昌実さんをお招きして
2011/3/11
3/3にOPENした博多阪急は、初日と翌日、連日20万人のお客様をお迎えし、九州の皆様からの期待の大きさを感じるスタート。そんな報告で始まった今回のセミナー、ゲストはリストランテ・タントタントの河上昌実シェフ。京都・烏丸の地で20年近く続くお店は、町屋レストランの草分け。京都の料理人からの信頼も厚い方です。
今日の試食はアスコラーナ(オリーブの実の詰めものフライ)とイカの墨煮。アスコラーナとは大粒のオリーブの品種の名前。種をくりぬいたオリーブの中に、玉ねぎやニンニク、ソフトサラミ、豚ミンチ、パセリ、ナツメグetc・・・を混ぜたものを詰め、フライ衣を付けて揚げた郷土料理です。イタリアではどこのワイナリーでも必ず出される定番の一品なのだとか。イカの墨煮はリゾットにして。「リゾットとおかゆの違いを知らない方にご説明いただけますか?」と白井。「パスタのアルデンテと同じでお米も芯を残すのがリゾット。米を洗う時も、ゴミを落とす程度で、混ぜずにスープの対流のみで炊き上げます。」と河上さん「実は私の料理の入口はスペイン料理なんです。パエリアとか同じ米なのに日本と料理の仕方が全く違うのが面白くて。」と続けられます。白井が「そうですね。サフランなどでお米に色や香りを付けることもありますね。」と受けると「はい、イタリアやスペインでもサフランは高級品なんです。使われる時はホイルに包んでオーブンの捨て熱などを利用して、乾燥させると香りが立ちますよ。42℃ぐらいのお湯で良く発色します」とコツを伝授。 10年前に手に入れられたワイナリーはイタリア・マルケ県にあるアドリア海を望むぶどう畑。ここで作られたオリジナルのワインもシェフから会場に試飲のプレゼント。「温暖化の影響でぶどうの収穫も8月と早くなっています。イタリアはスローフードの国、手間暇をかけて人の手で作られるワイン。保存にも気を使って・・・ということになると、安いワインにはそれなりの理由があると思ってしまいます」。
30歳を過ぎるとあと何回食事ができるだろうと口を揃えるイタリア人。”一食たりともおろそかにできない”という食への情熱を感じると河上さん。お勧めのレストランを紹介する時も「マンマの味が一番だけど・・・」という前置きを忘れないと聞いて「口に出すって大切ですよね。日本の男性は恥ずかしいのかしらね」と白井。そんな素敵なイタリアの食文化をたくさん紹介できる場所にと、”たくさん”を意味するイタリア語のタントをお店につけられたのだそう。河上さんが感じたイタリアの豊かな文化や風土の気配がお人柄とともに会場に伝わってきました。これからを聞かれると「社会の役に立ちたいと思う気持ちはますます強くなっています。ウチの一族は教師か医者ばかりで料理人は私一人なんです。そもそも商売のことをよく分からない中で、今までやってきました。なので、これからも一生懸命続けていくことですね。」と謙虚に締めくくられました。